ジュニパーネットワークスは3月25日、スイッチング、ルーティング、セキュリティの3分野で新製品および新機能を発表した。データセンター向けには、独自ASIC「Q5」を搭載し、新ファブリック技術「Junos Fusion」に対応した100GbE対応スパインスイッチ「QFX10000シリーズ」を発表している。
「パフォーマンス」と「自動化」が技術開発の主軸
発表会に出席したジュニパーネットワークスの加藤浩明氏は、IoT時代の到来によって「今までのような(IT、ネットワークを使った)ビジネスのやり方、あるいはネットワークインフラでは立ちゆかなくなっていくのは明らか」と述べ、ジュニパーでは今後も「チップセット」「システム」「全体を統合するソフトウェア」の3分野への開発投資を継続し、イノベーションを提供することで、顧客の必要とする「変化」をサポートしていく方針であると語った。
さらに、ジュニパーの技術開発の基本的な主軸は「パフォーマンス」と「自動化」であることを強調した。「ここで言う『パフォーマンス』はスピードだけでなく、スケール性、消費電力、信頼性、セキュリティの高さ、レジリエンシ(回復力)なども含む。また『自動化』には、効率性の向上だけでなく、新しいサービスを提供するまでの時間短縮、運用上のヒューマンエラーの削減などの狙いもある」(加藤氏)。
従来比4倍のパフォーマンスを持つ新たなルーティング用チップセット
ルーティング領域では、従来比(Express比)で4倍のパフォーマンスを実現した新しいコアルーティング用チップセット「ExpressPlus」を投入したほか、ExpressPlusを採用した「PTXシリーズ」ルータ用のラインカード新モデルが発表されている。これにより、PTX5000は合計24Tbps、PTX3000は8Tbpsまで拡張可能となった。これらの製品は今年第3四半期から出荷を開始する。
またSDN対応のWANコントローラ「NorthStar Controller」が機能拡張され、IP網だけでなく、光レイヤーも可視化/制御できるようになった。「NorthStarはオープンスタンダード技術を利用し、IPレイヤー、光レイヤーともマルチベンダー対応できるコントローラ」(加藤氏)。
データセンタースパインスイッチと「Junos Fusion」発表
QFX10000は、2Uサイズの「QFX10002」、13Uサイズ(8スロット)の「QFX10008」、21Uサイズ(16スロット)の「QFX10016」の計3モデルで構成されるスイッチ製品シリーズ。今年第2四半期にQFX10002がリリースされ、以降順次リリースされる予定。
同シリーズでは、ジュニパーが独自設計/開発した高速ASIC「Q5チップセット」を採用しており、QFX10002は2.88Tbps、QFX10008は24Tbps、QFX10016は48Tbpsのシステムスループットを実現している。「二番手の他社競合製品と比較して、容量密度が2.5倍ある」(加藤氏)。さらに、同じ筐体で10GbE、40GbE、100GbEに対応できるため、ネットワークの段階的なアップグレードにもシームレスに対応していけると語った。
また加藤氏は、「ジュニパーでは、同じスイッチ製品でさまざまなアーキテクチャに対応することをコンセプトに開発してきた」と語った。QFX10000では、QFX5100をリーフスイッチとして組み合わせたクロスIPファブリック、標準技術に基づきデータセンターファブリックの集中管理を実現する新技術のJunos Fusionなどに対応している。
SRX5000シリーズのパフォーマンスを大幅に向上
セキュリティサービスゲートウェイの「SRX5000シリーズ」において、最新のI/Oカード(IOCII)に対応し、パフォーマンスを大幅に向上させる新ソフトウェア「Express Path」が発表されている。これにより、単一シャーシで最大1Tbpsのスループットと、7マイクロ秒未満の低レイテンシを実現した。
また仮想ファイアウォール「vSRX」では、アプリケーション識別型の次世代セキュリティ「AppSecure 2.0」の主要機能に対応。アプリケーショントラフィックを可視化/管理/保護する機能が加わることで、「ジュニパーの仮想セキュリティソリューションを完成させる」としている。