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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第117回

話題のiPhoneケース「RAKUNI」を東京で使って見て気づいたこと

2016年05月27日 12時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII.jp

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東京で地下鉄の改札を通るときに
なぜかiPhoneが反応してApple Payの画面に

 カードケースを収納するiPhoneケースだけをポケットに入れて出かけて、1つ気づいたことがあります。

 筆者はクレジットカードとPASMOが一体型になっているカードを使っているのですが、ケースもろともiPhoneごと自動改札機に近づけると、iPhoneの画面がApple Payの支払い画面になってしまうのです。

PASMOを入れたケースごとiPhoneを自動改札に近づけると、なぜかApple Payが反応するのです

 もしメールなどを読んでいる画面で改札に近づけると、指紋認証を求める画面が立ち上がります。もちろん自動改札機はApple Payに対応していないし、iPhoneから独立しているPASMOカードで改札は通過できるので、Apple Payの支払い画面をホームボタンを押してキャンセルする必要があります。

 東京メトロ、小田急、JR東日本の改札機を通りましたが、この反応は毎回、でした。大阪市営地下鉄の改札でも、やはりApple Payの支払い画面が立ち上がりました。

 筆者のiPhoneには、アメリカのクレジットカードでApple Payを設定していることが原因で、日本のユーザーの皆さんにとっては、同じような挙動に見舞われることはないとおもいます、現段階においては。

 しかし、裏を返せば、首都圏のJR・私鉄の自動改札機は、NFCを用いたiPhoneのApple Payになんらかの反応をしているというわけです。

利便性の追求がある一方で、問題も

 もちろん、決済機能が対応しているわけではないので、今はApple Payで改札を抜けることはできません。ただ、システムさえ対応すれば、Apple Payによる改札を利用できるかもしれないと期待を持ち始めることができました。

 なお、Apple Payが導入されているイギリスでは、ロンドンの交通機関でApple Payによる支払いが可能になっています。東京でも、外国からやってきた人が、SuicaやPASMOなどを入手しなくても、Apple Payを活用できる可能性が広がれば、旅行者にとっての利便性は高まるはずです。

 ただし、問題はあると思います。既存の自動改札でApple Payによる改札が実現したとしても、SuicaやPASMOを使っている人と同じ「速度」では通過できないでしょう。立ち止まらずに通れるのがICカードだとすれば、Apple Payでは、1~2秒立ち止まる、という感覚になるのではないかと思います。

 これでは、東京の人たちは海外から来たApple Pay利用者になじむことができないでしょう。後ろからぶつかられたり、改札前に行列ができることが容易に想像できるからです。

 それでも、自分が普段使っているスマートフォンを、ほかの都市で使いこなすができる点は、ストレスを軽減していくはずです。たとえば海外から来た人が使うスローレーンを設けるなどの運用の工夫をしてでも、実現していけると良いのではないかと思います。


筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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