このページの本文へ

先進技術に長けたスタイルズが日本第1号のパートナーへ

インフラに依存しないコンテナ管理を目指すRancherが国内展開

2017年01月12日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

1月11日、コンテナ管理ツールを展開するRancher(ランチャー)は同日のコミュニティイベントの前にプレス向け説明会を開催。クラウドやオンプレミスなど、インフラに依存しないコンテナの管理を実現するRancherの概要と技術的な特徴を解説した。

日本でも本格始動したコンテナ管理のRancherとは?

 cloudstackの開発メンバーによって設立されたRancherは、コンテナ管理ツールである「Rancher」と軽量なLinux OSである「Rancher OS」を開発するスタートアップ。調査会社ガートナーのレポートでは、コンテナエンジンであるDockerやオーケストレーターのkubernetes、Mesos、Marathonを制御するコンテナワークフローというジャンルにあたるという。最新バージョンは1.3で、サポートありの商用版とOSS版が提供されている。

PaaS領域におけるRancherの位置づけ(ガートナー)

 CI/CD(継続的なインテグレーション/デリバリ)のパイプラインの中でRancherが担うのは、コンテナをベースにしたテストやデプロイ、管理の部分。その他、開発やビルド、パッケージングなどはGitHubやJenkins、Dockerが他のツールがその役割を担う。クラウド、オンプレミスなどインフラを選ばず、ワンクリックでコンテナ環境をデプロイできるのがRancherの最大の特徴だ。

CI/CDでのRancherの担う役割

 日本でのRancherの展開はスタートしたばかりだが、すでにコミュニティや事例、日本語情報があると、Rancher Labsの新藤洋介氏は語る。ユーザーコミュニティ「RancherJP」はすでに100人規模のイベントを開催しており、ローカライズにも大きく寄与している。また、国内エンタープライズ企業での大規模な導入事例もあり、QiitaやSlackを中心にした日本語情報も用意されている。昨年からは日本語のWebサイトも立ち上げ、翻訳記事やセミナーの情報を掲出しているという。

Rancher Labsの新藤洋介氏

特定のクラウドに依存しないコンテナのオーケストレーションが必要に

 技術面の説明を行なったのは、今回新たにRancherのSIパートナーになったスタイルズのエバンジェリスト 矢野哲朗氏だ。スタイルズはクラウド、サーバーレス、Angular JSなど最新技術によるエンタープライズシステムの開発、OSSを中心にした運用を手がける国産SIer。同日よりライセンスの販売と日本語でのサポートを開始する。

スタイルズ エバンジェリスト 矢野哲朗氏

 矢野氏は、Rancherが生まれた背景として、Docker管理の煩雑さをがあると指摘。「Dockerをコマンドで直接使うのは難しい。ストレージやネットワークを管理するのも大変」と語る。これに対して、RancherはKubernetesやMesos、Docker Swarmなどコンテナオーケストレーター自体を容易にデプロイできるほか、アプリケーションのイメージをカタログとして提供する機能も持つ。カタログにはRancher認定のイメージのほか、ユーザーやコミュニティのイメージも登録でき、Docker Hubとの連携も可能。また、CPUやメモリ、ネットワーク、ストレージなどコンテナの利用状況をGUI画面からチェックできるほか、他のクラウドと橋渡ししてくれるVPNベースのオーバーレイネットワーク機能も持っており、複数のインフラサービスを透過的に利用できる。さらにActive Drectory連携や監査ログの機能など、コンテナをエンタープライズ環境で利用するための機能も備えている。

 レイヤー構造としてはクラウド・オンプレミスで動作するLinuxのホスト上にRancherのインフラサービスが構成される。このインフラサービスでは、ストレージ、ネットワーク、ロードバランシングなどの管理サービスが提供されており、その上にKubernetesやMesos、Swarmなどのオーケストレーター、さらにユーザーが利用するイメージカタログが載る。Rancher自体はマネージャーとエージェントで動作しており、自身もコンテナとして動作するという。

Rancherの特徴

 最新のRancherのダウンロード数は現在約1600万にのぼっており、Docker全体の0.3%にのぼっているという。ユーザーはスタートアップやエンタテインメント企業を中心に多岐に及んでおり、スケーラビリティや伸縮性などを容易に実現しているという。創業者でセールスVPを務めるシャノン・ウイリアムス氏は、「米国ではコンテナ運用のレベルを引き上げるべく、特定のクラウドに依存しないコンテナのオーケストレーションが求められている」と語る。

■関連サイト

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    ITトピック

    PC価格高騰で4割の企業が「調達を延期」/“謎のExcelマクロ”は業務継続リスク/日本のデジタル行政、利用率・満足度とも最低レベル、ほか

  2. 2位

    ビジネス・開発

    「ドラクエXの世界観を壊さない」Gemini実装 プロンプトからセキュリティ、サーバー設計まで工夫の数々

  3. 3位

    ビジネス・開発

    首都高が「AIの高利用者」を1年で10倍に 非IT人材に刺さったGemini Notebookと“泥臭い”浸透策

  4. 4位

    TECH

    【提言】フロンティアAIが生む“脆弱性パッチの波” 企業はパッチ適用プロセスの見直しを

  5. 5位

    TECH

    「SCS評価制度」取得を目指す中堅・中小製造業のリアル 富士工業が考える「セキュリティは経営に役立つのか」の答え

  6. 6位

    TECH

    生命がわずかな熱を細胞内で維持する新しい原理を発見

  7. 7位

    デジタル

    約3000人のハッカーが侵入できなかったpCloud すべてはユーザー自身のデータを守るため

  8. 8位

    デジタル

    属人化の解消は多忙な“Aさん”を救うことから 切り札は「kintone×AI」を自然に使わせる仕組み

  9. 9位

    デジタル

    平均年齢60歳の現場を変えたZ世代女子 kintoneで電話・紙・入力をなくしたら、仕事が楽しくなった

  10. 10位

    デジタル

    大企業導入も順調なkintone AI時代の“市民開発×ガバナンス”基盤を目指す

集計期間:
2026年08月19日~2026年08月25日
  • 角川アスキー総合研究所