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前田知洋の“マジックとスペックのある人生”第44回

ツァイス社のVRゴーグル、VR ONEレビュー

2017年05月30日 17時00分更新

文● 前田知洋

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 今回レビューするのはレンズメーカーの名門、カールツァイス社の簡易型VRゴーグル「ZEISS VR ONE Plus」です(以下VR ONE)。さすがドイツの名門光学機器メーカーだけあって、安くはありません。それでも、量販店でいろいろと試着した結果、視界のクリアさから、やっぱりこれを選択してしまいました。もち、自腹レビューです(笑)

 簡易型VRゴーグルについて少し説明すると、所有しているスマホをゴーグルに装着して使います。VR ONEでは4.7~5.5インチまでのスマートフォンに対応。だいたいiPhone 6から6 Plusのサイズといえばわかりやすいかもしれません。もちろん、iOSだけでなくAndroidでも使えます。ただし、スマホをいれるトレイがきつめなので、厚みのあるスマホやデコレーションの多いスマホケースを使用している場合は要注意。量販店などで試着してからの購入が安心です。

スマホを専用トレイに挟んで差し込む。iPhone 6 Plusなど、5,5インチまで対応

レンズ調整が不要で視野角100°!?

 さすが高級機種というか、レンズメーカーというか、まず驚いたのはレンズ調整が不要なこと。ピント調整も、眼球位置の調整も何も必要ありません。筆者は、左右の目に視力差があるのですが、ゴーグルをかけるだけでクリアな映像が目の前に登場します。おそらく、その秘密は左右にある大口径のレンズ。その大きさで眼球位置の個人差を吸収しているのでしょう。

 メガネをかけたままの装着も可能ですが、筆者のメガネで試したところギリギリセーフ。このメガネ、この連載でも紹介しましたが、「塁審屈折レンズ」という少し特殊なレンズが使われています。これは遠中近に焦点があうような、上下幅のあるレンズが入っているので、おそらく、よほど太縁でない限りは、ほとんどのメガネで使用可能だと勝手に想像しています。

 筆者の場合はメガネなしでもクリアな画像/映像が見えるので、普段はメガネを使わずに使用。ただし、レンズがクリア過ぎて、液晶画面のドットが見えてしまうのが難点です。360°動画だとドットはそれほど気になりませんが、静止画だとやや気になるかも …。しかし、これはVRゴーグルの欠点というよりは、スマホのスペックの問題かもしれません。近い将来、有機ELなどの普及でも、見え心地は変わるはずです。まぁ、それくらいVR ONEのレンズがクリアということで …。

 レンズの視野角が100°あるので、画像の隅も鮮明です。ただし、レンズの視野角が広いので、大画面液晶のほうが迫力が出るかも。筆者が使用しているiPhone 6だとホームボタンや電話スピーカーのある縁が少し見えてしまうのが少し残念です。そのあたりは、iPhone 6 Plusユーザーがうらやましいところ。しかし、これもVR ONEのレンズの視野角が良すぎるのが原因ですから、重箱の隅をつつくような …、いや、VRゴーグルの画面の隅をつつくような話なので、プラスに評価しています(笑)。

VRアプリごと、専用QRコードによるクィック調整

 スマホを使った簡易式ゴーグルが世に出たのは、2014年のGoogle I/Oでのこと。Google Cardboardの名称で、段ボール(Cardboard、カードボートは段ボールのこと)製のものが無料で配布されました。当初はアンドロイドのみで、iOSユーザーの筆者にはなかなか楽しむ機会がなかったので残念でしたが、現在はiOSでも多くのVRアプリが提供されています。さらに無料で設計図も公開されています。レンズの用意が面倒かもしれませんが …。

2014年のGoogle I/Oで配布された簡易型VRゴーグルの初号機。友人の幅さんからのお土産

 2014年から始まった簡易式VRゴーグルのカルチャーですが、特筆すべきは製品ごとの特性(レンズの間隔など)をアプリごとに調整できること。もちろん、アプリ側で対応をしている必要はあります。そのあたりもオープンソースにしているところが簡易式VRゴーグルの普及をスピードアップさせた理由でしょう。

VRアプリ用に、製品ごとの情報がコード化されている

マーケットの勝利か?

 本来、製品としてのVRゴーグルには様々な部品と機能が必要です。高解像度の液晶画面、頭の回転に対応するための3Dジャイロセンサー、動画や静止画を処理するための部品やバッテリーなどです。しかし、そうしたVRゴーグルの心臓部に、すでにそんな機能を持つスマホを利用することを思いついたのは革命的でもあると、筆者は思っています。

 そのおかげで、スマホユーザーなら数百円からVR体験を気軽にできます。WebGLと呼ばれるブラウザ上で3次元コンピューターグラフィック規格を利用しているため、多くのPCやモバイルで手軽に再生できるのも利点です。

 いままでは、プラットフォームとなる製品開発社がコンテンツの提供もする必要がありましたが、スマホメーカー、アプリ制作者、VRゴーグル製造者、コンテンツ提供者が独立し、気軽に参入できるのも新しいスタイルです。囲い込みのないビジネスモデルと言ってもいいかもしれません。

 これからますます発展するであろうVR技術、どんな分野に普及していくはまだまだ未知数ですが楽しみでもあります。もし、VRゴーグルをまだかけたことがないなら、ぜひすべき新しい体験だと筆者は勝手に思っています。

前田知洋(まえだ ともひろ)

 東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。

 著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。

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