いま聴きたいオーディオ! 最新ポータブル&ハイエンド事情を知る 第7回
Astell&Kernの次世代中核機種
ハイレゾ機を買うなら、この線を攻めたい「AK300」を聴く (2/3)
2016年07月03日 19時00分更新
実はAK320と“ほとんど変わらない”スペック
AK300はフラッグシップのエッセンスをきっちり継承している。
例えばDACチップは、現状かなりの高級機にしか搭載されていない旭化成エレクトロニクスの「VERITA AK4490」だ。AK320やAK380では、よりセパレーションを重視した“デュアルモノ構成”にしている(左右で独立したDACを使う)が、1個でステレオの信号を処理する点が、上位機との違い。
再生可能な形式も、PCMに変換しながらの再生となるが、最大5.6MHzのDSDや最大384kHz/32bitのPCM(DXDファイル)に対応しており不足がない。最近では、11.2MHzのDSDやMQAなど新しいフォーマットも出てきているが、楽曲数はかなり限定的。差し当たって不満を感じることはないだろう。
加えて200フェムト秒と超低ジッターのVCXO Clock(電圧制御水晶発振器)や2.5mm4極のバランス駆動用端子なども持つ。このあたりは末弟とはいっても、AK300シリーズの特徴をしっかりと継承していると言える。
既に述べたが、AK300シリーズには現在、AK380、AK320、そして今回のAK300の3モデルがある。AK380には筐体を純銅にし、重量が120gも重く、実売50万円超のバリエーションモデル「AK380 Copper」が存在するが、内部はAK380と同様で、機能面での差はない(外装の違いによる音質差はある)。違いを表にまとめた。
AK300シリーズのスペック | |||
---|---|---|---|
製品名 | AK300 | AK320 | AK380 |
直販価格 | 12万9980円 | 24万9980円 | 49万9980円 |
DAC | AK4490 | AK4490×2 | |
内蔵メモリー | 64GB | 128GB | 256GB |
ネイティブ再生 | PCM:最大192kHz/24bit | PCM:最大384kHz/32bit DSD:最大11.2MHz |
|
PCM変換再生 | PCM:最大384kHz/32bit DSD:最大5.6MHz |
── | |
USB DAC機能 | PCM:最大96kHz/24bit(UAC 1.0) | PCM:最大384kHz/32bit DSD:最大11.2MHz(UAC 2.0) |
|
筐体素材 | アルミ合金 | ジュラルミン | |
本体サイズ | 縦横75.15×112.4mm 厚さ15.45mm |
縦横75.15×112.4mm 厚さ16.5mm |
縦横75.15×112.4mm 厚さ17.5mm |
重量 | 約205g | 約217g | 約230g |
フェムトクロック | ○ | ||
パラメトリックEQ | ○ | ||
AK Connect | ○ | ||
専用オプション | ○ |
スペック面で上位のAK320との違いはDACの数と内蔵メモリーの容量程度しかない。一方で、AK380との差はさすがに感じる。ネイティブ再生可能な形式の違いがあるし、少々別格という感じだが、ネットワーク再生機能、AK300シリーズ用のCD Ripperや外付けアンプ、AK Recorderなどは共通して使える。
本体が薄型化した点も見逃せない。1mm程度とはいえ手に持った際のフィーリングなどに差がある。カラーリングは黒に近い紺となっており、質感が高い。例えば先日発表された「AK380-AMP-BLK」などともマッチしたカラーリングだ。
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