MSIのマザーボードは、高性能かつ信頼性が高いことで古くから人気がある。製品ラインナップもエントリーからハイエンドまで幅広いが、その中でも同社が最近力を入れているのが、いわゆるゲーミングマザーである。
ゲーミングマザーとは、その名の通り、ゲーミングPC向けに設計された製品であり、信頼性や耐久性、安定性が高いことはもちろん、ゲームで重要になるサウンド機能やオンライン対戦時の実効スループットが高いLANなどの機能が搭載されている。
そのゲーミングマザーの最近のトレンドが、いわゆる「光物」への対応である。マザーボード上に多数のLEDを搭載し、その発光色や発光パターンを自由に設定できる製品が話題を集めている。
今回紹介するMSIの「X99A GAMING PRO CARBON」は、そうしたトレンドの最先端を切り拓く、究極のゲーミングマザーといえる製品だ。
DIMMスロットを補強する「DDR4 Steel Armor」を装備
まずは、X99A GAMING PRO CARBONの外観と基本的なスペックを見ていこう。CARBONという名前の通り、基板の色は黒を基調としている。
さらに、チップセットのヒートシンクやリアI/Oパネル上部カバーなどにはカーボンファイバースキンがあしらわれており、高級感を演出している。チップセットのヒートシンクに、ゲーミングシリーズのシンボルであるドラゴンのイラストが描かれているのもポイントだ。
チップセットとしてはIntel X99を採用し、LGA2011-v3ソケットをサポートする。LGA2011-v3は、いわゆるBroadwell-Eで採用されているソケット規格であり、コンシューマー向けCPUとして最高性能を誇る10コアCPU「Core i7-6950X」などを利用できる。
Broadwell-Eのメモリーコントローラーはクワッドチャネルであり、DDR4をサポートする。DIMMスロットは8本用意されており、最大128GBまでのメモリーを搭載可能だ。
DIMMスロットに、独自の「DDR4 Steel Armor」と呼ばれる技術が採用されていることも特筆できる。Steel Armorは直訳すれば鋼の鎧だが、その名の通り、樹脂製のDIMMスロットを金属パーツで覆って補強する技術である。
通常のDIMMはそれほど重くないため、重さでDIMMスロットが損傷する可能性は低いが、ゲーミングPCでは、DIMMにLEDなどによるライトアップパーツを装着する場合もあるが、DIMMスロットの強度が高いX99A GAMING PRO CARBONなら、そうしたパーツも安心して利用できる。
また、メモリー回路の配置を最適化し、他の回路から独立させることで、他の回路からノイズの混入を防ぐ「DDR4 Boost」技術により、高い安定性を実現。前述したDDR4 Steel Armorは電磁シールドの役割も果たすため、理想的なメモリー動作を実現。メモリーのオーバークロック耐性も向上しており、メモリークロックは最大3466MHzまで設定可能だ。
PCI Expressスロットにも「Steel Armor」を装備
拡張スロットは、PCI Express x16(Gen3)が4本とPCI Express x1(Gen2)が2本という仕様だ。CPUによってサポートするPCI Express Gen3のレーン数が異なるが、40レーンサポートしているCPUを搭載した場合は、PCI Express x16(Gen3)を同時に2スロット利用でき、NVIDIA SLIやAMD CrossFireにも対応する。
PCI ExpressスロットにもDIMMスロットと同様に金属パーツで補強を行なう「Steel Armor」が装備されている。GPUの高性能化にともない、大型冷却ファンを複数搭載するなど、ビデオカードは大型化する傾向にあり、重量も増している。
マザーボードをタワーケースに取り付けて使うと、ビデオカードの重量がPCI Expressスロットの側面にもろにかかってしまう。そのため、PCの運搬中などに、大型ビデオカードの重量に耐えきれず、PCI Expressスロットが破損してしまったり、基板とのハンダ付け部分が浮いてしまうといったトラブルが生じることがある。
しかし、X99A GAMING PRO CARBONのPCI Expressスロットは、スロットを基板に固定しているハンダ付け箇所も増えており、従来のPCI Expressスロットの4倍の強度を実現しているとのことだ。X99A GAMING PRO CARBONなら、大型の重量級ビデオカードも安心して利用できる。