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JAWS-UG東北勉強会レポート 第2回

初心者目線の話題から分散処理などテックな話題まで多彩に展開

初登壇からICDP、アドテクまでバラエティ豊かなJAWS-UG青森

2016年08月10日 07時00分更新

文● 重森大

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新幹線で身近になった函館から高橋氏が登壇、分散処理について語るつもりなく語る

 2016年3月に開業した北海道新幹線により、青森と北海道の距離はぐっと縮まった。特に北海道の玄関口である函館との心理的距離は相当に縮まったのではないだろうか。この機運を逃さずJAWS-UG函館支部とも連携を深めていこうと、JAWS-UG函館支部代表の高橋 哲也さんがスペシャルゲストとして招かれていた。話題は、分散処理に使われるAmazon Elastic MapReduce(EMR)だ。

アットウェア 函館Laboratory 高橋 哲也さん

 

 なぜ高橋さんがEMRについて語るのか。ことの起こりは、前月に開催されたJAWS-UG函館の勉強会後の懇親会での会話。青森から来ていた石澤氏から「来月の勉強会に函館からもどなたか来ていただけないか」と相談された高橋さんが、酔った勢いで「ビッグデータの話とかしますか。EMRでどうですか」と答えたのがきっかけだった。実は高橋氏はビッグデータにからめてElasticsearch Serviceの話をするつもりだったのが、酔っていてサービス名を勘違いしたまま引き受けてしまったのだ。

「しかも一つ前のセッションで福井さんがElasticsearch Serviceを使った話をするとわかり、今更セッションタイトルをElasticsearch Serviceに変える訳にもいかず、今からEMRについて語ります」(高橋さん)

 そういう訳で、なにがきっかけになるかわからないものだが、分散処理という大きな話題を地方の勉強会で聞けるいい機会となった。

 EMRはHadoopをAWS上で構築できるようにしたサービスで、分散処理環境を簡単に用意できる。高橋さんはざっくりと分散処理の効能について紹介し、「MapReduceモデルに落とし込める場合にはおおいに期待できるが、どんな計算処理もEMRで高速化できる訳ではない」と語った。さらに、高速化が見込める処理であってもMapReduceの考え方に切り替える必要があり、分散処理に関する基礎知識がなければそういう簡単ではないとのこと。

 また、EMRを使う際には料金にも注意が必要だと高橋さんは警告した。構築時やデバッグ時にはクラスタを作成してトライしては削除し、また別のクラスタを作成してトライしては削除することを繰り返すことになるが、トライ&エラーを繰り返しすぎると高額な請求が待っている。

「検証のために10分動かしただけでも最低単位の1時間分の料金が発生するので、10台の分散処理クラスタを作成して10分間検証すると、それだけで10時間分の料金を請求されることになります」(高橋さん)

 こうしたことに注意点はあるものの、うまくMapReduceモデルに当てはまる処理であれば、高速化を望める便利な機能であることには違いない。しかし、高橋さんが最後にもっとも強く警告したのは次のポイントだった。

「酒は飲んでも飲まれるな。酔っ払った状態で安請け合いをしないようにしましょう」(高橋さん)

インプレイスの後藤氏は「田舎マス」を意識した広告運用で効果を高める

 最後のセッションに登壇したのは、インプレイスの後藤 永吉さん。インプレイスは仙台に拠点を置く広告会社で、地元に密着したクーポンサービスやブライダルサービスを展開している。後藤氏はまず運用型広告の基本と、リアルタイムビディング(RTB)の説明から話を始めた。

「みなさんがWebサイトにアクセスすると、多くの広告が表示されると思います。これらの広告は実は、媒体からターゲット情報が送られ、それに対してリアルタイムに競りが行なわれ、もっとも高額の広告費を提示した広告主のクリエイティブが表示される仕組みになっています。その反応速度は、100ms以下。たかが広告と思うかもしれませんが、裏では超高速でシビアな処理が行われているのです」(後藤さん)

インプレイス 後藤 永吉さん

 アドテク業界では、広告を表示する媒体をSSP(Supply Side Platform)、広告の競りやクリエイティブの配信を行なう中間業者をDSP(Display Side Platform)と呼ぶ。RTBで広告を配信するためには、DSPに対してできるだけ高速なレスポンスを返す必要があり、そのためにはハイパフォーマンスで柔軟なキャパシティを持つサーバーが必要だ。それを低コストで運用できるのがAWSという訳だ。コスト以外にも、海外のDSPに配信する際には近いリージョンのサーバーを使える、DSPもAWSを使っている場合には、通信費を安く抑えることができるなどのメリットがある。

 こうした運用型広告の普及により、出広側は個別の媒体と契約する必要がなくなり、なおかつターゲットを絞った広告展開が可能なので予算コントロールもしやすくなった。充実したレポートを元にデータ分析を行ない、広告配信の最適化も可能だ。が、それはマスの大きな都会での話。

「田舎では広告予算が少なく、分析されるデータの母数も少ないので、メリットを得にくいのが現実です。しかし、視点やサイズ感を変えて考えれば、田舎でも運用型広告のメリットを活かすことができるようになります」(後藤さん)

 後藤さんが掲げるキーワードは「田舎マス」だ。地方に合わせたサイズ感で、広告展開をコントロールすること。広告を掲載して人を集め、データを集める。このとき一店舗だけでは母数の小さなデータしか集められないが、広告会社が抱えるクライアントを業種やエリアで束ねて母数を大きくすれば、有意な分析結果を得ることも可能になる。

「母数さえ集まれば、都会の大規模広告案件と変わらないメリットを得ることができます。重要なことは、田舎マスをわかっている広告会社を選ぶということ。つまり、東北の運用型広告は弊社におまかせください」(後藤さん)

 なんと最後のセッションは、広告会社の広告で締めくくられたのであった。

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