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さくらの熱量チャレンジ 第10回

tsumugの牧田さん、さくらフェローの小笠原さんと熱量対談

話題のスマートロックtsumugの牧田さんが語るさくらとの共創

2016年11月29日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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コストが低廉で、通信に強いエンジニアがいたのもありがたかった

オオタニ:ハードウェアということで、開発にいろいろご苦労もあったと思うのですが。

牧田:去年の12月10日に会社を登記し、プロトタイプをDMM.make AKIBAで作ったんですけど、一番困ったのはやはり通信モジュールでした。当時はArduinoに組み込むタイプの3G通信モジュールが2万6000円くらいしていたので、プロトタイプ作るのにもお金かかったなあという印象でした。でも、さくらの通信モジュールはもっと全然安価だったので、助かりました。起業して1ヶ月くらいで初めて知って、「こんな便利なモノあるんだ」と思いました。

オオタニ:実際にさくらとはけっこうやりとりしているんですよね。

牧田:はい。当初は通信周りも詳しい人がいなくて大変でしたが、さくらさんとやりとりしていると、江草陽太さんのような通信に強いエンジニアもいて、相談できるのがありがたかったです。スタートアップとしては相当な時間の短縮になったと思います。

オオタニ:さくらのIoT Platform始めたのも、通信が高いという課題があったということですよね。

小笠原:それはありましたね。ただ、さくらは単に安くしたいのではなく、適正な価格にしたいんです。ハードウェア開発している人と、事業やっている人は今まですごく離れていました。モノとサービスをセットで考える人、プラットフォーム上にサービスを作ろうと考えている人が、すごく少ない。だから、さくらとしてはハードやっている人が普段のスキルを使って、サービスに携われる環境を作ろうと思いました。今まで通りのことをやりながら、今までとは違うモノを作っていく。そういうお手伝いをしたかったんです。

さくらインターネット フェロー、ABBALab体表取締役社長の小笠原治さん

結局、スマートロックで鍵開けるだけだったら、すでに実現していますよね。でも、いちいち鍵を設定してわざわざ開けるんですかというと、ちょっと違う。これは鍵に限らず、いろんなIoTで共通の課題です。さくらの通信モジュールが入っていれば、なんの設定しなくても、付いているだけで開けられます。tsumugのスマートロックは外鍵対応なので、FeliCaでも、暗証番号でも開けられる自由を持っている。家のネットワークとは別に、さくらのIoT Platformの通信を使うからこそ、そういった機能を担保できます。結局、われわれの課題は通信と電力なんですよね。

オオタニ:電力の課題もありますか?

牧田:ありますね。LTE通信は電気を食うので、さくらさんにはぜひなんとかしてもらいたいなあと。

小笠原:はい。けっこう言われてますね。β版のモジュールでは、通信と電力の壁はいったん超えられたかなと思っていて、ほかのモノを使うよりも全然いいと思います。かなり長時間の使用を意識した通信モジュールができてきているので、それをβ版でぜひ使っていただきたいなあと思っています。

リソースの提供だけではなく、ビジネス作るところまで協力したい

オオタニ:tsumugさんは現状、ビジネスのステータスはどんな感じなんですか?

牧田:今はプロトタイプを作っていますが、さくらのIoT Platform βを使って、量産設計も始めています。

オオタニ:実際に営業してみて、反応はどうですか?

牧田:スマートロックという物自体がまだまだ認知度が低いのですが、物理鍵の問題点を理解しているとか、電子錠を過去に検討されている事業者さんはかなりいい反応してくれますね。現場で使っていただければ、いろんなサービスも出てきそうです。

小笠原:たとえば、子供が帰ってきたら、メッセージが飛ぶとか、そういうサービスはすぐできますからね。今までやりたかったけど、ひと手間かかっていたところがスムーズになるといいなと。

牧田:私は工事とかで家に帰らなければならないとかがイヤなんですよね。だから、勝手に来て、勝手にやってて欲しいなと思います。

オオタニ:最後に今後の展望を利かせてください。

牧田:今後は画像や動画も飛ばせるようにしたいです。

小笠原:また、コストに跳ね返りそうなことを(笑)。牧田さんはハードを作りたいんじゃなくて、鍵をなくしたいんですよね。

牧田:はい。便利にしたいんです。錠が私を牧田恵里だとわかるよう、画像解析してくれるような未来の鍵を目指してるんです。

オオタニ:なるほど。最後、IoTで困っているスタートアップに対して、小笠原さんメッセージをお願いします。

小笠原:はい。もちろん、さくらのIoT Platformを使ってもらうのもいいですし、必要なクラウドやコンピューティングリソースを使ってもらうのもOK。今後もスタートアップ向けの取り組みは拡充していきます。あと、スタートアップは売り場がない。だから、今回のS2iさんとtsumugさんとの協業のように、売るところもいっしょに考えて、お手伝いしていきたいと思っています。

(提供:さくらインターネット)

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