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ソフトベンダーTAKERU 30周年 レトロPC/ゲームを振り返る 第3回

レトロゲームの“プロ”達にとっての『TAKERU』

2016年11月08日 12時00分更新

文● 宮里圭介

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当事の人より詳しい!?若きレトロゲームファン

人物紹介

BEEP秋葉原(株式会社 三月うさぎの森)
店長
駒林貴行

 アーケード基板や筐体の販売買取のほか、レトロPCのハード・ソフトウェアなども取り扱う秋葉原のゲームショップ『BEEP秋葉原』の店長。好きなPC-88のゲームは『ファイアーホーク』と『テスタメント』で、MSXのゲームなら『魔王ゴルベリアス』と『クロスブレイム』。

衰退していく機種のソフトまで購入できたTAKERU

 秋葉原パーツ通り先の地下に店を構えるBEEPは、家庭用ゲームやアーケードゲーム基板、PCゲームまで扱うレトロゲーム専門店。店長の駒林氏はTAKERUを直接使ったことこそないものの、周囲のレトロゲームファンに当時の話を聞いていたり、買い取りで持ち込まれるTAKERUのソフトを数多く触っているだけに、実際に使っていた人よりも深くTAKERUを知っている人物だ。

「TAKERUを使っていた別のスタッフの話になりますが、当時すでにMSXの衰退が始まっていてソフトの入手が難しくなっていたそうです。さらにパッケージ版ソフトが次々と発売中止になっていく中でも、TAKERUでは新作ソフトがリリースされるという状況に救われたといっていました」

 多くの機種向けにソフトをそろえてくれるショップが近所にある人は幸運だが、ショップといえど商売。売れないものはいつまでも置いておけないし、当然、売れる機種向けのソフトが多くなってしまう。コアなファンが多いMSXもその例外ではなく、コーナーは次第に端の方へと追いやられ、ソフトが入手しづらくなっていったというのは想像に難くない。

1995年8月あたりのTAKERU PRESSから抜粋。この時にはすでに新作ソフトのリリースは激減していたが、TAKERUのソフトリストにはMSX用が多数ある。最後の方までMSXのソフトが数多く扱われていたことがよくわかる

 パソコンショップが数多くあった秋葉原であれば状況は違うのだろうが、誰もがそう簡単に秋葉原へと行けるわけでもない。関東近郊に住んでいても、秋葉原までの電車賃や移動時間はバカにならないからだ。

 そういう状況のユーザーにとって、在庫と関係なくソフトを購入できるというのがTAKERUのメリットだ。新旧ソフトはもちろん、さらに同人ソフトまでを手ごろな価格で入手できたため、とくに地方在住の人にとってTAKERUはありがたい存在だったに違いない。

TAKERUで販売されていたソフトの買い取りは意外に多い

 BEEPではゲーム機からPC本体、ソフトまで幅広く買い取りしているが、TAKERUで購入したソフトも多く持ち込まれるという。TAKERUのソフトはメディアだけでなく、印刷されたマニュアル、シールまでそろって完品と考えて買い取っているそうだ。

購入特典だったソーサリアンシナリオ集のラベルシールなども、そろっていると価値が高い。なお、これはPC-88VA版でしかも未使用というレア品

「TAKERUの買い取りで数が多いのは、やはりX68000用。とくに満開製作所のディスクマガジン『電脳倶楽部』は人気があったみたいで、よく見かけます。また、X68000用としてはTAKERUでしか出ていなかったソフトはプレミアがついていて、『スタートレーダー』とか『ハイドライド3スペシャルバージョン』とかがそれですね。あと珍しいのは『オルテウスⅡ』でしょうか。『Ⅰ』がPC-88VA用で、『Ⅱ』がX68000用のTAKERU専売ソフトというのが面白いです」

 レアなソフトが持ち込まれることがあるのが、買い取りをやっている専門店ならでは。あまり数を見ない、TAKERUのMSX用ROMもたまに出てくるとのことだ。また珍しいソフトといえば、『T&Eマガジン Disk Special』がある。2まで発行されたMSX用のディスクマガジンで、サイオブレードのヒント集やミュージック集、新作情報として『ハイドライドX』(後の『ルーンワース』)があるなど、T&Eソフトファンであれば手に入れたいと願うソフトとなっている。これもTAKERU専売ということで数が少なく、過去に数回扱ったことがある程度だそうだ。

TAKERUでの専売だった、『T&Eマガジン Disk Special』(http://www.beep-shop.com/blog/4401/)。幻ではないものの、見かけることは少ないという。

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