シリコンバレー企業の通勤バスが来ると家賃は高くなる
同じ土地に4年近く住んでいると、その街の変化というものに気づくことも多くなってきました。
サンフランシスコ・シリコンバレー周辺をさす「ベイエリア」に住んでいる友人との会話で、まず最初に出るのが家賃や物価上昇の話題です。
日本でいう2DKの家賃が2年間で月で11万円値上がっただとか、1DKの部屋でこんな郊外なのに月25万円はふざけているといった内容で、日本のようには天気の話題は盛り上がりません。基本的にずっと“良い天気”なので。
不動産の価格は、リーマンショックを経ても上がり続ける状態が続いています。バークレーでも、ちょっとした一軒家が最近一挙に売りに出続けていますが、3年前はせいぜい高くて7000万円程度だったのに、今では同じような物件でも1億円を超えています。もし本気で家を探している人でも「これに1億はないよね」と呆れるほどです。
丘の上の豪邸はまったく売れず、だんだん値下げをし始める有様です。そして、バブルも末期なのかな、という感じになってきました。それで一般的なアパートの家賃も下がれば良いのですが、それは難しそうですね。
最近バークレーの駅にもGoogle社員専用の通勤バスが止まるようになったと聞き、これでは家賃の上昇は続くと地元の人もがっくり。シリコンバレー企業のバスが来る場所は家賃が上がり続ける(来ないで!)という雰囲気を感じていただければ、この原稿でお伝えしたいことの半分はクリアした、というものです。
ちょうど、最近の東京に向かう飛行機のなかで、アカデミー賞脚本賞を獲得した「マネー・ショート 華麗なる大逆転」(英題:The Big Short)を見ましたが、この映画はリーマンショック直前に、空売りを仕掛けた人々のストーリーです。2016年は一体どんな状況なんでしょうか。
コワーキングスペースで話題のスタートアップ
「WeWorkバークレー」で仕事場を確保
さてタイトルの話に移りましょう。筆者は4月から、バークレーにあるコワーキングスペース、WeWorkに入り、仕事場を確保しました。
WeWorkは2010年にニューヨーク・SOHOで生まれた企業で、現在も急速に成長しています。すでにサンフランシスコには5ヵ所あり、6ヵ所目もオープン予定。米国では15都市、米国外では英国、イスラエル、カナダ、中国など8都市に展開しています。
筆者の住むバークレーにも昨年進出し、当初3フロアだったスペースは7フロアに拡大、ビル全体がWeWorkになりました。ここでも強い需要があったのです。費用は場所によって異なりますが、バークレーでは共用の部屋に自分専用のデスクを確保するプランが月450ドル、2~3人程度の個室空間が550ドルから。
デスクや個室の価格設定は、正直格安です。普通にバークレーで部屋を借りてオフィスをセットアップしようとすると、初期費用やデスクなどの家具、月々のネット回線契約などの経費を含め、少なくとも月で5倍はかかるでしょう。この時点で、個人や小さな企業、スタートアップにとってのWeWorkの存在価値は明らかです。
共用スペースの会員であっても、仕事中のコーヒー代を積算すればWeWorkの方が安くなります。しかも、空いている席を見つけたり、遅いネット回線にストレスを覚える必要もありません。
加えて、同じスペースを使って仕事をしている人同士の交流や、仕事の紹介など、コミュニティーで仕事をする感覚が新鮮です。ひとりで煮詰まりがちなワークスタイルを改善できますし、お互いに仕事を回すギルド的な役割にもなりつつあります。
ニューヨークで人気のサラダバーもオープン
WeWorkに参加して感じたことは、ハブになっているなということです。そして筆者も、そのハブに参加できる点はメリットだと思いました。簡単に言えば、地域の情報により敏感になり、また素早く知る機会が増える、ということです。
バークレーの人々が集まって仕事場を共有する事から、近隣の飲食店や小売店も、真っ先に情報を提供してきます。たとえば4月19日にオープンする近所のサラダバー、Sweetgreenも、オープンの前の週に、自慢のサラダを紹介しに来ていました。
このSweetgreenはワシントンDCで2008年にオープンしたレストランチェーンで、地元の野菜を使い、季節ごとのサラダを提案する、通って色々試したくなるお店です。ワシントンDCに次いで店舗数が多いのはニューヨークで、「絶妙なドレッシングで、お腹いっぱいになるご馳走サラダの店」として友人からも評判を聞いていました。
ロサンゼルスにはすえに3店舗ありましたが、北カリフォルニア、しかも食にうるさいバークレーへの出店は、ある意味、Sweetgreenにとってもチャレンジになるのではないでしょうか。
ちなみに、メニューボードには、「Umami」「Tofu」「Miso」「Nori Furikake」といった日本の言葉や食材が並びますが、日本食を修行したシェフDavid Chang率いる「Momofuku」とのコラボレーションの結果のようです。
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