前回はスマホで実用的になってきた「音声入力」を取り上げましたが、太古の昔からある便利機能として「画面キャプチャ」(あるいはスクリーンショット)があります。
スマホでは簡単に画面キャプチャを取ることができ、あらゆる状況をSNSなどに共有できます。この画面キャプチャが強力すぎて、軋轢を生んでいるという話です。
画面キャプチャでTwitterに長文投稿
スマホの画面キャプチャは、一度操作を覚えてしまえば汎用性が高い機能です。速度計測やゲームのハイスコアなど、他人に画面を見せたいあらゆる場面で便利に使えます。
この画面キャプチャの面白い使い方として、140文字しか書けないTwitterに長文を投稿している場面を見かける機会が増えてきました。
Twitterでは長い文章を140文字以内に区切って連続投稿することもできますが、一覧性は悪くなります。リツイートで拡散されることを考えれば、1つのツイートにまとまっていることが理想的です。
また、noteやMediumなど長文を書けるブログのようなサービスもあります。その場合はURLを貼り付けることになり、見る側としてはURLを踏まなければなりません。しかしSNSの外のサイトを開くことには、大きな障壁があります。
ネットでは「危ないURLを踏んではいけない」とも言われます。そのため、見知らぬ人が貼ったURLを踏むことに抵抗がある人もいるでしょう。短縮URL機能により、実際のURLが分からない場合もあります。
これに対して画面キャプチャは、事前にサムネイルを見て大まかな内容を判断できます。URLと違って外部に飛ばされることがなく、SNS内で完結するのもポイントです。
面白いサイトを画面キャプチャで共有
別の事例として、Webサイトをシェアするのに画面キャプチャを使う人が増えているという現象も、1年ほど前から話題です。SNSにURLを貼るのではなく、画面キャプチャを貼ることでシェアする人が、若年層を中心に増えているというのです。
画面キャプチャを使えば、あたかも友達にスマホの画面を見せるようにサイトの内容を共有できます。有料コンテンツとは異なり、無料のWebサイトの画面を共有することには問題意識を感じにくい面もあるでしょう。
しかし多くの商用Webサイトは、ユーザーの訪問によりページビューがカウントされ、そこから広告などの収益につなげることで、無料で提供されています。SNS上で画面キャプチャを共有されるだけでは、通常は収益が発生しません。
この画面キャプチャの使われ方からも、URLを貼ることや踏むことのコストの高さがうかがえます。最近はモバイル向けのWebサイトも重たくなり、ページ分割が多いサイトも増えています。画面キャプチャを見る分にはそうした苦労がなく、SNSにとどまったまま楽しめるという手軽さがあります。
SNSから離れたくないという要求にどう応えるか
こうして画面キャプチャが使われる背景を見ていくと、URLを踏んで別のサイトに飛ばされるのではなく、SNSから離れたくないというユーザーの要求が感じられます。
逆にSNSから離れることなく、画面キャプチャより手軽なシェアの方法を提供できれば、ユーザーも自然とその方法を使うはずです。ひとつの例として、SNSにメディアを最適化するという「NowThis」に代表される分散型メディアがあります。
NowThisは、メディアの「本体」となるWebサイトの運営を中止。その代わり、TwitterやFacebook、YouTubeやInstagramなどのサービスに最適化したコンテンツを配信しています。
ユーザーはNowThis「本体」のサイトに誘導されることなく、SNS上でコンテンツを楽しむことができます。それぞれのSNSにコンテンツが分散しているので、分散型メディアというわけです。
より大きな視点では、SNSのようにクローズドなサービスがユーザーを囲い込んでいき、オープンなWebサイトという仕組みは廃れていくのではないか、という議論もあります。NowThisのような分散型メディアが成功するかどうかは未知数であるものの、Webの進化の方向性として注目したいものです。
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