スマホのファーウェイが投入した初の本格PCの出来はいかに!?
MateBook X 試用レポ ファンレスなのにCore i搭載で大丈夫なのか!?
2017年08月15日 12時00分更新
ファーウェイは5月23日にドイツ・ベルリンで同社としては初のクラムシェル型のモバイルノート「MateBook X」と「MateBook D」を発表し、欧州では6月に発売された。
7月4日に発表となった日本モデルは、タブレット型2in1の「MateBook E」と13型の「MateBook X」のみで、15型のDは発表されなかったのが残念だが、製品版の「MateBook X」が到着したので試用してみた。
金・グレー・ピンクの3色展開
13型液晶は13.3型より広い!?
開封した「MateBook X」は、デザイン的にも名前的にも某A社の某MBシリーズに似ているねというのが第一印象だ。日本で発売となるのは、金色の「プレステージゴールド」とピンク色の「ローズゴールド」そしてシックな「スペースグレー」の3色で、上位のCore i7搭載モデルは金色のみという設定である。搭載CPUはi7とi5としか発表されていないが、試用したCore i5モデルは7200Uを搭載していたので、当然Core i7の方は7500Uと予想される。
液晶を開いてまず感じるのは、狭額縁と画面の大きさだ。13型で解像度は2160×1440である。ちょうど3対2で、いまどきのSurface型2in1パソコンたちと同じ。並べてみると、やはり従来の16:9比率の液晶より、あきらかに広く感じる。
実際に液晶の画面サイズを測ってみると、横275×縦183mmで、13.3型LAVIEは295×162ミリ。掛け算すると503平方センチと477平方センチでMateBook Xのほうが5%だが広い。
ちなみに3:2といえば、Surface BookにSurface Laptopだが、これらは13.5型なので、液晶サイズは285×190mmである。542平方センチと13%増になる。ちなみにちなみに、15.6型の16:9の場合は344×193mmで664平方センチなので39%増と。すいませんきりがないでが、モバイルノートの液晶面積はそんな比率なのである。
今流行りの「スクリーン・ボディレシオ」は88%で、狭額縁っぷりを誇っている。明るさは公表されていないが、最高輝度にするとマブシイくらい。コントラスト比は1000:1ということで、精細で文字も見やすい。タッチ対応でないのはクラムシェル型なので別にいいのだが、表面はスマホと同様のゴリラガラスを採用しており、ツルツルの光沢面である。バックライトが明るいとはいえ、天井の光源が反射するとちょっと見にくくなる。
本体サイズは286×211×12.5mmで、XPS13が304×200×15mm、LAVIE ZEROは305×205×16.9mmと、縦横比がちがいますが、狭額縁ライバルと競っていますね。
Core i7/5搭載でファンレスって
熱は大丈夫なのか!?
MateBook Xが新しいのは、Core i5/i7のUプロセッサーを搭載しながら、冷却のためのファンを搭載していない「ファンレス」構造であるという点だ。リリースによると「CPUの発熱対策にはファーウェイ独自のスペース・クーリング・テクノロジーと、航空宇宙グレードの放熱素材を活用」だそうである。冷却ファンはないから、本体の表面から放熱しているということになる。
実際にCPUが高速で走るベンチマークテストを回しっぱなしにしてみたところ、本体の底面が熱くなってきた。空調の効いたオフィスでも、赤外線式温度計で40度を超え、「とてもあたたかい」状態で、冬なら暖をとるのにちょうどいい。アプリでCPUの温度を調べると60度を超えていたので、底板が40度を超えるのもいたしかたないだろう。
ただ、そんな状態でも、上側のキーボード面はほんわか温かい程度なので操作には影響はない。素肌のヒザ上に置かなければ実用上問題はないだろう。
キーボードはうまく設計されており、日本語配列でもきゅうくつなキーは存在しない。Enterキーも大きめでストレスなくタイピングできる。キー入力音はとても静かで、回りに迷惑をかけることはない。
タッチパッドは105×60mmとやや横長で、表面はあまり滑りは良くない。クリック感は浅めで少し音がするが気になるほどではない。
ドルビーサウンドと指紋センサーは
極楽気分にさせてくれる
音のほうは世界初の「ドルビーアトモス・サウンドシテム」を搭載。キーボードの奥の部分にスピーカーが設置されているだけだが、このサイズのノートPCとしてはとてもクリアで広がりを実感する。ボリュームを上げても音が割れずにきれいに伸びるのも気分がいい。
指紋センサーを内蔵したPCはこれまでも各社から発売されているが、MateBook Xではキーボード右上にある電源ボタンに組み込まれている。登録はWindows 10のコントロールパネルで指示どおり指を置くだけだ。
従来の指紋センサーでは、Windowsが起動して認証する場面まで来て、指を押しつけまたはスライドして「入力」する感じになるのだが、MateBookXの場合は電源ボタンを押せば、そのまま認識してくれる。スリープからの復帰だけでなく、シャットダウンからの起動でも、ボタンを押した瞬間に指紋を認証しているので、そのまま本人として起動する。ログインのところで止まることはない。まさにスマホのウェイクアップと同じでまったくストレスがない。これは他のPCメーカーも真似してほしいものである。
インターフェイスは至ってシンプルで、本体の両側にType-C端子が1つずつとイヤホンジャックがあるのみ。片方にACアダプターを接続すると残りは1。このへんも某MBと同じコンセプトで、オプションで用意される「MateDock II」をつないで、HDMIやType-A端子を利用する。ただし、MateBook XはType-C→Type-Aの変換アダプターを1つ同梱しているので、購入してすぐにUSBメモリーやマウスをつなぐことができるのはありがたい。
疑っていた(すいません)速度は予想以上の結果
ファンレスなのに速いマシンなのである
みんなの大好きなベンチマークテストを実行してみました。ファンレスマシンということで、ひょっとしてCPUの駆動電圧やクロックを落としているのではないかという疑惑を勝手に持っていましたが、同じCPUを搭載したノートPCと同等か、より高速という結果が出ました。
おなじみCinebench 15ではCPUが320、OpenGLが44と、Core i5-7200Uとしては最高レベルの値です。また、3DMarkのFireStrikeでも903と、Core i7-7500Uに近い数字を叩き出してしまいました。底面は熱いですけど、きちんとスピードが出るのはすごいですね。
SSDの速度はいつものようにCristalDiakMarkで、こちらはマルチのSeqQ32でリード1297、ライト645、通常のSeqでリード690、ライト591と、PCIe接続モデルの標準的な値です。
バッテリーは41.4Whと公表されており、計測ソフトでも40Whが感知されました。いつものBBenchで最大輝度、高パフォーマンス、節約OFFで稼働させたところ、ほぼ4時間動作。同条件でのCore i7/i5搭載のモバイルノートの平均的な稼働時間は2.5~3.5時間だから、これは、40Whバッテリーとしてはとてもいい成績である。スマホで培った省エネ能力が注ぎ込まれているのだろう。
付属のACアダプターは最高20V2Aの40W出力だが、小型でケーブル込みで136gとこれも軽量級である。充電時間は上記と同じ条件で駆動しながらで、50%まで50分、70%まで85分とやや遅めである。
重量は公称1050gだが、計測してみたところ1048gであった。まあ、NECのLAVIE ZEROと富士通のUHが700~800g台を実現しているから「超軽量」とはいえないが(特に日本ではね)、ボディーの金属感はやはりこちらのほうが上である。
ズバリ液晶も音も指紋センサーもいい
ファーウェイさんだからこそLTEモデム内蔵おねがいします!!
13型のモバイルノートは、日本ではVAIOやThinkPadが、そしてNECや富士通がすでに耕しつくしてきた。そしてここ2年ほどの間に、某MB対抗として海外メーカーが銀パソを投入してきたという状態である。LAVIEとLIFEBOOKは700h台を実現し、MateBook Xより200g以上軽くて、液晶が360度回転するモデルもある。
MateBook Xのお値段はというと、たとえばCore i5+8GBメモリー+SSD 256GB+Officeで17万2800円(税別)と、日本メーカーとほぼ同じだ。同じモデルがAmazon.comでは1100ドルで売っているので、もう少しお安くしていただけるとありがたい。
MateBook Xの最大の魅力はやはり3:2の明るくキレイな液晶だ。加えて、いい音に指紋センサーのキモチよさ、そしてゴールドやピンクといったカラーを気に入ったら速攻で買いである。
いつもどおりですいませんが、ファーウェイさんが出すならやはりLTEモデムは内蔵してほしいところですね。オレ的にはCore i7でスペースグレーで英語キーボードが希望で、現状その組み合わせはないわけですが、せめて最上位モデルは3色から選べるようにしてほしいな~、ファーウェイさんよろしくお願いしますね~~