各研究所が競いあうようにマシンを増強
ローレンス・リバモア国立研究所で多数のLinuxクラスターが稼動し、しかもきちんと利用できる環境になっていることを見てか、まず2003年にロスアラモス国立研究所はLinuxNetworX(2008年にSGIに買収)と契約、Dual Opteron×1280ノードをMyricomのMyrinetで接続した構成のLightningというシステムを稼動させる。
こちらはピークで11TFLOPSという性能で、2003年11月のTOP500では実効性能8.051TFLOPSで6位につけている。
サンディア国立研究所も1990年代からASCI C-Plantと呼ばれるLinuxクラスターを構築していた。初期のC-Plantは500MHz駆動のAlpha EV56を286台、Myrinetで接続した構成だったらしいが、その後さまざまなノードが後追いで追加され、複雑なことになっている。
左画像の出典は、“Delivering Insight - The History of ASCI”。右画像の出典は、“Computational Plant (Cplant)”
ちなみに右上の画像ではDellのPowerEdgeを搭載したものは4ノードしかないことになっているが、その後サンディア国立研究所はDual Xeon64を4096ノード集約し、CiscoのInfinibandスイッチで結合したThunderbirdという名のシステムを導入、2005年11月のTOP500で5位につけている。
これに負けじと、ローレンス・リバモア国立研究所も2006年にPelotonと呼ばれるLinuxクラスターを導入する。これはAppro(現CRAY)が納入したシステムだが、16128コアのDual-Core Opteronを20Gbps 4x DDRのInfinibandでつないだ構成になっている。
画像の出典は、“Linux Clusters Overview”
このように各研究所が勝手にLinuxクラスターをどんどん導入して無秩序に増強していくのはどうか、という話がどこかであったらしい。2007年6月、3つの研究所は共同でTLCC(Tri-laboratory Linux Capacity Cluster)のRFPをリリースする。
このRFPの構成は、ローレンス・リバモア国立研究所のPelotonにかなり近いもので、ロスアラモス/サンディア/ローレンス・リバモアのすべての研究所に設置された。
画像の出典は、“Linux Clusters Overview”
続いて2011年6月には、この後継としてTLCC-2(Tri-lab Linux Capacity Cluster 2)の導入が決まった。こちらはプロセッサーをXeon E5-2670に、ネットワークをQDR Infinibandに置き換えたもので、やはりApproが納入している。
画像の出典は、“Linux Clusters Overview”
これに続くものとして2015年6月からTLCC-3に相当するものの要求仕様の策定作業が開始されており、順調に行けば2016年中旬に明らかにされる見通しとなっている。

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