スマートフォンはベンダーの浮き沈みのサイクルが激しい残酷な市場だ。少し前まで話題だったのに影が薄くなったベンダーはいくつかあるが、中国のXiaomi(シャオミ)もその1社になりつつある。そのXiaomiが米国市場参入を匂わせたとして話題になっている。台数ベースでマイナス成長が続くXiaomiにとって、米国市場参入が成長のカギとなるのだろうか。
第2四半期は前年同期比4割近くのマイナス成長
2010年創業のXiaomiは、オンライン限定、さらにはフラッシュセール、SNSなどを活用した販売手法、そしてiPhoneライクな外見、それなりのスペックを持つスマートフォンを低価格で提供することで中国の若者の人気をつかんだ。
2013年〜2014年ごろには、共同創業者Lei Jun氏は“中国のジョブズ”と呼ばれるようになり、その一挙一動に関心が集まっていた。2014年に中国で開催されたイベントで、共同創業者のLin Bin氏の基調講演はイベントの規模の割には長蛇の列で注目の高さがうかがえた。
そのときにLin氏が語っているように、Xiaomiはスマートフォンメーカーを目指しているわけではない。製品カテゴリーとしては、当時からテレビや空気清浄機などを展開していたし、タブレットやノートPC、スマートバンドなどの他のモバイルメーカーが揃えるカテゴリーに加えて、電動自転車なども持っている。
それでもスマートフォンで名を挙げたXiaomiが、(スマートフォンメーカーから脱却する前に)スマートフォン市場で苦戦するとなると、成長企業というXiaomiのイメージが大きく変わってしまった。
IDCの2016年第2四半期(4~6月期)の中国スマートフォン市場データによると、Xiaomiは同期1050万台を出荷しシェアは9.5%で4位。Huaweiはもちろん、Oppo、Vivoなど国内の新興ベンダーの後塵を拝した格好だ。前年同期と比較するとなんと38.4%のマイナス。上位4社はOppoの124.1%増をはじめ、プラス成長であり、完全に差がついた格好だ(ちなみにXiaomiが例えられることの多いAppleは5位で、やはり31.7%という大きなマイナスになっている)。
なお、このデータについてXiaomiの広報はBBCに対し、6月単月で694万台を売り上げているとし、IDCの数字は正確ではないと語っているようだ。
中国国内と国外の両方で振るわず
一時期は“中国のApple”“中国初のグローバルブランド”と言われたXiaomiの評価額は、2年前(2014年12月)の450億ドルから現在は50億ドル程度になったと、調査会社Radio Free Mobileは見ている。
Xiaomiが苦しいのは、スマートフォンからの多角化が図れていないだけではない。2014年より進めてきた国外市場への展開がまだ軌道に乗っていない点も輪をかけているように見える。
同社は2014年中に10ヵ国に市場を拡大するなど、国外への拡大戦略を進めてきた。それを目的として、Googleから国際市場に精通したHugo Barra氏を引き抜き、まずは国境を接する東南アジア、そしてインドを攻めた。その後南米にも拡大したが、南米の最大市場であるブラジルからは5月に撤退したという報道もある。
中国以外で最も成功していると言われているのがインドで、春に販売開始した「Redmi Note 3」は5ヶ月で175万台を出荷したという。第2四半期、インドのオンライン市場で購入されたスマートフォンのうち9台に1台のがXiaomiだったという。
しかし、中国市場については、2015年後半から翳りが見え始めている。2015年通年は目標台数(8000万台〜1億台)に到達せず。2016年に入ってからも前年同期比マイナスが続いた。上記の市場データからもわかるように、中国市場は中国ベンダー同士での戦いとなっており、Xiaomiは差別化がしにくくなっている。
価格の面ではLeEcoなどの新興ベンダーが同等の価格で端末を提供している。得意としていたオンライン限定での販売もHuaweiが「honor」ラインで成功するなど、目新しさがなくなってしまった。
Xiaomiの最大の課題は製品、それもソフトウェア側になる。独自UI「MIUI」はバグが多い上、アップデートが遅く、これがユーザー離れを招いていると言われている。
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