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他DB環境からのマイグレーション支援機能もさらに充実

Auroraの機能強化点など、AWSがデータベース関連の最新情報説明

2016年07月29日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSJ)は7月28日、「Amazon Aurora」や「Amazon RDS(Relational Database Service)」などのデータベース関連サービスを中心とした、今年4月以降の機能強化に関する説明会を開催した。

AWSJ 技術本部 本部長の岡嵜禎氏AWSJ 技術本部エンタープライズソリューション部 部長/シニアソリューションアーキテクトの瀧澤与一氏

NFSでファイルアクセスできる「Amazon EFS」の一般提供開始

 説明会ではまず技術本部 本部長の岡嵜禎氏が、データベース関連以外のサービスアップデートを紹介した。AWSサービスの新機能追加件数は年を追うごとに加速しており、一昨年の2014年は年間で516件、昨年2015年は722件に達している。今年も6月時点ですでに360件を超える機能追加が発表されている。

 米国時間6月29日には、これまでテクノロジープレビューとして提供されてきた「Amazon EFS(Elastic File System)」が、米国東部、米国西部、欧州の3リージョンで一般提供開始(GA)となった。このEFSは、NFS v4経由でファイルアクセスできるストレージサービスで、EC2上のLinuxサーバーからマウントして利用できる。

ストレージサービスとして、新たにファイルストレージ(NAS)のAmazn EFSの一般提供を開始

 岡嵜氏は、これまで提供してきたオブジェクトストレージの「Amazon S3」やブロックストレージの「Amazon EBS」と比較しながら、EFSの特徴やメリットを説明した。特に、複数のサーバーからアクセスでき、同時にAPI経由ではないため既存のアプリケーションも容易に対応できる点が、S3やEBSではカバーできなかった特徴となる。

 「先日、EFSについての技術セミナー(Webセミナー)を開催したが、参加者も質問件数も非常に多かった。ユーザーの期待は高い」(岡嵜氏)

 EFSの東京リージョンでの提供開始時期は未定だが、顧客からの要望が多いことも鑑みて早期に展開したいと述べた。

Amazon EFSと、既存のAmazon EBSやAmazon S3との機能比較

 そのほか、6月27日には世界13番目のリージョンとして、インドに「アジアパシフィック(ムンバイ)リージョン」を開設した。同リージョンは2つのAZ(アベイラビリティゾーン)を備える。岡嵜氏は、来年にかけてさらに5つのリージョンを新設する予定だと説明した。

Aurora/RDSの機能強化とDBマイグレーションサービス

 続いてAWSJ 技術本部エンタープライズソリューション部 部長/シニアソリューションアーキテクトの瀧澤与一氏が、MySQL互換の高速RDBMSであるAmazon Aurora、マネージドRDBMSサービスであるAmazon RDS、さらに既存データベースからの移行(マイグレーション)サービスについて、最新の機能強化を紹介した。

AWSが提供するデータベース系サービス。これに加えて、MySQL互換の高速な独自RDBMS「Amazon Aurora」も提供している
Amazon Auroraの特徴

 Auroraは、MySQL 5.6との互換性を持たせながらAWSが再設計、開発したRDBMSエンジンで、MySQL比で約5倍のスループットを発揮する高速性、それにより既存のノード数を削減できるコスト効率性、3つのAZにデータを保存することによる耐障害性、必要に応じて利用開始後でも柔軟にDBサイズを拡張していけるスケール性などが特徴だ。

 最近リリースされたAuroraの新機能としては、異なるリージョン間をまたいでレプリケーションを可能にすることで、DR(災害対策)やリージョン間のDB移設などに対応する「クロスリージョンリードレプリカ」サポート、Aurora DBのスナップショットデータを他のユーザーアカウントにも共有できる「スナップショット共有」、非暗号化Auroraクラスタから暗号化クラスタを簡単に作成、移行できる機能などがある。

 また、既存のMySQL環境で取得したバックアップデータから、Auroraクラスタが作成可能になっている。MySQLからAuroraにレプリケーションできる機能と併せて利用することで、アプリケーションを停止することなく、MySQL→Auroraのマイグレーションが簡単に実行できる。

Amazon RDSの特徴。DB専門エンジニア不在でも簡単にバックアップ構成などを実現できる

 主要RDBMSのフルマネージドサービスであるRDSでも、各RDBMSに対応した機能アップデートが行われている。

 RDS for SQL Serverでは、複数のAZへのミラーリングを可能にする「Multi-AZ」機能が、新たに東京(およびシドニー、サンパウロ)リージョンでも利用可能になった。またRDS for SQL Serverインスタンスから、DBのバックアップをS3のバケットに保存できる機能も追加されている。このバックアップから、別のSQL ServerインスタンスやオンプレミスのSQL ServerにDBをリストアできる。同様に、オンプレミスSQL ServerのバックアップをS3に配置して、SQL Serverインスタンスとして復元することも可能。

 そのほか、RDS for MySQLでは数クリックでバージョン5.6から5.7へバージョンアップできる機能が、RDS for PostgreSQLではクロスリージョンレプリケーションの機能が、それぞれ追加されている。

 DBのマイグレーションを支援する「AWS DMS(Database Migration Service)」および「AWS SCT(Schema Conversion Tool)」についても、一部に新機能が追加されている。

 DMSは、AWS上あるいはオンプレミスにあるDB(ソースDB)から、AWS上の新たなDB(ターゲットDB)へのDBレプリケーションを行い、アプリケーションを停止することなく移行をサポートするサービス。たとえば“Oracle DBからAuroraへ”など、異なるDBエンジン間でのマイグレーションも可能にする。

AWS DMS(Database Migration Service)がマイグレーションに対応しているソースDBとターゲットDBの一覧

 今回、新たにDB間のレプリケーション手法として「Replicate ongoing changes(CDC)」が追加された。これは、ソースDBのトランザクションログを参照して、新たに更新されたデータ(差分データ)をターゲットDBに常時反映していくもの。従来は、ソースDBに直接アクセスしてデータを取得、ターゲットDBにデータをロードするフルロード方式のみだったが、CDCの場合はソースDB側に大きな負荷をかけることなく移行の準備ができる。フルロードしたあとに、CDCを適用することも可能。

 これに、DBスキーマやコード変換を行うSCTツールを組み合わせることで、柔軟かつ確実なDB環境のマイグレーションが可能となる。

 瀧澤氏によると、DMSは今年1月からテクニカルプレビューを開始したが、すでに2000を超える顧客がDMSを使ってAWSクラウドに移行したという。特に、コストメリットなどを考えて、既存のOracleや他のDBからAuroraへ移行するパターンが多く、Auroraは「AWS市場最も成長の速いサービス」になっているという。

 Auroraの国内採用事例として、AWS移行に際してニュースサイトの記事データなどを格納するDBにAuroraを採用した毎日新聞社、RDS for MySQLからAuroraへの移行でWebトランザクションのレスポンスを3倍高速化(平均15ミリ秒から5.5ミリ秒へ)し、ノード数削減によるコスト節減も実現したGrani、10TBに及ぶRSSリーダー用の記事データを5系統(15台)のMySQLサーバーから1系統のAuroraに集約したドワンゴなどが紹介された。

「データレイク on AWS」という新たな動向

 ビッグデータ領域における新たな動向として、瀧澤氏は、クラウド上で「データレイク」の実現を検討する顧客も出てきている、と紹介した。クラウドならば事実上無限にデータを蓄えられるうえ、データ分析にも必要に応じて、その都度多様な分析サービスを適用できるからだという。

 瀧澤氏は、AWSではデータの収集から保存、分析、可視化まで多様なサービスラインアップを揃えており、分析処理もスケールアウトにより高いパフォーマンスで実行できることなど、そのメリットを語った。

クラウド上での大規模データ分析における要件
ビッグデータ領域におけるAWSのサービスマッピング

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