世界最薄を実現した工夫とすばらしい装着感
はるか1mm以下の空間を一日に何回も交差する長短の針の調整は凄すぎる
エコ・ドライブ ワンはこの世界最薄を実現するために、歯車をはじめほとんどのパーツを新しく作ったようだ。そして85個ものパーツを内包した結果の新作ムーブメントの厚さがなんと1mmだという。これはもう驚異的な数値だ。
そして内包するムーブメントや長短二本の針を守るベゼルにはステンレス(デュラテクトα)を採用。裏ブタには「サーメット」と呼ばれるセラミックスと金属の合成素材を使用している。
そしてガラスには透過率99%のサファイアガラスを採用し、高い視認性を実現し文字盤の見易さに貢献している。
エコ・ドライブ ワンは世界最薄だが、これだけの要素と技術を詰め込んだ質量の高い腕時計なので、その重さも気にかかる。
そこで筆者宅のキッチン秤で計ってみたところ、実測重量はなんと69g。これは日常筆者が使っているいくつかの腕時計の半分から3分の1の重量だ。
サーメット裏ブタの広い平坦性とステンレスながらしなやかなブレスレット。精度の高いバタフライ美錠が装着性能をアップしている
エコ・ドライブ ワンは今年の夏、筆者が実機を見て予約した時も、ついつい世界最薄の手触りと、それを実現している新開発のメカ部分に目が行き、本来なら最も重要視すべき要素の最右翼である“装着性能”にまで気持ちが至らない。
しかし、実際に購入して毎日使ってみると、エコ・ドライブ ワンの最も素晴らしい性能は「装着性能」であることが鈍感な筆者にも追々理解できてくる。そして、世界最薄にも関わらず、精度±15秒、光発電、フル充電で10ヵ月稼働、日常生活防水を実現している。
それは同社の「時計づくりの原点」である「正しい時間を刻み続ける精度、永続的な駆動、そして、人が身に着ける」をただ伝統に培われた確実な技術と気迫で実践したに過ぎないことがわかる。丁寧で真面目な物作りを長年やってきた同社のストレートな回答だ。
一生付き合えるホンモノの腕時計を買おう!
アイキャッチ的な見せかけですごいと感じる楽しくて素晴らしい腕時計は世界に多いが、腕につけて1日を終えた時に、腕に付けていたことを忘れてしまっているほどの腕時計にはめったに出会わない。
モノを購入する時、昨今の日本はともすれば“コスパ”が最大の動機になることが多いが、ジャンルを問わず本当に価値のあるいいものにはコスパなど存在しない。そんな商品と出会えることは一生に数えるほどかも知れないが、エコ・ドライブ ワンはコスパとは無縁の腕時計だ
普及モデルのエコ・ドライブ ワンも決して価格的には安くはないが、覚悟して腕時計を買うなら、冠婚葬祭に困らない程度の“チョイオサレな なんちゃってミニマルデザイン腕時計”を卒業して、一生付き合えて心底スゴイと思うホンモノの腕時計のローン返済で苦しんでみるのはどうだろうか!?
今回の衝動買い
アイテム:「エコ・ドライブ ワン(AR5000-50E)」
価格:日本橋三越にて32万4000円で購入
T教授
日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
T教授も関わるKOROBOCLで文具活用による「他力創発」を実験中。

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