このページの本文へ

OpenLabイノベーションセンターではハッカソンも開催

クルマの歴史からネットワークの自動化を学ぶジュニパー

2016年12月16日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

12月15日、ジュニパーネットワークスはネットワーク自動化技術「Self-Driving Networks」のビジョンに関する説明会を開催した。登壇した米ジュニパーのキリーティ・コンペラ氏は、自動車のイノベーションをネットワークに重ね合わせ、自動化を推進する取り組みについて説明した。

自動車のイノベーションに学ぶ「自動化」の歴史

 Self-Driving Networksはネットワークの設定、監視、障害時の修復、ユーザーの検出、プロビジョニング、最適化、レポートなどの自動化を実現するための同社のビジョンになる。管理者がコストの最適化やユーザーやアプリケーションの優先など高次な目標をサービス要件として設定すると、ネットワーク自身がSLAを遵守すべく、自律的に自己を保守し、最適化するというものだ。

 こうしたSelf-Driving Networksのチャレンジを米ジュニパーのキリーティ・コンペラ氏は、車と自動運転の歴史をひもときながら説明する。

米ジュニパーネットワークス 開発・イノベーション担当最高技術責任者(CTO)キリーティ・コンペラ氏

 自動車の誕生はベンツ氏が特許を出願した1885年とされている。コイル式点火器を備えた単気筒エンジンとブレーキを制御する蒸気式キャブレターを装備した初期の自動車はマニュアル操作が多かったが、その後トランスミッションやエンジン制御、ブレーキ、ステアリングなどさまざまな自動化が推進され、現在では完全自律型の自動運転車が実用化に向けて推進されている状況だ。

 DRAPAが行なっている自動運転車のコンテストでも、2004年は最長でも12kmしか進まず失敗といえるレベルだったが、2005年には23台中5台が240kmのコースを完走。2007年には市街地を想定したコースを、交通規則に従い、他の車両に対応しながら走行するアーバンチャレンジが行なわれたが、こちらも6台が完走。矢継ぎ早に技術革新が進んだ。現在ではステアリングホイールもペダルもない、完全な自動運転車が誕生しており、実用化に近いところまでこぎ着けている。

OpenLabの設立でイノベーションを推進

 こうした自動運転車の進化と同じく、ネットワークの自動化も今後一気に発展すると予想される。SDNの技術を踏まえたジュニパーのSelf-Driving Networksもネットワークの状況をリアルタイムにつかむテレメトリと自動制御機能を同社のソフトウェアである同社のソフトウェアであるJUNOSに載せると共に、さまざまな言語や監視ツールを利用できる開発環境を用意している。

 ネットワーク自動化を推進するプラットフォームを整備することで、ユーザーは「どのように行なうのか」という手段ではなく、「なにをしたいのか」という目的にフォーカスしたサービス要件で、ネットワークの設定や運用が自律的に行なえるようになるという。また、従来の人間によるルールベースではなく、機械学習を用いた意思決定を導入することで、ネットワークエンジ二アがよりサービスに専念できるクリエイティブになる環境を実現するという。

 そして、こうしたネットワークの自動化技術を学習したり、実際の検証を行なうための場所としてジュニパーは「OpenLabイノベーションセンター」を日本オフィスに開設する。

OpenLabイノベーションセンターで提供するもの

 2012年に米国のニュージャージーで設立されたOpenLabイノベーションセンターは、これまで150回を超えるトレーニングセッションやSDNハッカソンを実施しており、ベンダーとユーザーが協力することで、実際のソリューション開発に役立てている。日本のOpenLabイノベーションセンターではSDN対応のサンドボックスやネットワーク仮想化の相互運用テストなどが提供されるほか、2017年の春にSDNハッカソンを開催する予定。今後必要となってくるエンジニアの技術育成とソリューション開発をメインに、ネットワーク自動化を盛り上げていきたいという。

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード