アイウェアって?
少しカッコよくタイトルをつけましたが、アイウェア(eye wear)とはメガネのこと。もともとは、スポーツ用語で競技中に太陽光などから選手の目を守るサングラスやゴーグルでしたが、現在はメガネ全般を指すようにもなってきました。「アイウェア」という語感のイメージが「メガネ」より良いせいか、好んで使うメーカーも増えてきました。
友人がクールなアイウェアを新調したことに触発され、僕も作りたくなってしまいました。最近、小さな字が見えにくくなり、リーティンググラス(老眼鏡)を持ち歩くのも、ある意味、マジシャンらしくありませんし…(笑)
視力測定に驚く
視力測定を行った最後の経験は、それこそ高校時代。もちろん、運転免許の取得や更新などでチェックは行います。しかし、免許の要件を満たしてるかのテストなので、視力を数値で教えてくれわけでありません。
というわけで、まずは視力検査からスタート。行ったのは、老舗の眼鏡店のチェーン。破損や交換などを考え、自宅から近いところにしました。そこには、アイウェア・ヴァージンの筆者にとっては初めてのことばかりでした…。
まず測定器に両目を当てて、最初に見せられたのは「気球の画像」。機械を見ているだけで測定終了。被検者は何もする必要はありません。これは「オートレフラクトメーター」という名称で、赤外線を当てて遠視や近視など、眼の屈折状態を調べます。カメラのオートフォーカスと似た原理だそう。
機械を変えて、次に見せられたのは「赤と緑の二重丸」。これは「レッド グリーン テスト」と呼ばれます。赤の光の波長は長く遠くまで届き、緑の光の波長は短く遠くまで届かない、そんな原理を使った測定法です。これは、新たに作るレンズで遠視近視がちゃんと補正されているかを測定します。
他にも放射状に描かれた線を見て乱視の補正を確認したり、4つの棒を見て立体の見え具合のチェックをしたりしました。
1万円~10万円!?不思議なレンズの値段
視力測定が終わったら、次はレンズ選びとなります。しかし、ガラスやプラスチックなど、素材とレンズ設計によっては700種類以上あるそう。
以前、似た話で、家電量販店で炊飯器を選ぶ時「どう違うんですか?」って店員さんに尋ねたら、「1万円の炊飯器は1万円のご飯の味で、10万円は10万円の味です」って言われ、「禅問答かっ!」と、あきれつつも、なんとなく納得したことがあります。
アイウェアのレンズのほうは、もう少し具体的で、「単焦点」「二重焦点レンズ」「累進屈折レンズ」と分類され、さらに「球面レンズ」「非球面レンズ」「両面非球面レンズ」「両面非球面オーダーメイド」などが価格差になっています。
つまり、高いレンズほど視界も広くなり見えやすくなる。つまり、1万円は1万円の見え心地で、10万円は…(笑)。
いろいろと悩んで、今回は、累進屈折レンズで両面非球面にしました。値段はフレーム込みで4万円ちょっと。正直なところ、最上級のレンズにも心は動きました。しかし「免許取立ての運転初心者が、ポルシェをいきなり買っちゃうような」チグハグさを感じて断念しました。
オーダーしてから1週間で完成。かけ始めた初日は、フラフラしましたが、すぐに慣れました。視力が1.5になるように矯正しているので視界もクリア。高校生時の視力に戻った感じです。筆者が購入した店舗では、レンズが合わなければ3ヶ月以内ならレンズ交換してくれる保証もついているので安心です。
レンズ色が入っている理由
冒頭の写真を見てお気づきかもしれませんが、比較的濃いカラーの入ったレンズにしました。その理由は2つあり、マジシャンって意外に目を酷使する仕事。詳しくは言えませんが…(笑)強い太陽光などから目を守る必要があるからです。
もう一つの理由は、昼に移動して夜に仕事をするというパターンが多く、体内時計(明るい時間帯に働いて、暗い時間帯に休む)と逆のライフパターンだから。もちろん、時差のある海外での仕事の時も色つきのメガネは必需品です。
人によっては室内と室外でサングラスとメガネをかけかえる人もいますが、筆者はよくサングラスをなくすタイプなので、室内外兼用。ただし、車を運転する人は、レンズの光の透過率(色の濃さ)により「夜間運転不適合」のものもあるので注意が必要です。
最後の理由は、色つきレンズのアイウェアをしていると、打ち合わせの時や移動時に多少無精髭なんかが伸びていたり、髪の毛をセットしていなくても、目の部分に色があると、それなりに見えること(本番前には、ちゃんと髭も剃ります(笑))。おそらく、女性の口紅やアイシャドウと同じ効果だと想像しています。
そんな意外なことにも役に立つアイウェア。普段から、きちんとした格好をしてれば、色なしでもいいんですが…。ズボラですまぬ。
前田知洋(まえだ ともひろ)
東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。
著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。
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