ソフトバンクという1つの株式会社の中で、別ブランドとして展開されるソフトバンクとワイモバイル。月曜日にはソフトバンクが、水曜日にはワイモバイルが発表会を開催、しかも同じ会場、同じ時間ということもあり、類似性が話題になりました。
ソフトバンクとワイモバイルの発表会を比較
両ブランドともに、ソフトバンクグループであるヤフーとの連携を強化。Yahoo!ショッピングでの買い物時に得られるTポイントはソフトバンクが最大20倍、ワイモバイルは最大17倍(同条件なら21倍)と、倍率を競っていました。
どちらの発表会にもヤフーからゲストが登壇。ソフトバンクの発表会ではヤフー社長が、ワイモバイルの発表会にはヤフー副社長が、それぞれにポイントのお得さをアピールしました。
プロモーション面では、ソフトバンクの新CMになんとジャスティン・ビーバーが登場。ワイモバイルがCMに起用するピコ太郎が、世界的にブレイクする火付け役となったのがジャスティン・ビーバーであるだけに、絶妙なキャスティングといえます。
プライスレスな「体験」を重視するソフトバンク
このように発表会が似ていた両ブランドですが、その価値観は大きく異なっています。それはワイモバイルが「安さ」重視なのに対し、ソフトバンクが「体験」を重視している点です。
ソフトバンクは、毎週金曜日に世間を騒がせた「SUPER FRIDAY」の第2弾を発表。3月にはファミリーマートの「ファミチキ」、4月にはサーティワンのアイスが無料でもらえます。
これに対して「そもそもワイモバイルや格安スマホに移行すれば毎月の料金は大幅に安くなり、チキンやアイスなどいくらでも買える」という見方はあるでしょう。
しかしソフトバンクでiPhoneを使っていて、週に1度、180円のフライドチキンを買うお金に困っている人というのはあまり想像できません。むしろSUPER FRIDAYの面白さは、「決まった日に決まったものを食べる」というイベント性にあります。
友達と誘い合ってファミマやサーティワンに行き、行列を見て驚く。そういう体験にはお金で買うことのできない価値がある、という価値観を持つ人たちこそ、ソフトバンクのターゲットといえます。
「学割SUPER FRIDAY」の真の狙いが気になる
ここで話が終われば、ソフトバンクかワイモバイルかという選択は個人の価値観の問題として片付きます。しかし学生、とくに中学生や高校生にとって、キャリアを選ぶのは親であることも多く、家族で同じキャリアを使うのが合理的です。
そしてSUPER FRIDAYの第2弾では、25歳以下のユーザーならチキンやアイスを2個もらえるようになります。「ソフトバンクユーザーではない友達ともシェアしてほしい」と、発表会でも呼びかけていました。
ただ、大手キャリア同士ならともかく、ワイモバイルや格安スマホを使っている友達にチキンやアイスをあげるとなると、そこに生じる人間関係の変化が気になるところです。
今後は「家族みんなで格安スマホにしようか」と検討する家庭がますます増えていくでしょう。その中で「うちはソフトバンクのままがいい」と親に頼み込む子供が増えるとすれば、チキンやアイスの値段をはるかに上回る価値をソフトバンクにもたらす可能性があります。
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