焼く=◯
試しに乾熱料理もやってみました。ベーコンを敷いて卵を割り入れフタをして、水分が飛んだ頃にスイッチが切れてできあがり。適当に焦げ目も付きます。できあがったものはお箸でつかめるので、そのままお皿に移せます。ただし卵の黄身は完全に火が通ってしまうので、半熟が好みならマニュアル操作が必要です。
乾熱調理その2。ホットケーキ。ホットケーキミックスの量には注意が必要です。これは景気良く4枚分200gを投入し、膨張して収拾がつかなくなった状態。こうなると底の方だけ焼けて、いくらやっても上には火が通りません。
結果として生焼けの巨大おやきのような状態に。ただ、焦げ付いて煙が出るようなこともなく、きれいに焼き目が付くのはわかりました。ホットケーキは多分いけます。
ミックスの量を1回50gくらいならこの程度に。適当に水分が蒸発するとスイッチが切れるので、何度かスイッチを入れ直す手間は必要です。フライパンで焼く場合も、濡れ布巾で冷やしながら焼く、あの手間と同じようなものです。
揚げ物=×
いろいろやってみて思ったのは、SR-03GPが2台あると便利だろうということ。たとえばカレーを作りながらご飯が炊ける。燗をつけながらおでんが温められる。ベーコンエッグを焼きながらホットケーキが作れる。これは素晴らしい。
もうひとつ思ったのは、結局、スイッチは何度で切れているのかということ。この温度は調整もできないので、調理器として使うには、このスイッチの仕組みが功罪半ばします。
そこで食用油を内鍋に入れて加熱し、料理用の温度計で測ってみました。すると130度に達する直前にスイッチは切れる。切れた後もヒーターの予熱で132度まで上がりますが、すぐに下降を始め、120度以下に落ちたところで、再びスイッチを入れられる状態にはなる。が、いくらやっても130度以上には上がらない。
もし180度程度まで上がればフライヤーの代わりにもなるでしょう。ですが、デスクトップクッキングというテーマで考えると、机の上で油が飛んだり煙が出るような料理はやりたくない。だからこれでいいのだ、とも思えます。
それに、お米を炊く際に、適当量のおこげも含めていい塩梅で炊けるのは、このスイッチも含めた温度カーブの絶妙な設定の賜物。この仕組みに技術者の知慧が凝縮されているとも言えます。次回は技術系のウェブらしく、スイッチの仕組や炊飯器の生い立ちを確認した上で、独居老人予備軍の将来を想像してみました。我々には予想外の未来が待っているかもしれません。
著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ