「Microsoft Ignite 2017」にみるAzureの進化 第2回
「Microsoft Ignite 2017」のスコット・ガスリー基調講演レポート
Azureからリリースラッシュ、「Ignite 2017」開催中
2017年09月27日 12時30分更新
マイクロソフトは米国時間9月25日から29日まで、フロリダ州オーランドで技術カンファレンス「Microsoft Ignite 2017」を開催している。25日のScotto Guthrie氏(マイクロソフト Cloud + Enterprise部門 Executive Vice President)によるキーノートでは、Microsoft Azureから多くの新機能が発表された。
Azure Cloud ShellのPowerShell版
Azureポータルから直接CLI(コマンド・ライン・インタフェース)コンソールを起動できる「Azure Cloud Shell」がPowerShellに対応した(プレビュー)。Azure Cloud Shellは5月のBuild 2017で発表され、これまではBashからの操作にのみ対応していた。
マイクロソフトは2016年6月にPowerShellをオープンソース化し、従来のWindows版に加えてLinux版とmacOS版を公開している。OSS化しているとはいえ、Bash版より後にPowerShell版をリリースするところは最近のマイクロソフトらしい。Azure Cloud ShellはiOS/Android向けのAzureポータルアプリからも起動できるので、今後は例えばiPhoneからPowerShellでAzureを操作することも可能になる。
Azure Database Migration Service
オンプレミスのSQL ServerのデータをAzure SQL Databaseに完全自動で移行できるマネジメントサービス「Azure Database Migration Service」が、今秋にパブリックプレビューすることがアナウンスされた。
Guthrie氏は、Azureへのデータベース移行コストは(大規模なエンタープライズ企業の場合)AWSより70%少ないと述べている。
また同日には、SQL Serverの新版「SQL Server 2017」のGA(一般提供)が発表された。Linux、Windows Server、Dockerで動作する。キーノートでは、macOS上のDockerコンテナでSQL Server 2017を使うデモなどが披露された。
Azure Machine Learning Workbench
Azure Machine LearningのCLIを提供するデスクトップアプリケーション「Azure Machine Learning Workbench」がプレビューリリースされた。従来から提供されていたWebサービス「Azure Machine Learning Studio」がデスクトップ版になり、機能とツールが強化されたものだ。Windows用、MacOS用がダウンロード可能になっている。
Guthrie氏はキーノートで、Azure Machine Learningが「Jupyter Notebook」に統合されており、CNTKのほかSpark、TenorFlow、Caffe2、Keras、Theanoなどをサポートしていること、Azure Machine Learningで作成したモデルはDockerコンテナで好きな環境(Azure、AWS、GCP、オンプレミス、エッジデバイス)で実行できることなどを説明した。
Azure Cost Management
Azure、AWS、GCPにまたがってクラウドの使用状況とコストをモニタリングするサービス「Azure Cost Management」を、Azureユーザーに無償提供することが発表された。Azure Cost Managementは、マイクロソフトが6月に買収したマルチクラウド環境向けのコスト監視SaaS「Cloudyn」をリブランドしてAzureに統合したもの。利用しているクラウド全体の利用状況を計測し、将来のクラウド支出を予測可能にする。
もう1つ、将来のクラウド支出を予測可能にするための新制度として、1年から3年分のAzure VM利用を事前に予約しておくと利用料金が最大72%割安になる「Azure Reserved VM Instances」を発表している。予約したVMインスタンスはいつでもキャンセルと払い戻しができるという。
* * *
Guthrie氏がキーノートで紹介したのはAzureの新発表のごく一部。Ignite 2017の開催に合わせて、そのほかにも多数のAzure新サービスが発表されている。公式ブログに今回発表されたAzure新機能の一覧があるが、箇条書きを読むだけでも骨が折れる多さだ。
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