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DXの難所に対応すべくSIerからX Integratorに変わるNSSOL

2020年10月09日 09時30分更新

文● 大河原克行 編集●大谷イビサ

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 日鉄ソリューションズ(NSSOL)は、同社のDX事業戦略について説明。今後の方向性として、「System Integrator(SI)から、X Integratorへと転換を図る」と述べた。Xには、個々の変革をつなぎ、より大きな変革に取り組むというトランスフォーメーションのXと、DXを推進する際に現れる難所を乗り越えなくてはならないことを、変数のXで示し、X Integratorとしているという。

日鉄ソリューションズ 執行役員 DX推進&ソリューション企画・コンサルティングセンター所長の齋藤聡氏

ファーストDXパートナーとして組織と戦略を変革

 日鉄ソリューションズ 執行役員 DX推進&ソリューション企画・コンサルティングセンター所長の齋藤聡氏は、「NSSOLは、ファーストDXパートナーとして、Xインテグレーションを支える組織体制を構築することになる。競争力の源泉は、業務プロセス、組織、システムの変革を、持続的にインテグレートすることである。NSSOLでは、『デジタル技術とデータを自在に駆使した持続的な業務およびビジネス変革』をDXと位置づけ、それを支え、推進する役割を担う」などと述べた。

 同社は、日本製鉄の情報システム部門を前身としており、日本製鉄グループのシステムソリューション事業の中核会社に位置づけられる。2020年3月期の売上高は2748億円。鉄鋼分野での長年の実績をもとに、製造、流通・サービス、金融分野などに強みを持つ。

 2020年4月には、DXの推進やソリューション企画、コンサルティングセンター機能を持つDigital Transformation& Innovation Center (DXIC) を設置。最新技術を活用したDXへの取り組みを加速している。

「ファーストDXパートナーとして、顧客と一体となり、変革のインテグレーションを支え続ける力を、全社の力にする必要がある。これまでの強みである問題解決力、技術力、業務知見、実直さを変えずに、X インテグレーションの力と、答えなき道を顧客とともに探索するマインドを組み合わせ、事業部、DX推進組織、技術研究部門が一体となって改革を進める」と語り、「DXICでは、ビジネス変革、組織変革をデジタルで駆動する力を強みにし、事業部と一体となり、顧客の変革を、迅速、柔軟に支援。世の中への提供価値を高める役割を担う」とする。

DXICの組織

 DXICは、DX戦略や計画策定などにより新しい価値を生む「ITコンサルティンググループ」、「イノベーション共創&組織変革グループ」、AIの事業への適用やデータの利活用を促進する「AIソリューショングループ」、「データ活用グループ」、ビジネスアジリティを促進するシステムを担当する「アーキテクチャグループ」、UXやBizDevOps、デザイン思考などの新たな開発プロセスを取り入れる「BXDC(Beyond Experience Design Center)」で構成されている。

DXで直面する3つの難所とは?

 同社では、「DXにおいては、直面する3つの難所がある」と指摘する。それは、個別最適を超えた統合(Integration) による変革で現れる難所、積み重ねてきた競争力の変革を求めたときの難所、そして、単発で終わらずに持続的な変革を進める際に現れる難所だという。

「企業は、長い年月をかけて、価値を生み出すために、基幹業務を処理するSoR(System of Record)を整備。顧客接点のためのSoE(System of Engagement)の導入、改善を行い、洞察や知見を得るためのSoI(System of Insight)の試行、活用を行っている。だが、これを業務横断型で、全体最適化をしようとした場合、組織の壁を越え、目的を共有し、バラバラな業務やデータをつなぎ、多岐に渡る変革の統制が必要になる。これを実現する難易度は極めて高い。トップダウンでDXを推進しようとしても成果が得られない企業はこの難所を乗り越えられないのが理由である」と齋藤氏は語る。

統合による変革

 そのうえで「事業領域それぞれに、独自の仕組みが構築され、それが競争力の源泉になり、しかも、長年の取り組みによって、絶妙なバランスの上に成り立っているが、そこから、何を変え、何を残し、何を捨てるかの判断ができないという難所に直面している企業も多い。ここには、2025年の崖として語られるレガシーシステムのモダナイゼーションも含まれる。さらに、技術の急速な進化と、加速度的に変化し続ける事業環境の変化にあわせ、自らも変革し続けなくてはいけないという難所がある。一度変革をすれば、数年間は継続できるというものではなく、つねに少しずつ変革しなくてはならない。ここにも大きな難所がある」と指摘する。

 そして、「こうしたDXの難所を乗り越えるためには、SIerも変革が必要である」とする。NSSOLが打ち出したX Integratorは、自らの変革を進めながら、こうした企業のDXへの取り組みを支援するものであり、SIの新たな役割を示すものと位置づけている。

「システムの統合だけでなく、業務プロセスの統合、組織の統合までもサポートすることで、企業のDXへの取り組みを支えることが、これからのNSSOLに求められる。NSSOLがシステムインテグレータから、X Integratorに変革することは、必然であり、必達目標である」と述べ、「NSSOLには、お客様と同じ目線で、業務を理解し、難所に立ち向かってきた経験がある。そして、変革の手段としてデジタル技術を駆使できる力がある。これによって、持続的な事業成長や提供価値の変革、その先にある組織パーパス(目的)の実現に貢献できる」(齋藤氏)。

日本製鉄のDX事例と2つの支援プログラム

 同社が取り組んだDXの具体的事例として、日本製鉄をあげた。

 従来の仕組みは、受注をもとに本社で粗い生産計画を策定したのち、全国の製鉄所で詳細な生産計画を策定していたが、この結果、生産計画が各製鉄所で最適化され、個別KPIで管理。全社で詳細計画を俯瞰することが困難な状態にあったという。また、受注・販売計画から、出荷までの期間が長期化し、柔軟性を持った生産計画を立案できない状況にもあったという。こうした仕組みは、全体最適化や全体利益の最大化が難しいプロセスとなっていた。

 そこで、全体最適を目指して「仮想ワンミル(ONE MILL)」と呼ぶ仕組みを導入。本社および製鉄所の状況を一元的に管理できる統合データ基盤を構築し、柔軟性を持った生産計画を実現する環境へと移行。その上で、AIやデジタル基盤を構築し、全社横断の気づきを得ることで、全体プロセスの最適化に取り組んだという。

日本製鉄の仮想ワンミル

「日本製鉄の取り組みは、全社インテグレーション、レガシーシステムとの連携、変革の継続性のため新たな基盤におけるアジリティの担保という3つの難所を乗り越えるものになる」(齋藤氏)。

 一方、同社では、X IntegratorとしてDX支援を支援するための新たなプログラムを2つ発表した。

 1つめは、DX推進を支援するデジタルイノベーション共創プログラム「Angraecum」(アングレカム)である。

 こちらは「志の高いチーム形成」、「より本質的な課題創出」、「IT実装による具現化」を実現し、効率的なDX 推進を支援するプログラムと位置づけており、具体的には、アート思考やデザイン思考を取り入れたワークショップや、アイデア創出ツールの活用、コンサルティング、ソフトウェア提供といった各種メニューで構成。企業ニーズに応じて必要なサービスメニューを提供することで、チーム形成や課題創出から事業化までをワンストップで実現するという。

 各サービスの提供は、アイデア創出や事業変革推進の経験が豊富なコンサルタントや、DX案件に豊富な実績を持つエンジニアが担当。サービスは、すべてオンラインで提供できるため、新型コロナウイルス感染拡大の影響下においても、多様な人材を集めたプロジェクトを効率的に実施することが可能だという。

 もうひとつは、VISITS Technologiesと共同で提供する「ideagram」である。

 DX推進に向けたアイデア創出の支援において、デジタルイノベーションをワンストップで提供するサービスで、アイデア創出プロセスに誰でも参加しやすく、フラットで、科学的な評価ができ、運営側の負荷も低減することができるのが特徴だ。

 VISITSが特許権を保有するCI(コンセンサス・インテリジェンス技術)を用いて参加者の目利き力を計測。多数決によるスコアづけではなく、目利き力の優れた参加者が高く評価したアイデアに対して、高得点を付与するという仕組みを活用。より尖ったアイデアや潜在ニーズを的確に捉えた意外性のあるアイデアを、運営側の作業負荷なしで科学的に抽出にすることができるという。これらのプログラムは、DXICのITコンサルティンググループを通じて提供されるという。

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