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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第183回

Amazonがスーパーに進出し、バナナが安くなった

2017年09月27日 17時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII編集部

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Amazonがスーパーにやってきた結果の1つがバナナ!

 さて、AmazonとWhole Foodsがタッグを組んで、しかも“Whole Foodsなのに”値引きまで始めた。そうした様子に危機感を募らせているのが、他のスーパーチェーンです。

 サンフランシスコ近郊でビジネスを始めたSafewayは、全米第2位のスーパーチェーンで、小売チェーンとしても10位という規模を誇ります。筆者のアパートの目の前にも店舗があるのですが、AmazonがWhole Foodsでの値引き戦略を開始した直後、これに応戦するように値引きのちらしが入りました。

 特に張り合っているのが、バナナの値段です。

 Safewayではそれまで、通常品が1パウンド(約450g)で69セント、有機栽培品が1パウンド1.19ドルという値付けをしていました。ところがWhole Foodsの価格に合わせて、通常品が39セント、有機栽培品でも69セントと、大幅な値下げを行ったのです。

 米国のスーパーで最も身近なフルーツであるバナナの値段で、「値下げ戦略にもきちんとついていく」と言う意思表示をしているようで、バナナの偉大さをあらためて感じさせてくれるわけです。

 もちろん、バナナの値下げだけで張り合ってもらっても、あまりうれしいわけではないのですが。

 これはAmazonの記事を書くたびにお伝えする感覚なのですが、米国ではAmazonは、テック文脈とともに、流通や小売などの文脈で語られることが多いのです。しかも、通販主体の米国人の購買スタイルを後押しし、生活に欠かせない存在となっています。

 それゆえに、Amazonの話題は米国ではテック媒体以外でも大きく扱われ、多くの人が関心を寄せている、あるいは多くの人に関係がある話題とされているのです。

 今回のスーパーの値下げを見ると、Amazonがテック以外の領域での存在感をより高めていることを、よく表しているのではないでしょうか。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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