大手3キャリアに続き、先週はKDDIの「サブブランド」として注目されるUQ mobileが、夏モデルを発表しました。
認知度89%、年度内に90〜100万件を目指す
いま、格安スマホ市場で最も勢いがあるのはY!mobileです。ソフトバンクからMVNOへの流出はそれなりにあるとみられるものの、Y!mobileは3月に前年を大きく上回る契約を獲得しており、絶好調が続いているようです。
これを追いかけるUQ mobileは、CM効果により認知度は一気に89%まで上昇。CMの量に比べるとシェアは低いのではないか、との指摘はあるものの、KDDIによれば3月時点でのMVNOは87万4000契約で、J:COMやBIGLOBEを除くとUQは少なくとも30〜40万件はある計算になります。
mineoとの比較では、5月時点でau回線とドコモ回線を合わせて68万件で、まだUQに追いつかれていない可能性が高そうです。しかしUQは年度内に90〜100万件を目指しており、この目標はmineoとほぼ同じです。
一方でUQがY!mobileに負けているのが実店舗数です。UQスポットは67店舗にとどまっており、量販店などを含めれば全国展開しているとはいえ、Y!mobileの1000店舗には遠く及びません。
筆者が地方で感じた印象では、ルーターしか置いていない店、モックやパンフレットしかない店も多く、UQ mobileを本格的に売っている場所はまだまだ限られています。これではUQのCMを見て格安スマホを買いに行っても、結局は似たような料金のY!mobileを契約してしまうのではないでしょうか。
これに対して野坂社長は「このSNS時代に、1000店舗も必要とは思わない」と単純な後追いはしない意向を示しており、アイデア勝負を挑む構えです。
気になるのは、業界内で日に日に声が高まる「サブブランド」批判です。野坂社長はUQ mobileをサブブランドとは認めていないものの、KDDIの連結子会社であることから、KDDIグループとして有形無形の優遇があるのはないかとの疑念の声は絶えません。
たしかにユーザー視点では、キャリア品質の回線を安く使えるようになったことも事実です。そしてドコモに大きくプレッシャーをかけているのもサブブランドであり、その結果ドコモからシンプルプランやdocomo withを引き出せたともいえます。
一方で、格安スマホ市場はカウントフリーで安く使えるLINEモバイルや、子供やシニア向けに絞り込んだトーンモバイルなど、多様なMVNOがモバイル業界を面白くしています。こうした多様性を維持するためにも、フェアな競争に期待したいところです。
現実的になってきた「UQですべてをまかなう」構想
そういう意味では、発表会の最後に野坂社長が言及した「UQですべてをまかなう」構想も気になるところです。固定回線をUQ WiMAXに、スマホをUQ mobileに置き換えれば、UQだけで通信サービスを完結できるというのです。
かつてUQは、WiMAX 2+に「3日で3GB制限」があるにも関わらず固定回線の置き換えを提案したことで、大いに不評を買いました。しかし2月には「3日で10GB」に制限を緩和したことで、自宅利用が多い夜間時間帯が制限対象という点に気を付ければ、固定回線を代替できるケースは確実に広がった感があります。
サブブランド批判が吹き荒れる中では難しそうですが、ほとぼりが覚めた頃にWiMAXとモバイルの「セット割」のようなUQならではの施策を導入できるかどうか、注目しています。
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