実は今回、別の衝動買い商品を紹介する予定で写真撮影などを行なっていたのだが、原稿を書く直前に届いた“耳をふさがず音を楽しむ”ambieの「サウンドイヤーカフ」(Sound Earcuffs)の第一印象を報告したい。
今回の商品で、一番大事なことは、サウンドイヤーカフに何を求めるかでその評価も大きく変わってしまうことだ。
発表資料を見てもおおよそ商品の見当はつくが、少なくともオーディオ系は、実際に商品を手にして使ってみないとなんとも言えないのは当たり前だ。
もちろん、サウンドイヤーカフが従来型のオーディオジャンルの製品かどうか意見は別れるかもしれないが……。
発表資料を見る限り、サウンドイヤーカフは、筆者のオーディオ製品や音楽に対する姿勢とかなり異なるコンセプトで発案、作られた商品のようで、当然のように発表時にはかなりのアウェイ感があった。
しかしモノは試し、使ってみなければ、何も分からない。そこで実際の商品が届き、丸2日間、目一杯使った印象を紹介したい。
耳にカシューナッツ? シンプルな見た目の
サウンドイヤーカフ
特に意味はなかったが、5色のバリエーションカラーの中から筆者の選んだのは「Toypo Brown」(トイプーブラウン)という、なかなかオシャレな名前がつけられた濃淡ブラウンのツートンカラーだ。
友人に言わせると、“耳からうどん”のアップル「AirPods」に対して“耳にカシューナッツ”のサウンドイヤーカフらしい。
本体重量は5.2g(ケーブル別スペック)と極めて軽量で、9mmのドーム型ドライバーユニットを使用した昨今ではまれに見るシンプルなイヤフォンだ。
ケーブル途中に、エレクトレットコンデンサーマイクと通話や再生音楽のポーズを制御するマルチファンクションボタンが配置された長方形のリモコンがある。
パッケージには、本体イヤフォンと簡単な取説、ワンペアの予備のイヤーピースが同梱されている。
耳殻の一部にクリップする独特な装着方法

安物からそこそこの値段のモノまで、筆者の持っているイヤフォンは90%以上が、外耳道に突っ込んで密閉するタイプのオーディオ製品だ
サウンドイヤーカフの何よりの特徴は、「イヤーカフ」の名前の通り、従来のイヤフォンのように耳の外耳道にイヤーピースを押し込む形式ではなく、耳殻の一部にクリップして固定する。
昨今は、音響技術の進化によるハイレゾの浸透が凄まじい。そのため、音楽の精度を聴かせるインイヤー型イヤフォンでは、硬軟さまざまな素材やサイズのイヤーピースの中から自分の外耳道に最もフィットするイヤーピースを選択し、できる限り外耳道を塞ぎ密閉度を上げて、音楽に没頭して聴く傾向がある。
今回登場したサウンドイヤーカフはそれとは正反対のアプローチのイヤフォンだ。この手のイヤフォンでは、以前より骨伝導イヤフォンが一般的だが、サウンドイヤーカフは、従来のインイヤー型でも骨伝導型でもない新しいタイプとなっている。
サウンドイヤーカフは、耳の外に出ている部分である「耳殻」(じかく)の一部にクリップして固定するために、形状的には勾玉やイヤーカフ・デザインだ。
本体の一番太い部分にドライバーが入り、イヤーピースの先端に向けて音が出て行く構造。そもそも「イヤーカフ」という言葉に親しみのない人は、サウンドイヤーカフの購買対象セグメント層ではないかもしれない。
サウンドイヤーカフを耳殻に取り付ける時に、イヤーピースの先端にある穴が外耳道の中に向いていれば基本的な位置決めは大丈夫のようだ。
人間がそれぞれ違うように、耳殻の形状も個体差があるため、すべての人にベストマッチな形状にするには無理がありそうだが、おおよその角度が合っていれば大丈夫なようにも感じる。

筆者が時々使っている「AirPods」も落としそうで常に心配だが、実際に落としたことはあまりない。一方、サウンドイヤーカフのイヤーピースは落ちそうにないのに、装着や脱着の際に簡単にポロッと取れて落とすことが多い
装着や脱着に慣れれば問題ないのかもしれないが、不器用な筆者は、サウンドイヤーカフの取り付けや取り外しの度に左右どちらかのイヤーピース部分だけを落としてしまうというトラブルが多発した。
耳殻に装着するため、耳を傷めないようにフレキシブルな構造に作られているのも原因の1つかと考えられる。
オーディオ大好き少年からそのまま歳をとったような筆者は、すでに多くのイヤフォンを使ってきているが、そのほとんどすべては外耳道にどっぷりと突っ込むタイプのインイヤー型のイヤフォンだ。自宅にある例外は、バングアンドオルフセンとボーズの2つのイヤフォンだけだった。

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