cloudpack LIVEで「もはや24・365の監視だけじゃない」を見た
開発からデザイン、運用までクラウド利用を支えるcloudpack
2016年10月17日 07時00分更新
10月14日、アイレット(cloudpack)は年次のユーザー向けイベント「cloudpack LIVE」を開催した。イベントでは、cloudpackの最近の取り組みが説明されたほか、自動化やDevOpsを積極的に導入したMSP事業の舞台裏なども披露された。
大阪オフィスに加え、名古屋オフィスも開設予定
イベントの冒頭、挨拶に立ったアイレット CEOの齋藤将平氏は参加者や協賛企業への謝辞を述べた後、契約者数が600社を超えたこと、港区の田町や虎ノ門ヒルズのオフィスに加え、今年グランフロント大阪にオフィスを移転したことなどをアピール。さらに海岸近くのオフィスを開発拠点として復活させるほか、名古屋オフィスの設置も発表された。
アイレットの社員数も2013年以降、約3倍の153名に達した。「デザイン事業部もできたし、アプリの開発もしっかりやっている。MSPや技術専門チームも作っている」(齋藤氏)とのことで、cloudpack自体の総合力をきちんとアピールするのが、今回のイベントの大きなテーマだという。
cloudpackの1年を後藤氏が振り返る
続いて登壇したcloudpack事業部 執行役員 エバンジェリスト 後藤和貴氏は、cloudpackのアップデートを披露した。
今年で14年目のアイレットは当初受託開発からスタートし、7年前にAWSのクラウド運用を手がけるcloudpackの事業を立ち上げた。現在はcloudpack事業が受託開発に比べて、かなり大きくなっているという。約2年前からはゲームのバックエンド運用を始めたほか、約1年前には10名規模でのデザインチームを設立。直近では、クラウドネイティブなアプリケーションの開発も手がけるようになっているという。
続いて後藤氏は、この1年のcloudpackの取り組みについて説明した。認証・セキュリティに関しては、プライバシーマークやISMS/ITSMS、ISMSクラウドセキュリティ、PCI-DSS、SOC2レポートなどを取得。また、AWSに関してはグローバルでも数少ない「Premire Consulting Partner」のほか、Big DataやMigration、Managed Service Partnerなどの各種コンピテンシーの認定を受けているという。
サービスに関しては、当初からサービス展開していたAWS請求代行サービスではサポート3%の値引きを実現したほか、SORACOM請求代行サービスも開始した。また、エンコーディングやプレイヤー、ポータルなど、AWS上での動画配信をパッケージ化した「mediapack LIVE/VOD」のほか、スマートアプリの動作テストを支援する「devicepack」のサービスを追加した。
もともと同社はブログなどで自社でのノウハウを外部にアウトプットしてきたが、最近はホワイトペーパーにも注力。昨年「セキュリティ」から開始し、今年は「サポートデスク」「サーバーレス開発」「専用線接続」「プロジェクト管理」などのホワイトペーパーを提供している。さらにAWS導入事例に基づいた小規模なカスタマー勉強会である「Cloud Leaders Meetup」を近日実施するほか、オウンドメディアである「cloudpack.media」を開始し、顧客とのリレーションを引き続き強めていくという。
約50プロジェクト、900サーバーの運用事例の舞台裏
続いて登壇したcloupack MSPセクションリーダーの新谷充氏は、MSP事業と安定運用の体制について説明した。「お客様のチームの一員として運用をやっている」(新谷氏)というMSP部隊は、24時間365日の体制でAWSの監視/保守サービスを提供。「サーバー構築をできる人材がいない」「アプリ開発のリソースで手一杯」「24時間×365日の運用ができない」「サーバーの運用から解放されたい」などのユーザーの声に応えている。
現在、管理しているインスタンスは約6700台にのぼっており、自社情報を管理するadminpackのほか、Pagerduty(管理)やDATADOG(モニタリング)、Backlog(プロジェクト管理)などのツールを駆使して、安定運用を実現している。
続いて、新谷氏はバンダイナムコエンターテインメント(BNE)の事例を披露した。現在同社ではBNEの約50のプロジェクト、約900サーバーを運用し、ゲームのみならずさまざまなインフラと担当している。サーバー構築の効率化については常時クライアントとミーティングを重ねつつ、「ゲームのイベント時にサーバーをダウンさせない」「障害時の連絡方法を徹底する」などのルールを設けた。また、障害内容の記録を行なうと共に、BNE専門のチームを用意し、緊急依頼に対応できる体制を作った。クライアントとともに改善を進めている姿勢が印象的だ。
cloudpackのMSPチームは、BNEの事例でもツールをフル活用。Backlogの特定フォーマットで構成内容を決定するほか、BNE専用のAMIで用意し、構築スピードを最大化。イベント時は張り付きで対応し、アラート検知の際はChatWorkで迅速に連絡できる体制を構築したという。
登壇したBNEの田村雄也氏は、cloudpackの運用について「オンプレミスに比べて、夜も安心して寝られる」と感想を語る。その上で、「最初のゲームをリリースした時に、思いのほかアクセスが来て、cloudpackさんと乗り切った経験がある。気心が知れているので、自分たちのマインドを理解してくれている」と評価。特にスピードを得られたのは大きなメリットだった。田村氏は、リリースの3日前に別のクラウドで運用する予定だったシステムを、cloudpackとともにAWSに移行した経験談を披露した。