神ツール「ヒキアゲール」にストアの命運はゆだねられた……!
アスキーストアに救世主爆誕! これで一気に売上回復だ(希望的観測)
2016年10月31日 11時00分更新
いちばん重要なのは“誰に何を訴求するか?”のシナリオ
テモナ中野 さて、前回宿題とさせていただいたシナリオの件ですが、考えていただけました?
佐藤 どういうことをしたいか、誰にどんなリコメンドをするか、ですよね。いくつか考えてきましたので見てください。
佐藤&鈴木が考えたリピート客向けシナリオ案
a:過去の訪問客
→訪問時に人気ランキング1位の商品を勧める
b:過去にアスキーストアで購入経験のあるお客さん
→訪問時にパワープッシュ一覧ページのいちばん左の商品を勧める
c:過去にiPhone関連商品を閲覧した人
→iPhone向け売れ筋商品を勧める
d:過去の1万円以上の商品を購入したお客さん
→1000円割引クーポンを表示
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(以下略)
テモナ中野 考え方としてはこのような形で問題ありません。しかし、対象区分が重なる場合などの条件付けを考えないといけませんね。たとえばbの購入経験のある人は必ずアスキーストアに来ているのでaの訪問客にも含まれます。その場合、どちらを優先させるか順位付けが必要です。
佐藤 確かに複数にまたがる人は出てきますね。そのどちらを優先するか……あるいは両方のステータスを持っている人には別のリコメンドをするということも考えられますか?
テモナ中野 そうですね。bの購入経験者であり、かつcのiPhone関連商品の閲覧者にはこういった表示をする。bの購入経験者でかつdの1万円以上購入者は勧める商品の価格帯を変える、といったこともできます。
鈴木 複数カテゴリーを絡めて考えるとかなりパターンがあって面倒だなぁ。もういっそのこと全部同じでいいんじゃないの?
テモナ中野 いやいや、訪問者の嗜好に合わせてリコメンドするからこそ効果が上がるわけですから……。
鈴木 そもそも個人的にはポップアップが出たりするのはウザいと思うんですよ。この商品のページを見てるのに、なぜこの表示が出るのかなぁと。
テモナ中野 表示については、PCであればジャマにならないように画面右側で(ユーザーのスクロールに)ついてくるようなボックスを出すとか、スマホであれば下のほうに横長のバナーが出るようにするとか、いろいろなパターンが使えます。ただ、お客さんの反応がわからないのは事実ですし、どういった商品が響くかも不明なので、新規の人にはあえて何も表示しないということが多いですね。
佐藤 とりあえずこうしたリコメンド表示をしたときの反応とかも見てみたいので、まずはやってみようよ。
鈴木 じゃあ、最初は何も表示しない、2回目以降はリコメンドやクーポン表示という感じかな。
佐藤 先週末に売れたのはこれ! みたいなオススメもしてみたいなぁ。
鈴木 そうすると毎週毎週変えないといけないじゃん。それは手間かかるから……。
テモナ中野 必ずしも毎週変えるというより、気づいたときに変えるでもいいかもしれません。ただ、こうした施策は定期的に変更することで効果が上がります。いつ訪問しても同じ商品勧められたら、それこそウザいと感じると思いますよ(というか、そこを面倒くさがったら逆効果になりかねないのに……)。
佐藤 では、こうしましょう。まず訪問2回目以降の人へのオススメ表示。それから買ったことがあるお客さんへのオススメ表示。購入履歴は「ヒキアゲール」導入後、しばらくしないとデータが貯まらないからちょっと後になるけど。あとは、たとえば何ページか見たら表示を出すとか。
テモナ中野 ページの遷移数は取得していないんです。しかし階層によって表示することはできますので、たとえば商品の詳細ページまで遷移したらクーポンを出すとか、何秒滞在したら表示するというのはいかがでしょう。
鈴木 つまり、迷ってる人に「いまなら割引あるからオススメ!」というプッシュができる、と。
テモナ中野 そういうことです。先ほどの条件付けと一緒に、表示する具体的な商品名ももらえますか?
鈴木 それもたいへんだなぁ。AIとかがオススメ商品を一緒に考えて表示してくれたりは……。
テモナ中野 しません……!
困ったECサイトによくありがちな落とし穴(という名のヒント)
3:ターゲットの絞り込みが不十分
年齢、性別、嗜好、バックグラウンドなど、サイトの訪問者は多種多様だ。しかし、そのターゲティングがしっかりしていないと、リコメンドも響かない。とはいえ、どのようにターゲットを絞ったらいいかよくわからない……。
それでも「うちのサイトは40代の男性が多い」「3000円程度の商品がよく売れる」「スマホ関連商品がわりと売れる」など、ある程度、顧客層のイメージはあるのではないだろうか。しかしその先となるとどう区分していいかもわからず、どの層をターゲットにし、どのようなリコメンドをするべきかが見えない。
そうしたときに有効で、かつ簡単な考え方は「0と1」で考えることだ。どのような考え方か、図を元に解説しよう。
1. 世の中には「アスキーストアを知っている人」と「知らない人」しかいない
2. 「アスキーストアを知っている人」には「訪問したことがある人」と「ない人」しかいない
3. 「訪問したことがある人」には「購入したことがある人」と「ない人」しかいない
4. 「購入したことがある人」には……
このように、その選択肢のどちらか、あるいは複数の選択肢の中の1つにしか当てはまらないように区分していき、より細かくターゲットを絞り込んでいく。ターゲットを絞り込んだ後は、図の矢印に対してどのような施策を施せばいいか考えていく。
1. の「知らない人」を「知っている人」に変える施策は、広告の露出やSEO対策などになるだろう。さらに2. の「訪問したことのない人」を「訪問したことのある人」にするのも、興味のある商品の露出やアピールを行なうしかない。つまり、今回の「アスキーストア改善計画」では対象外となる。
では3. はどうか。「購入したことのない人」を「購入したことのある人」に変える。ここは今回の対象だ。さらに言えば、「購入したことのない人」をもっと多く分けてもいい。たとえば「男」か「女」か、「25歳以下」「26歳~35歳」などの年齢層、訪問回数・頻度、どこのサイトから飛んできたかなど、細かければ細かいほどターゲットが見えてくる。そして、そのターゲットに対してどのような施策が有効なのかを考えていけばいい。
3. と同様に4. についても「アスキーストアを知っている人」で「アスキーストアを訪問したことがあり」、さらに「購入したことのある人」に対し、購入回数や購入頻度、購入金額などで区分することで明確なターゲットを絞れる。そして絞り込んだターゲットに対し、3. のときと同様に、有効な施策を検討すればいいのだ。
マーケティングというと難しそうなイメージを受けるが、単純なカテゴリで分類を繰り返し、絞り込んだターゲットへ取らせたいアクションをどのように実現するかというシンプルな考え方をすると、わりと簡単にやるべきことが見えてくる。
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