このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

売り上げに直結するサイトは今こそパフォーマンス管理を!

レスポンスが命取りのWebサービスをAppDynamicsは救えるのか?

2017年02月06日 10時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

軽量なエージェント、しきい値の自動設定などAppDynamicsならではのメリット

 2008年に生まれたAppDynamicsはもともとJavaアプリケーションのパフォーマンス管理からスタートしたツール。その後、幅広い言語をサポートするAPMツールとして進化を続け、軽量なエージェント、しきい値の自動設定、いち早いクラウドへの対応などパフォーマンス管理で重視されるポイントを確実に抑えた製品として急成長を続けている。

 こうしたAppDynamicsの最大のメリットは、やはり機会損失の予防と防止だ。AppDynamicsを使えば、障害の原因をいち早く把握できるだけではなく、対処の優先順位を付けることができる。「お客様からのクレームで気づくのではなく、運用側がレスポンス時間の悪化にいち早く気づくことができ、予防的な保守が可能になります」と田中氏は語る。

 導入が容易なのもAppDyamicsの大きなポイントだ。具体的にはアプリケーションやDBサーバー、ネイティブアプリなどにエージェントをインストールすればよい。また、サイトのコンテンツにはJavaScriptのコードを一行追加する。これにより、サーバー間のデータやリクエストの流れをエージェントがトレースし、収集したデータを元に自動的に構成をリアルタイムにマッピングする。

エージェントのインストールによってユーザーの実体験を計測できる

 エージェントの導入というと、サーバーへの負荷も気になるが、AppDynamicsのエージェントはCPU負荷も3%未満に抑えているので安心。「パフォーマンス管理ツールがパフォーマンスに影響を与えてしまうということが他のAPMツールだとあるのですが、AppDynamicsだとそうしたことも起こりません」(田中氏)。

泥臭いログ回収なしに、しきい値を自動設定

 さらに特徴的なのは、収集したデータを学習し、しきい値を自動設定してくれる点だ。つまり、ログ収集・解析のような泥臭い作業なしに、トランザクションの成功の可否や各コンポーネント間のレスポンスタイムをとれるようになるわけだ。「通常のAPMツールはコンサルティング担当がつくので運用コストもかかりますが、AppDynamicsは週ごと、月ごと、期ごとのデータを機械学習してくれるので、使えば使うほどしきい値の精度が高くなります。しかもソースコードのここが問題という箇所まで指摘してくれるので、本当に問題となるところがピンポイントでわかります。誤検知で悩まされることもなくなります」と田中氏はアピールする。

各サーバーのレスポンスタイムがグラフィカルに表現される

 もちろん、トレースしたログはデータベースに格納されているため、過去にさかのぼってレスポンスが悪かったタイミングのデータを抽出することが可能になる。「たとえば、『Very Slow』というイベントを取り出し、各コンポーネントをドリルダウンしていくと、データベースのクエリ処理など時間がかかっている箇所がわかります。これならエンジニアの経験のないユーザーでも問題をかなり絞り込めます」と田中氏は語る。

レスポンスの悪い箇所をドリルダウン

ソースコードのレベルから障害とおぼしき箇所を検証できる

 さらにモバイルからサーバーまで透過的に管理できる点も大きなメリット。モバイルアプリにもエージェントを組み込んで配布できるので、クラッシュの状態やユーザーの使っているOSのバージョンなどを確実に把握できる。

OSごとの接続箇所などもマッピングしてくれる

 競合すると考えられる製品・サービスとしては、アカマイやAWSのCDNサービスがあるが、これらはあくまで高速化の手段。AppDynamicsのようなAPMとむしろ併用して効果を上げる製品と言える。一方、Chrome Developer Toolsも競合になる可能性があるが、こちらはむしろテスト向けのツールで、表示速度に影響する条件もあくまで限定的になる。その点、AppDynamicsはすべてのユーザーがどのような体験をしているのか、リアルタイムに把握できる。また、複数のツールを組み合わせなくても、AppDynamicsであればすべてを一気通貫で管理できるため、複数のツールを組み合わせる必要はないという。

日本市場はAPM前夜 まずは試用とコンサルティングで効果をチェック

 AppDynamicsはすでにグローバルで約2000社のユーザーを抱えており、eBayやSalesforce、Expediaなど名だたるWebサービス事業者がユーザーとして名前を連ねている。また、FinTechに注力するNASDAQや欧米の銀行など、金融機関での実績はかなり高い。「欧米では、金融機関のサービスが完全にモバイルにシフトしています。でも、使いにくかったら、若者はすぐに離れてしまいます」(田中氏)とのことで、APMは従来とは異なる業種に拡がっているという。

 日本でも動画配信サービスを展開するU-NEXTやストックフォトのアマナイメージズ、グルメサイト大手のぐるなび、ゴルフのポータルサイトを運営するゴルフダイジェスト・オンラインなどのWebサービス事業者が利用しているほか、大手小売業、金融機関、旅行サイト、百貨店などが導入しているという。「ユーザーからクレームが来ても、今まで事業部門からは『なんだか遅いんですけど』とシステム部門に伝えるしかなかったんです。でも、AppDynamicsを事業部門とシステム部門とで利用することで、状況を共有しやすくなります。実際、お客様からも『パフォーマンスが安定した』『エラーが半減した』『障害対応の工数が削減された』などの声をいただいています」と田中氏は語る。

「パフォーマンスが安定した」「エラーが半減した」などのお声をいただいています(田中氏)

 最新版のAppDynamicsは「Business iQ」という簡易BI機能を搭載し、アプリケーションのパフォーマンス管理のみならず、ビジネスレイヤーの影響も調べられる。たとえば、商品がカートに入っているにもかかわらず、決済まで進んでいないといった状況をいち早く察知し、アプリケーションの改善を促すことが可能だという。

 残念ながら、日本ではAPMの認知度が低い。実際に説明すると、期待は高いのだが、果たして投資効果が得られるのか、不安に思っているユーザーも多いようだ。そこでNSSOLでは製品版を1ヶ月間貸し出し、無償のコンサルティングまで提供するアセスメントサービスを展開している。対象としては、モバイルアプリを展開するECやゲームの事業者、不動産系のサイトやチケット販売、FXや証券サイトを運営している事業者などだが、Webサービスにもはや無関係な事業者はいないはずなので、多くの企業が想定ユーザーになる。興味を持ったユーザーは、試用を申し込んでみるとよいだろう。

(提供:新日鉄住金ソリューションズ)

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード