トレンドマイクロは9月7日、総合セキュリティーソフト「ウイルスバスター」シリーズ3製品を発表した。
通常版の「ウイルスバスター クラウド」、24時間365日の問い合わせに対応する「ウイルスバスター クラウド+デジタルライフサポート プレミアム」、モバイル向けの「ウイルスバスター モバイル」となる。
今日からダウンロード販売が開始されており、パッケージ版についてはウイルスバスター クラウドおよびデジタルライフサポート プレミアムが9月14日、ウイルスバスター モバイルは10月5日発売となる。
価格については以下の通り。
新製品の特徴は機械学習によるAI技術「XGen」を搭載した点。同社によれば2016年に約10億のランサムウェア攻撃があり、その背景には「RaaS」といった、ランサムウェアを簡単に作成するツールが存在するためだという。これにより、犯罪者にとって儲かるビジネスになっているとのこと。
そして、ランサムウェアの亜種の増加が大きな問題になっている。たとえば「WannaCry」は登場から約3ヵ月で約6万件、1日平均で600件の亜種が発生しており、既存のウイルス対策技術では対応が難しくなっている。
そこで、XGenを活用することで、未知のウイルスに対抗。クラウド上のビックデータ(Trend Micro SMART Protection Network)と連携することで、ファイルや動作(ふるまい)の特徴、侵入経路を照会し、ウイルスかどうかを判断して処理する。
また、データについては「フォルダーシールド」機能で保護。フォルダーシールドは正規のプログラム以外がデータにアクセスすることをブロックする機能で、これにより不正なプログラムがデータを暗号化することを防ぐ。新製品では複数のフォルダーに対応したほか、外付けUSB HDDなどバックアップしたデータも保護する。
ただし、機械学習型は誤検出が多かったり、特定のファイルを確実にはブロックできない、といった弱点もある。そこで、既存のウイルスバスターの技術と組み合わせることで、これらの弱点をフォローし、高度なウイルス対策が行なえるようにしている。
ウイルスバスター モバイルでは、スマホがランサムウェアに感染し、画面がロックされた場合でも、PCなどから管理ポータルサイトにサクセスすることでアプリの強制終了やパスワードのリセットなどが可能だ。
機能としては、サポート詐欺に関する対策も盛り込まれた。
サポート詐欺は、サイトにアクセスした際、PCがウイルスに感染したように見せかけてサポートに電話をかけさせようとするもので、2016年の秋頃から増えてきているという。
新しいウイルスバスター クラウドでは、サイトの特徴を解析し、サポート詐欺サイトである可能性がある場合に警告表示を行なう。これにより、ユーザーが電話をかけないように注意を促す。
ウイルスバスター モバイルについては、iOSのSafariからの不正サイトへのアクセスをブロック。Facebook、LINEといったアプリ内蔵のブラウザーからのアクセスについてもブロックする。
デジタルライフサポート プレミアムは、スマートテレビのネット接続についてサポートするほか、独自のサポートツール「Airサポート」を用意。Winodwsのタスクトレーから起動でき、画面のスクリーンショットを取ってチャットで相談できる。また、モバイル端末からはLINEで問い合せが可能となった。
新製品の最大の特徴は「強さ」
製品発表会で同社取締役副社長の大三川彰彦氏は、「(新製品の)最大の特徴は強さ」であると発言。その後、壇上に2人の人物が登場し、フェンシングを始めるという演出が行なわれた。
その2名は日本フェンシング協会会長の太田雄貴氏とユニバーシアード フルーレ団体で金メダルを取得した野口凌平氏。新製品の強さをアピールした。
また、大三川氏は同社のTrend Micro SMART Protection Networkをコアとして、2016年に同社が買収したTippingPointのサービスを融合。未知の脆弱性発見を担うセキュリティー研究者の奨励をする「Zero Day Initiative」や、セキュリティー専門チーム「Digital Vaccine Labs」 (DVLABS)が提供するフィルターなどでAI技術を強化し、多種多様な攻撃に対応できると語った。