Amazonがスーパーにやってきた結果の1つがバナナ!
さて、AmazonとWhole Foodsがタッグを組んで、しかも“Whole Foodsなのに”値引きまで始めた。そうした様子に危機感を募らせているのが、他のスーパーチェーンです。
サンフランシスコ近郊でビジネスを始めたSafewayは、全米第2位のスーパーチェーンで、小売チェーンとしても10位という規模を誇ります。筆者のアパートの目の前にも店舗があるのですが、AmazonがWhole Foodsでの値引き戦略を開始した直後、これに応戦するように値引きのちらしが入りました。
特に張り合っているのが、バナナの値段です。
Safewayではそれまで、通常品が1パウンド(約450g)で69セント、有機栽培品が1パウンド1.19ドルという値付けをしていました。ところがWhole Foodsの価格に合わせて、通常品が39セント、有機栽培品でも69セントと、大幅な値下げを行ったのです。
米国のスーパーで最も身近なフルーツであるバナナの値段で、「値下げ戦略にもきちんとついていく」と言う意思表示をしているようで、バナナの偉大さをあらためて感じさせてくれるわけです。
もちろん、バナナの値下げだけで張り合ってもらっても、あまりうれしいわけではないのですが。
これはAmazonの記事を書くたびにお伝えする感覚なのですが、米国ではAmazonは、テック文脈とともに、流通や小売などの文脈で語られることが多いのです。しかも、通販主体の米国人の購買スタイルを後押しし、生活に欠かせない存在となっています。
それゆえに、Amazonの話題は米国ではテック媒体以外でも大きく扱われ、多くの人が関心を寄せている、あるいは多くの人に関係がある話題とされているのです。
今回のスーパーの値下げを見ると、Amazonがテック以外の領域での存在感をより高めていることを、よく表しているのではないでしょうか。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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