14万7000社に愛される秘密や使いやすいUI、API連携について聞いた
親切UIで非IT業界にも広く活用されるチャットワークの魅力
2017年11月08日 09時00分更新
働き方改革や業務改善に効くビジネスクラウドのレビュー記事をお届けする本連載。ここまで連続3回チャットワークの活用法を紹介したが、今回は締めということで、ChatWork広報室ディレクターの山田葉月さんにいろいろとインタビューしてみた。
グローバルでサービスを展開し14万7000社以上が導入している
チャットワークはグローバル6か国語で展開し、14万7000社以上に導入されている。4~5人の会社で使う社内ツールだと最大14個のグループチャットで足りるというところもあるので、すべてが有料プランというわけではないが、それでもすごい数字。エンタープライズプランは数万人規模の大企業でも導入されており、順調に拡大中だ。
現在、メールを使っている会社から、チャットワークを導入しようといろいろと質問を受けるそうだ。もちろん一番知りたいのは、チャットワークにしたらどうなるのか、だろう。
「グループチャットでメンバー指定が済んでいるので、誤送信のミスが起きません。チャットなので、重要なメッセージがスパムメールやダイレクトメールに埋まることもありません。送受信できるファイルサイズも5GBと大きく、検索もできます。また、万一誤送信したメッセージもメールと違って、編集したり削除したりできます」(山田さん)
次にチャットワークのどんなところが、ユーザーに刺さっているのだろうか。
「チャットワークのユーザーさんに導入してどんな効果があったかアンケートを取ったのですが、1番は「情報共有のスピードアップ」ということでした。グループチャットに情報を書き込めば全員が見ることになるので、仕事の生産性が向上するのです」(山田さん)
チャットによるスピーディなコミュニケーションにより、メールを処理する時間が20%以上削減されたと企業があるとのこと。社外とのやり取りは引き続きメールを使うにしても、社内をチャットにするだけで、ずいぶんと変わるようだ。そのため、取引先ともチャットワークでやりとりしたいという声も寄せられているそう。
付箋文化がある会社では、ちょっとしたメモをタスク機能で管理することによって、ToDoを可視化できるのが便利だという。ビデオ通話や音声通話も拠点間のコミュニケーションに活躍し、移動のコストや時間を削減できるという効果がある。たくさんあるビジネスチャットサービスの中でも、チャットだけでなくタスク管理機能や通話機能も搭載しているものが強みだ。
ビジネスで使うなら、セキュリティが心配になるところだが、チャットワークはすべてのチャットが暗号化されているので情報漏えいを心配せずに済む。セキュリティ体制も国際基準に則ったISO27001(ISMS)やISO27018の認証を取得しているとのことだ。
親切でわかりやすいUIで非IT業界にも広がっているチャットワーク
チャットワークの特徴は、わかりやすいUIだ。実際に使えばわかるが、ITリテラシの低い人でも、すぐに馴染めるようになっている。
「デザイン性だけを突き詰めれば、エッジの効いたシャープなUIも作れるのですが、本当にガラケーしか使っていなかった人だと使いこなせません。あえて、カッコよすぎないというか、ちょいダサにして、親切でわかりやすい見え方にしています」(山田さん)
そのため、チャットワークはIT業界だけでなく、非IT業界でも広く使われている。たとえば建築や不動産、弁護士のように、訪問が多かったり、FAXや電話を使うことが多い業界に広がっているそうだ。すでに、全体の2割のユーザーが士業だという。
最近は、介護業界でも使われ始めている。訪問介護の場合、患者がかかっている病院や訪問する看護師、食品を配達する業者など、関係者が多い。それぞれが独立しているとコミュニケーションコストがかさむが、ここにチャットワークをうまくはまるとのこと。もともとがガラケーとFAXで情報共有をしていたところなので、チャットワークで劇的に業務効率が改善されるようだ。
もう一つの特徴が、チャットに既読が付かないこと。これは、ポリシーとして付けていないという。
「既読マークが付くことによって幸せになる人がいない、という考え方です。既読を見てしまったら、送った側は返信がいつ来るのか気になるし、返信する側はすぐに返信しなければいけないというストレスがかかってきます。お互いにとってストレスなんです」(山田さん)
チャットワークが目指しているのは、チャットとメールの中間くらいの位置づけだ。メッセージを受け取っても、受信者は都合のいいタイミングで返信できる。目の前の業務を邪魔されずに済むので、ビジネス用途に適しているといえる。
ちなみに、チャットワークのユーザーはPCでの利用がメインで、モバイルがサブという感じになっているようだ。もちろん、不動産屋の営業マンのように外に出っぱなしという場合はほぼスマホのみということもある。
「やり取りする相手は社内外両方というのが半数以上です。チャットワークは外部の人とも気軽にやり取りできる設計になっているので、社内だけでなく取引先の方とかやり取りしていただく用途がとても多いです」(山田さん)
チャットワークはビジネスチャットのシェア率では国内最大級なので、まわりの会社が使っているから、自社でも導入しようというサイクルが生まれている。業界で横展開しており、そこが同社の強みとなっている。やはり、チャットはコミュニケーションする相手がいないと成り立たないので、相手の数がいかに多いかというのが重要なポイントになってくるのだ。
便利なAPI連携でエンジニアも満足できる!?
開発者向けにチャットワークはAPIを公開しており、Zapierと連携することができる。有料プランだけでなくフリープランでも利用でき、いろいろと活用できる。Zapierのサイトにはチャットワークに対応した16個のZapsが公開されている。たとえば、同社も「Send tweets to ChatWork」(https://zapier.com/app/editor/template/3672)というZapを活用している。
「Twitterで特定のキーワードを指定し、検索にヒットしたらその結果を自動でチャットワークに書き込むようにしています。ユーザーの要望をすぐに知ることができます」(山田さん)
最後、山田さんに何か便利な技を一つ紹介して欲しいと頼んだところ、メールの自動返信機能の代わりになる使い方を教えてくれた。
「メールだと、休暇中に来たメールに、「○日まで休暇中です」と自動で返信する機能があります。この機能はチャットワークにはないので、われわれはアカウント名に書いています。プロフィールを編集して、アカウント名に続けて「〇日まで休みます」と記載するのです。こうすると、メッセージを送ろうとしている人に一目瞭然です」(山田さん)
2017年10月24日「サイボウズLive」というグループウェアが2019年4月15日にサービスを終了すると発表。200万人以上が利用しているサービスだけあり、SNSで悲痛の叫びが飛び交ったのだが、翌日の25日、チャットワークは「サイボウズLive」から移行するためのインポート機能を提供することを発表した。今後、サイボウズがデータエクスポートに関して詳しい内容を発表すれば、迅速に対応してくれるという。これは、一気にユーザー数が増える可能性が高い。
今後の予定を聞いたところ、山田さんは「11月にはWebhookのベータをリリースする予定で、さらに外部連携しやすくなります。これでエンジニアの方にもご満足いただけるようになると思います」と教えてくれた。国産の定番ビジネスチャットサービスとして、チャットワークはこれからもユーザーの働き方改革を支援してくれることだろう。
チャットワーク編も今回で最終回。次回からはクラウドストレージからコミュニケーションプラットフォームへと進化する「Box」を取り上げる。
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