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え、まだ11acじゃないの? 無線LANルーター特集 第1回

製品選びのポイントを紹介!

無線LANルーター購入前に注目! 知っておきたい11acの魅力

2016年12月09日 13時00分更新

文● 宮里圭介 編集●八尋

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 家に光回線を引き、PCやスマホ、タブレットを無線LANに接続して使っているという人は多いだろう。しかし、その無線LANがどのくらいの速度で使えるのか、しっかりと測ったことがある人は少ない。せっかく家まで1Gbpsの回線を引いているのに、実は20Mbpsも速度が出ていない状態で使っていた……なんてことがあるかもしれない。単純にインターネットにつながればいいというのであればこれでも構わないが、速くなればダウンロードの待ち時間が減り、動画サイトを高画質楽しめるようになるなど、メリットは大きい。

無線LANが高速なら、本来のインターネットへの接続速度をフルに活用できる。例えば大きなファイルのダウンロード時間が大幅に短縮できるわけだ

 この無線LANの高速化で重要なのが、無線LANルーターの高性能化だ。最新の“IEEE 802.11ac”(以下、11ac)に対応したものなら最大1733Mbpsと、有線のギガビットLANを超える高速な製品まで登場している。とはいえ同じ11ac対応製品でも、機能や性能によって数千円から数万円まで幅広く、どれを選んでいいのか悩んでしまう。そこで、まずはこの“11ac”のことを知り、製品選びのポイントを探ってみよう。

“IEEE802.11ac”って一体なに?

 そもそも“IEEE 802.11ac”というのは、無線LANの規格のこと。最初に“IEEE 802.11”によって無線LANが規格化され、これの高速化や周波数帯の追加、機能の追加などによって拡張されていったものが、“11a”や“11b”、“11g”、“11n”、そして“11ac”だ。アルファベットに抜けがあるのが気になるが、抜けている部分は通信速度でなく、セキュリティーや品質、応用技術といったものの規格に使われている。ちなみに11acは5GHz帯を利用するが、これは同じく5GHz帯を使う11aを拡張したものだからという意味ではなく、単純にa~zまでを使い切ってしまったため、続きがaa~azになっただけの話だ。

 具体的に、各通信規格にどのくらいの差があるのか、無線LANルーターのスペックとして掲載される周波数帯と最大速度でまとめてみよう。

無線LAN規格と通信速度
規格 11a 11b 11g 11n 11ac
周波数帯 5GHz 2.4GHz 2.4GHz 2.4GHz/5GHz 5GHz
通信速度 54Mbps 11Mbps 54Mbps 72.2Mbps~600Mbps 433Mbps~6.9Gbps

 スペックを見るとわかるが、ひとくちに11nと11acといっても通信速度の幅がかなりある。無線LANルーターを選ぶときは11acという文字だけでなく、必ず速度までチェックしておきたい。

“IEEE802.11ac”のメリットって何があるの?

 無線LANルーター越しにインターネットへつながるという意味ではどの無線LAN規格でも同じだが、11acの最大のメリットは、有線LANに比肩する速度で使えるという点にある。例えば家に引いている光回線が100Mbpsの場合、600Mbpsの11nでも十分だと思いがちだ。しかし、LANはインターネットに接続するときだけでなく、プリンターやNASなど、家にある周辺機器とのデータ通信にも使われる。無線LANの速度が遅ければそこがボトルネックとなってしまい、周辺機器へのアクセスが遅くなってしまうわけだ。家庭内LANの速度向上のためにも、高速な11acを選んでおきたい。

実測で100MB/s(800Mbps)と高速なバッファローのNAS『LS510D』。低価格なモデルでも50MB/s(400Mbps)程度の速度は出るだけに、11n以前の無線LANはボトルネックになりがちだ

 速度以外での11acのメリットは、通信が安定しやすいことにある。これはPCやスマホといった端末でデータを受け取りやすいよう無線LANルーターが電波を調整し、送信する“ビームフォーミング”という技術によるもの。通信が安定すれば速度が向上するだけでなく、途切れにくくなるというメリットがある。実は11nにもある機能なのだが、11acではそれが簡略化され、多くの機器が対応しやすくなった。

11nからの高速化は具体的に何が変わった?

 先ほどの規格別の速度表でも少し触れたが、11nと11acは同じ規格でも対応する速度に幅がある。なぜこんなに幅があるのかを説明していこう。

 その前に、11acでどうやって速度を高速化したのかを簡単に知っておこう。これは大きく3つの技術によるものだ。まず1つめは変調方式。これはデータを信号へと変換する方式のことで、11nの64QAMから256QAMへ変更することで扱えるデータが6bitから8bitへと増え、約1.3倍に高速化された。車に例えるなら、車体のサイズはそのままで積載量が増えたといった感じだろうか。ちなみに11nでも256QAMに対応したものがあり、この場合、最大速度が600Mbpsから800Mbpsへと上昇する。また、1024QAMに対応したBroadcomの“NitroQAM”技術を使うなどして、さらなる高速化を果たしたモデルもある。

基本的に4×4で11nは600Mbps、11acは1733Mbpsという速度だが、変調方式を拡張して高速化してる場合も。1024QAMを使う“NitraQAM”は、ASUSの『RT-AC88U』やTP-LINKの『Archer C3150』などで搭載されている

 2つめは、利用できる帯域幅だ。11nでも20MHzから40MHzへと拡張されていたが、11acではさらに広い80MHzとすることで速度を2倍以上に高速化している。先ほどと同じように車に例えるなら、車線が1つから2つに増えたようなものだ。より多くの車が走れるようにすることで、高速化している。なお、オプション扱いだが160MHzまで規格化されており、この場合、さらに2倍の速度となる。ただし、それだけの周波数帯を占有できるかはまた別問題となるため、現在売られている製品では80MHzだけに対応しているのがほとんどだ。

 3つめは、複数のアンテナで同時に通信を行なう“MIMO”だ。11nから採用された技術で、2本のアンテナを使えば2倍、3本なら3倍、4本なら4倍と大きく高速化できる。11nでは最大4本、11acでは最大8本のアンテナで通信が可能だ。なお、通信できる本数の表記は1本なら“1×1”や“4×4”といったように、送信・受信に使うアンテナ数で表現される。同じように車で例えるなら、既存の道路の横に、さらに別の道路を増やしていくというイメージとなる。

同時に通信できる数は無線LANルーターによって異なる

 ここまで説明したところでピンと来たと思うが、つまり、11nと11acの規格速度に幅があるのは、このMIMOによるものだ。同時に通信できる数は無線LANルーターによって異なるため、低価格なエントリーモデルでは1×1か2×2、ハイエンドモデルになれば4×4といったように増加していき、それだけ高速に接続できるようになる。

“ビームフォーミング”で安定化

 11nや11acで搭載された機能に“ビームフォーミング”がある。これは通信する相手がどこいるのかを無線LANルーターが理解し、そこに向けて電波を送信するという技術だ。これによりPCやスマホはより安定した、途切れにくく高速な通信ができるようになる。

 とはいっても通常電波は全方向に飛んでいくため、ある方向へ飛ばすといった指向性をもたせるには特殊なアンテナが必要だ。しかも、通信相手に向けて飛ばすとなるとアンテナを動かす必要があり、かなり大掛かりな機械となってしまう。

 ビームフォーミングが行なっているのはアンテナを相手に向けるというのではなく、電波の波としての性質を利用したものだ。波は干渉すると増幅したり打ち消しあったりするため、ちょうど通信相手がいる場所で増幅されるよう電波を出力することで実現している。なお、複数の電波を使った方法となるため、ビームフォーミングが効果を発揮するには2×2以上のMIMOが必要となる。

“MU-MIMO”で複数の端末を同時接続

MU-MIMOで最大4台の端末と同時に通信

 11acで新しく採用されたのが“MU-MIMO”。11nのMIMOでは1対1の通信、つまり無線LANルーターと通信できるのは常に端末1台までで、通信相手を次々変えることで複数の端末との通信を実現していたわけだ。端末1台ならフルに速度が出せたものが、2台なら半分、3台なら3分の1にまで速度が落ちてしまうことになる。

 これに対し、MU-MIMOは最大4台の端末と同時に通信が可能。1台だろうが3台だろうが、常にフルの速度で使えるのだ。といってもそういいことばかりではなく、同時に通信できるのは無線LANルーターから端末向きの通信、つまりダウンロードだけ。また、アンテナの数が同時通信の上限となるため、2×2で接続できる端末を3台つなごうとしても、4本しかアンテナのない無線LANルーターなら同時通信ができなくなるという制限がある。

 多少の制限はあるとはいえ、帯域の利用効率が大きく改善されるのは確か。とくに複数台接続時は11acの方が有利だ。

後悔しない11ac無線LANルーター選びのポイントはここだ!

無線LANルーターの選ぶポイントを紹介

 ここまで11acの技術的な話とメリットについて簡単に述べてきたが、では、実際に無線LANルーターを選ぶとき、どのポイントを見ればいいのだろうか。特に注目しておきたい3つのポイントを紹介していこう。

11ac対応で3×3以上のものを選ぶ

 11acの特徴となるMU-MIMO。これのメリットである端末の同時接続、ビームフォーミングの実力を発揮できるのは、アンテナが3×3以上の場合だ。通信の速度や安定性を重視したければ、3×3(1300Mbps)もしくは4×4(1733Mbps)の製品を選んでおきたい。

 実は、もうひとつ3×3以上を選んでおきたい理由があって、それは無線LANルーターのデータ処理速度の問題だ。多くのデータを処理するにはそれだけ高速なプロセッサーを使う必要があるのだが、2×2以下のエントリーモデルでは、低価格化のためプロセッサーの速度が遅いことが多い。そのため、たとえ2×2接続であっても本来の速度を出せないことがあるのだ。

 もちろんこれらは速度にこだわった場合の話。単純に“ネットにつながりさえすればいい”というのであれば、1×1の433Mbpsだけに対応した安価なエントリーモデルで十分となる。

2.4GHz/5GHz(11n/11ac)が同時に利用できるものを選ぶ

 ここまで11acがいいと言ってきておいてなんだが、あくまでそれは理想での話。現実といえば、エントリークラスのスマホやタブレット、携帯ゲーム機では2.4GHzしか使えないこともあるため、11acだけでなく2.4GHzの11nにも対応している方が望ましい。最近では見かけなくなってきたが、古い製品では両対応といいながら同時利用ができず、2.4GHzと5GHzのどちらか切り替えて使うという製品もあるので注意しておこう。

 両対応モデルは「1300+450Mbps」といったように、「5GHzの速度+2.4GHzの速度」という表記であらわされることが多い。また、1300Mbps(11ac、3×3)と450Mbps(11n)が使えるからという意味を込め、合計した「1733」という数字を製品の型番に入っていることもある。

有線LANはギガビット対応で

 最後のポイントは無線LANとは関係なく、有線LANについてだ。とくにNASを使うのであれば、必ず有線LANがギガビット対応しているモデルを選んでおくこと。エントリーモデルではWANがギガビット対応でも、LAN側が100Mbpsとなっている場合がある。せっかく高速な無線LANが使えるのに、有線LANがボトルネックとなってしまっては意味がない。

ギガビット対応している場合(上)と、100Mbpsまでしか対応していない場合(下)の例。“1000BASE-T”に対応しているものを選びたい

 また、NASはもちろんプリンターやHDDレコーダーなど、有線LANで接続したい機器ぶんのポートがあるかもチェック。足りなければスイッチングハブの増設でも対応できるが、配線がごちゃごちゃしがちなだけに、最初からポート数が足りているほうが楽だ。

自分に最適な1台を見つけよう!

 これら3つのポイントが基本だが、これ以外にもUSBポートの装備、セキュリティ機能、中継機能、簡単設定機能、ゲストポート機能など、チェックしておきたいポイントは多くある。まずは3つのポイントで製品候補をピックアップし、さらに欲しい機能で絞り込んでいけば、自分に最適な1台が見つかるだろう。

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