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Xperia X Performance開発者インタビュー【後編】

Xperia X Performanceの音楽機能の強化点や4Kディスプレーが載らなかった理由とは?

2016年07月24日 15時00分更新

文● 石野純也 編集●ゆうこば

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Xperia X Performance(写真はau版)

 2016年夏モデルとして3キャリアから発売中のソニーモバイル製スマホ「Xperia X Performance」。開発秘話などを開発者の方々に伺いました。

 前編ではZからXへとリニューアルした背景や、新しく搭載されたインテリジェンス機能が明らかに。後編からはカメラと音楽まわり、そしてディスプレーについてお送りします。


ソフトウェア更新では対応が難しい
X Performanceならではの「先読みオートフォーカス」

──(スマートクリーナーが)インテリジェンスで先読みという意味では、カメラのオートフォーカスもそうですね。ここに関しては、ハードウェアは前機種と同じでしょうか。

カメラ担当 遠藤由樹氏

遠藤氏:メインカメラのハードウェアは変わっていません。ただ、チップセットがハイスペックになったので、その処理能力を生かし、先読みオートフォーカスを入れたのが大きな違いになります。

──ハードウェアの性能が上がったぶん、搭載できるソフトウェアも進化したということですね。逆に言えば、単にソフトウェアをアップデートしただけでは、追加できない機能ということでしょうか。

遠藤氏:前のチップもかなりギリギリまで使っていたので、安定性を担保するのが難しいですね。いまのところ、Xperia Z5までの機種では難しいと考えています。

被写体の動きを予測してピントをあわせる「先読みオートフォーカス」

──先読みオートフォーカスは、どのような原理で予測しているのでしょうか。

遠藤氏:Xperia Z5で最速0.03秒のオートフォーカスを達成して、広範囲で位相差の取得ができるようになりました。それをうまく利用し、Xperia X Perfomanceでは、過去10フレームのデータを持ち、その変化を見て次にどこに行くのかをリアルタイムで予測しています。

──その予測が外れることはありますか。

遠藤氏:そこも、かなり高速に見ています。10フレームだと約0.3秒なので、人の動き程度であれば、変化を見極めて予測できます。Xperia Z5でピントが合う速度は0.03秒になりましたが、動いているとシャッターを押してからのラグで、ピントがずれてしまう。その問題を解決したかったというのが、先読みオートフォーカスを搭載した理由です。

──と、同時にカメラの起動も速くなってますね。

遠藤氏:そこは、すべての積み重ねです。ソフトウェア全般に見直しをかけ、すぐに撮影できるようにしています。

センサーサイズも大型化し
AFにも対応した13MP正面カメラ

高精細化、オートフォーカスにも対応した正面カメラ

──ハードウェアとして大きく変わった点に、正面カメラがあります。こちらについて、ご説明いただけないでしょうか。

遠藤氏:正面カメラは13メガピクセルになり、センサーサイズも1/5から1/3へと大きくなったので、暗いシーンでもキレイに撮れるようになりました。また、いままでは5メガピクセルでパンフォーカスだったのですが、13メガピクセルと高精細になったこともあるため、オートフォーカスも入れています。

──ソフト的にも、変えたところはあるのでしょうか。

遠藤氏:これまでの延長線上ですが、ノイズを減らすところには注力しています。複数フレームを撮り、足し合わせることでノイズを減らす処理も入れています。

──中国、台湾メーカーの一部機種では、ビューティー(美顔、美白)モードが当たり前になりつつありますが、こういった機能はいかがですか。

矢部氏:そういった機能は、(カメラのUIから)選択できるアプリにひとつあります。ARエフェクトのような機能もありますが、今回は、カメラを持っているメーカーとして、基本性能をいかにブラッシュアップするかに注力しました。

こだわりの音楽機能は従来の「再生系」から
X Performanceでは「録音系」の強化へ

──次に音楽機能についてうかがいたいと思います。これまで、ノイズキャンセリング、ハイレゾと対応を進めてきて、Xperia X Performanceではどのような進化があったのでしょうか。

オーディオ担当 田代勇輔氏

田代氏:Zシリーズとしてノイズキャンセリング対応に始まり、ハイレゾも進化させてきました。ハイレゾも当初はUSBのデジタルアウトでしたが、オーディオジャックからのアナログアウトに対応し、BluetoothのLDAC対応と、再生系の進化は続けてきました。これに対し、Xperia X Performanceでは録音系の改善を進めています。

 実際に他社の端末をベンチマークしていますが、ここは強みを発揮できていると考えています。カメラでキレイな動画を撮れるのに、ノイズが大きかったり、大音量で録音すると音が割れてしまうことがある。そういうところに対して、改善を加えました。

──具体的には、どういった改善をしたのでしょうか。

田代氏:内部の音声の信号処理を、16ビットから24ビットに上げています。まず処理系を高性能にして、音質が上がりました。その恩恵として、「サー」というバックグラウンドノイズを、低減できています。

 また、これもノイズ削減の一種ですが、携帯電話は動作していると、内部で微小な音が発生してしまいます。スマホは駆動部分こそありませんが、通電していると微小な音が鳴ってしまうのです。端末内部のマイクで録音する場合、この小さな音が録音されてしまいます。

 これを解決するために、ソニーのデジタルカメラでも使っている、ノイズサプレッション技術を搭載しました。これは、事前にどういうノイズが発生するかを覚えさせることで、実際にノイズが録音されたときに、それを消す処理をするものです。

内部で発生するノイズを抑制する技術はソニーのデジタルカメラ「サイバーショット」で培われたものを応用

──録音がキレイというのは、動画だけでなく、ビジネスにもよさそうですね。

田代氏:はい。ぜひビジネスシーンなどでも、ICレコーダーの代わりとしてもお使いいただきたいです。

 また、ちょっと変わった録音方法として、ノイズキャンセリング対応のイヤホンで「バイノーラルレコーディング」ができるのも特徴です。耳の位置で録音すると、音が立体的になる。人間が音源の位置を推定するとき、胸や顔や耳からの反射音で情報を取っています。それらまで記録することで、音での位置推定がしやすくなります。

 この機能はXperia Z3から対応しているものですが、継続して改善を進めています。こうした部分も、インテリジェンスのひとつですからね。

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