Oracle DatabaseとSQL ServerのAmazon RDS移行を“キホン”から解説
DBのサポート期間終了?じゃあクラウド化しましょう、AWS北川氏
2017年08月17日 07時00分更新
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSJ)は7月5日、AWS上でのデータベース(DB)技術をテーマとしたイベント「AWS Solution Days 2017 ~AWS DB Day~」を開催した。AWSJ 事業開発マネージャー 北川剛氏のセッションでは、オンプレミスのOracle DatabaseおよびMicrosoft SQL Serverから、Amazon RDS for Oracle/RDS for SQL Serverへの移行の“キホン”が解説された。
ビジネスにAIや機械学習のテクノロジーを取り入れようとする際、重要なのはビジネスの中で生成されるデータだ。AIを活用するためには、AIが学習するためのデータが必要になる。そして、AIがデータを学習するためには、DBからのデータの移動、DB間のデータ連携が伴う。
ここで、ビジネスデータがオンプレミスのDBに格納されているケースとクラウドDBに格納されているケースを比較すると、クラウドDBの方がデータの移動コストと移動速度、データ連携の容易さの面で優れていると北川氏は説明する。クラウドのほうがCPUパワーもストレージも安価であり、クラウドのAIサービスや機械学習サービスを活用できるメリットがあるためだ。
このようなクラウドDBのメリットを理解し、オンプレミスからクラウドへの移行を検討している企業にとって、実際にクラウド化へ踏み出す大きなきっかけとなるのは利用中のDBのサポート切れだろう。北川氏は、現在企業で利用されているOracle DatabaseとSQL Serverの代表的なバージョンについて、それぞれのサポート期間を提示。このタイミングでDBのAWSへの移行を検討してほしいと述べた。
移行先はEC2かRDSか
DBのAWSへの移行を決心したら、次に検討すべき事項は、(1)現行と別の種類のDBに移行するか(Heterogeneous)、現行と同じDBに移行するか(Homogeneous)、(2)EC2上にDBを構成するか、サービスとしてのDBであるAmazon RDSを利用するか---だ。
Heterogeneous or Homogeneousの検討については、「単純に別バージョンのDBへアップグレードするのも選択肢ですし、アプリケーションやスクリプトの変更を回避するために同じDBにするのも選択肢です」と北川氏。また、EC2 or RDSに関しては、「クラウドならではのメリットを生かすためにRDSの使用が第一候補になります。ただし、RDSはすべての要件を満たせるわけではないので(RDSではOracle DatabaseとSQL Serverの一部機能がサポートされない)、特別な要件がある場合はEC2上に構築することで対応するという選択になります」(北川氏)と説明した。
Oracle DatabaseをEC2に構築する場合、ライセンスはすべてBYOL(Bring Your Own License)になる。EC2(AMI)で提供されるライセンスのバージョンとエディションは下記の通りだ。
SQL ServerをEC2に構築する場合は、時間課金(License Included)での利用が可能だ。EC2(AMI)に対応するSQL Serverのバージョンとエディションは下記の通り。
RDS for Oracleは時間課金(LI)で提供されている。RDS for Oracleで提供されるバージョンとエディションは下記の通り。AWSとオラクルの両社が公式に推奨しているデータの移行方法には、オラクルが提供するマイグレーションツール「Oracle Data Pump」を使う方法と、AWSのマイグレーションサービス「Database Migration Service(DMS)」を使う方法の2通りがある。
RDS for SQL Serverも時間課金(LI)で提供する。提供されるバージョンとエディションは下記の通り(図中にあるエディションに加えて、現在はSQL Server Enterpriseも利用可能)。RDS for SQL Serverでは、AWSへ移行後のアップグレードが可能だ。データの移行方法は、バックアップファイルをS3に保存してRDSに復元する方法と、DMSを使う方法の2通りがある。
今回のセッションでは、リレーショナルDBのOracle DatabaseとSQL Serverから、AWSのマネージドリレーショナルDBであるRDSへの移行について解説された。「少なくとも、現行のオンプレミスDBと同じ種類のDBでAWSへ移行する分には、DB運用管理者のスキルチェンジが必要ありません。クラウドDBの運用管理に慣れてから、別のDBの利用を検討してもよいと思います」(北川氏)。