無線LANをフル活用する環境で、ネット接続速度はどう変わる?
前述の3台のルーターを使用して、まずは距離や障害物による違いをチェックするため、ルーターの横約50cm、約5メートル離れた扉の外側、さらにそこからエレベーターホールをはさみ、15メートルほど離れた場所の3ヶ所から通信速度を測ってみた。
早速だが結果を見てみよう。
距離ごとの通信速度(負荷なし) | |||
---|---|---|---|
50cm | 5メートル | 15メートル | |
RT-AC68U (最大1300Mbps、3×3) |
469Mbps | 231Mbps | 60Mbps |
A (最大867Mbps、2×2) |
286Mbps | 113Mbps | 計測不可 |
B (最大1300Mbps、3×3) |
270Mbps | 141Mbps | 20Mbps |
真横50cmでは比較機のAとBがほぼ互角、『RT-AC68U』だけが2倍近い速度を叩き出すという結果となった。インターネットの接続速度は時間帯で大きく上下するため、たまたま大きな差が出てしまった可能性もあるが、少なくとも、どのルーターでも動画を見るには十分な速度が出ているといえるだろう。
扉越し5メートルの場所ではAの速度低下が顕著。Bと『RT-AC68U』も速度は半減してしまっている。とはいえどれも100Mbps以上を確保しているだけに、動画サイトで4K動画を再生するにも十分な帯域がある。
更に離れた15メートル地点では、どれも通信速度が激減。とくにAは通信が途切れてしまい、たまにつながるものの安定した通信はできなかった。Bと『RT-AC68U』は大きく速度を落としながらも通信は可能。Aのアンテナは2×2、Bと『RT-AC68U』は3×3となっていることから、速度の安定性では3×3のほうが上だといえそうだ。
続いて、別の機器が無線LANを使用している場合に速度がどう変化するかをチェックしてみよう。速度の計測方法は先の実験と同じだが、それに加えノートPC2台で『NetMi』を使い、データサイズ2048のUDPデータを送受信して負荷をかけている。
結果をまとめたのが下の表だ。
距離ごとの通信速度(負荷あり) | |||
---|---|---|---|
50cm | 5メートル | 15メートル | |
RT-AC68U (最大1300Mbps、3×3) |
326Mbps | 164Mbps | 4Mbps |
A (最大867Mbps、2×2) |
31Mbps | 5Mbps | 計測不可 |
B (最大1300Mbps、3×3) |
225Mbps | 120Mbps | 計測不可 |
アンテナが2×2のAは帯域の余裕が一気になくなり、速度が激減。扉越し5メートルではかろうじて接続できているが、もはや動画サイトを楽しめるような速度は出なくなっている。Bは扉越し5メートルまでは高速だったが、15メートルでは通信が不安定になり、途切れてしまった。近くで膨大な通信が行われてしまうと、遠く離れた弱い電波は届きにくくなるようだ。『RT-AC68U』は15メートル離れた地点でもかろうじて接続が途切れておらず、すべての範囲で通信できた。デュアルコアCPUによる処理とビームフォーミング機能の効果が良く出た結果といえるだろう。
動画の視聴を快適にするには、混雑や距離に強い3×3以上を選びたい
YouTubeなどの動画サイトで視聴する場合、通信速度が速い場合は通信が間欠的になる。逆に通信速度が遅いと間欠的な通信では間に合わなくなるため、通信が連続的になる。実際4K動画を再生しながら歩き回ってみたときのWi-Fiの様子が下の図だ。
前半はルーターの近くにいたときで、後半は扉を超え更に遠くまで行ってから戻ってきたところだ。この連続的な通信でも再生が間にあわなくなると、動画が止まってしまう。
動画が止まることなく視聴できる速度としては、フルHD以上の高解像度なら数十Mbpsほど欲しい。無線LANを使う機器が少なければ2×2の最大867Mbpsモデルでも問題ないが、複数の無線LAN機器を使い、さらに同時に通信することがあるというのであれば、3×3の最大1300Mbps以上のモデルを選んでおきたい。また、内部処理の速いルーターほど通信が混んだときでも高速で、遠くまで通信が続けられる。通信の安定性を重視するなら、内部処理の速いルーターのほうが有利だといえるだろう。
提供:ASUS、テックウインド