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DTMを自在に使いこなす桃井はること、ショルキーの深い関係

2017年10月10日 18時00分更新

文● 編集● 貝塚/ASCII.jp

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作曲家 kors kが紹介!
YAMAHA×ASCII.jp「kors k Cubase Tips」

第5回「プラグインはこう使え」

・Xfer OTTやマルチバンドコンプ
・FabFilter
・M/S処理
・32bit→64bitのjBridge

 前編では基本的なエフェクトの種類を紹介しました。後編では、割と新しいエフェクトの紹介をしていきます。

・サチュレーター/マルチバンドコンプレッサー

 小さい音もガッツリ大きくしてしまおうと言うイメージで使っています。昨今のダンスミュージックはひとつの音を太く広く処理する傾向にあります。

 マルチバンドコンプレッサーはそういった機能+帯域別ボリュームコントロールとして使っています。オススメはフリーで配布しているXfer OTTと言うマルチバンドコンプレッサーです。

 「Serum」という、とても人気なソフトシンセのエフェクトラックにも搭載されている物と同じ物です。

・ステレオスプレッド/MS処理

 いわゆるステレオイメージャーと言う物ですね。各チャンネルにインサートして使っている物が多いです。

 僕は標準装備のStereo Enhancer、WAVES S1 Shuffler、WAVES CENTERをよく使います。ただし広げすぎは音に芯がなくなってしまうので注意が必要。

 芯やアタックになる音をレイヤーすると広がりつつ芯もある音になります。特にここ最近は広げ具合と広げるポイントで定位を決めたりもしています。

・エンベロープシェイパー/トランジェント

 音のアタックやリリースのコントロールに使います。Cubase純正のEnvelope Shaperがシンプルで使いやすいのでよく使います。

 音の粒立ちを強調したり、レイヤーをまとめたりする際に効果的です。隙間なく音が続いているとかかりづらい場合もあるのでノートやサンプル素材のデュレーションでも調整してあげます。

 アタックを強調するとボリュームが上がるので後ろにリミッターなどをかけてあげましょう。

kors kがよく使うプラグインメーカー

FabFilter

 ProシリーズはQ(EQ)、C(Comp)、L(Limiter)、G(Gate)、MB(Multiband Dybamics)とそれぞれ愛用しています。標準的な使い方が出来る上に色々便利な機能が盛り込まれています。

 サイドチェインに対応していたり、M/Sモードを搭載していたり、リニアフェイズモードやオーバーサンプリング機能もあったりで複雑なプロセッシングを1個のプラグインで追い込めます。個人的なイメージだとFabFilterの登場によって世の中のミックスダウンセオリーがかなり変わったように感じます。

Xfer

 Serumを筆頭にLFO Tool、OTT、DJM Filterなどなどシンプルだけど分かりやすく効果的なプラグインを配布しています(いくつかフリーの物もあるので要チェック!)

 実際に音楽制作を進めていく際にかゆい所に手が届く物が非常に多く、ユーザーシェアも今はかなり多いと思うのでチュートリアルを始め、情報交換をしやすいのもいい所です。

 ソフトシンセのSerumはFXでも立ち上がり、更にMIDIノートでトリガーを送ってやると、LFOなどもコントロール出来ます。Serumの魅力のひとつ、多彩なフィルターをプラグインとしてかけることができます。

Izotope

 マスタリングプラグインであるOzone7、歪みに特化したTrash、AIによるアシスタントツールとして話題になったNeutron、ボーカル向けのNectarとVocal SynthなどがバンドルされたMusic Production Bundle2がオススメです。

 FabFilterが原音を整備していくイメージだとIzotopeは原音を加工していくようなイメージです。IzotopeがフリーでリリースしているVinylと言うレコード風に音を汚してくれるプラグインも非常によく使います。

 Cubase Pro 9より、残念ながら32bitプラグインを64bitで使用出来るVSTブリッジの開発が終わってしまいました(初期の頃は不安定だったVSTブリッジも、Pro 8の時代にはかなり安定するようになっていたのでとても残念ですが……)。

 いままで使っていて、手放せない32bitのみ対応のプラグインは大量にあります。

 そうした際に便利なブリッジを紹介します。

 jBrigeと呼ばれるサードパーティーのブリッジです。

・Kjaerhus Audio Classicシリーズ
・dBlue Glitch、tapestop、Bitcrush
・TweakBenchのチップチューン系シンセなど
・Camel Audio Camelシリーズ

 いまのところ、Cubase Pro 9+jBridgeで安定した32bitプラグインを使えています。

 次回は、僕がその昔に見つけたCubaseならではであり、個人的にCubase最強のツールを紐解いて行きたいと思います!

kors k(S2TB Recording)

 音楽プロデューサー、アーティスト、DJ。ハードダンスミュージックを主軸としているものの、カバーしている音楽スタイルに限りはない。ハイクオリティーで斬新な音作りに魅了されるファンが各国に多数存在する。

 「beatmania」を始め、各種リズムゲームのシーンにおいて絶大な人気を誇るトラックメーカー。その傍ら、アニメ関連の楽曲やJ-POPのリミックス、国内外のレーベルからのリリースなどその活躍範囲は広く、トータルで500曲以上におよぶ楽曲群を世に送り出している。teranoidやEagle、StripE、といった名義でも活動。現在はDJとしてクラブやイベントのステージでも活躍しており、国内のみならず北米~アジア各国~ドイツなどでもライブを重ねている。

 自らのレーベル「S2TB Recording」から多数のCDをリリース。遂には2014年6月に、アルバム「Let's Do It Now!!」をリリースしメジャーデビューを果たした。

 音楽制作ソフト「Cubase」、譜面制作ソフト「Dorico」の制作に役立つ様々なTipsをお届け! ぜひフォローしてご活用ください! Creativity First!!

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