3月23日、ソフトブレーンは人型ロボットのPepperと連動する受付システム「eレセプションマネージャー」を発表した。QRコードをベースにPepperが担当者を呼び出すと共に、来訪者に対して最適な会話で応対する。
担当者の呼び出しに加え、来訪者との会話も
ソフトブレーンのeレセプションマネージャーは、ソフトバンクロボティックスとフランスのALDEBARAN Roboticsが共同開発する人型ロボット「Pepper」を用いた受付システム。受付というSFA/CRMの入り口にPepperを活用しようという試みだ。
発表会の前に行なわれた体験会で、実際に試してみた。Pepperに向き合うと、両手を頭に掲げながら「いらっしゃいませ。アポイントを確認しますので、おでこにQRコードをかざしてください」とアナウンス。来訪登録時に発行されたQRコードをかざすと、クラウドへの検索が開始され、Pepperのディスプレイにアポイントが表示される。「KADOKAWAの大谷様ですね。今、●●をお呼び出ししますので、少々お待ちください」とコメントした後、「ガチャ!プルルルル」と電話をかけるポーズでジェスチャーしながら、担当を呼び出してくれる。「●●さん、早く来てくださいねー」とコメントするなど、なんとも愛らしい。
案内を待っている間も、「大谷様と初めて名刺交換したのは、2002年10月4日なんですね。長くおつきあいしていただき、ありがとうございます!」と話しかけてくれる。顧客との会話内容は担当者にリアルタイムにメールで通知されるため、呼び出された担当者は会話をスムースに引き継ぐことが可能になっている。
人間とロボットの分業で満足度の高い受付を実現
1992年に宋文州氏が設立されたソフトブレーンは、創業17年目を迎える老舗のソフト会社。モバイルを前提とした営業支援システム「eセールスマネージャー」を1999年から展開しており、すでに約4000社の導入企業を誇っている。
今回、eレセプションマネージャーを投入した背景には、ロボットの利用と市場が拡大しているという背景がある。今まで活用が進まなかった蓄積されたデータを「受付」という営業の接点で活用。ロボットをインテリジエントな受付担当とすることで、人間とロボットとの分業を推進するのがeレセプションマネージャーの大きな目的だ。
現在、多くの企業の受付は人が対応する場合と内線電話が置いている場合が主流だが、人間味のある対応とデータ活用の精度という面で一長一短がある。その点、Pepperであれば両者のいいとこどりができるという。ソフトブレーン 代表取締役社長の豊田浩文氏は、「人間に近い、愛嬌のある対応ができる。でも、ロボットなら忘却しない」とPepperによる受付の魅力をアピール。受付時間を顧客満足度向上の時間に変えられるほか、必要なデータの呼び出しもミスなく行なえる。さらに蓄積されているデータベースの情報を元に、顧客に最適なコミュニケーションをとれるというのが大きなメリットとなる。
今後は「受付」から「営業」の役回りも
販売開始は2016年の4月1日から。クラウド利用時のeレセプションマネージャーのライセンスは、1アカウントあたり月額8万円(税別)。名刺・顧客情報を登録できるCRMライセンスが10ライセンス付与されており、来客スケジュールを登録・閲覧できるユーザーは無制限になる。別途、Pepper for Bizの本体レンタル料の5万5000円とあんしん保証パックの9800円が必要になるが、「一人あたりの人件費より安い」(ソフトブレーン 開発本部 技術開発部 部長 小田健太氏)とのこと。国内販売に関してはソフトバンクコマース&サービスが行ない、プレ・ポストサポートを拡充することで、Pepper導入を全面的に支援するという。
すでにパソナテックが先行導入しているほか、ソフトバンクコマース&サービスへの導入も決まっているという。現在は一般企業の受付用途を想定しているが、今後は人事部門での採用受付やホテル、病院の受付でも活用できるよう、Pepperのコメントやシナリオを活用する予定だ。
また、インプット機能も強化し、訪問内容や人数、目的など履歴の収集や訪問者をカメラで撮影し、担当者に通知する機能も追加するという。さらに、海外販売に向けた多言語対応も推進するほか、人工知能と連動することで、「受付」のみならず「営業」の役回りも果たせるように強化していきたいという。「全社の商談履歴から勝ちパターンを解析し、お客様に最適な製品をご提案できる。山手線に営業のPepperが乗車しているみたいな未来は近い」(小田氏)ということで、ロボットが労働力不足を解消できる未来の営業に進化させていく予定だ。
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