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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第347回

スーパーコンピューターの系譜 Linuxクラスター化で増強したASCI

2016年03月14日 11時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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各研究所が競いあうようにマシンを増強

 ローレンス・リバモア国立研究所で多数のLinuxクラスターが稼動し、しかもきちんと利用できる環境になっていることを見てか、まず2003年にロスアラモス国立研究所はLinuxNetworX(2008年にSGIに買収)と契約、Dual Opteron×1280ノードをMyricomのMyrinetで接続した構成のLightningというシステムを稼動させる。

 こちらはピークで11TFLOPSという性能で、2003年11月のTOP500では実効性能8.051TFLOPSで6位につけている。

 サンディア国立研究所も1990年代からASCI C-Plantと呼ばれるLinuxクラスターを構築していた。初期のC-Plantは500MHz駆動のAlpha EV56を286台、Myrinetで接続した構成だったらしいが、その後さまざまなノードが後追いで追加され、複雑なことになっている。

初期のC-Plant。どうみても、そこらのAlpha搭載のミドルタワーをむりやりラックに収めただけ、という構造に見える

さまざまなノードが後追いで追加された。これがすべて同時期に使われていたというわけではなさそうではある

 ちなみに右上の画像ではDellのPowerEdgeを搭載したものは4ノードしかないことになっているが、その後サンディア国立研究所はDual Xeon64を4096ノード集約し、CiscoのInfinibandスイッチで結合したThunderbirdという名のシステムを導入、2005年11月のTOP500で5位につけている。

 これに負けじと、ローレンス・リバモア国立研究所も2006年にPelotonと呼ばれるLinuxクラスターを導入する。これはAppro(現CRAY)が納入したシステムだが、16128コアのDual-Core Opteronを20Gbps 4x DDRのInfinibandでつないだ構成になっている。

PelotonはAtlas/Minos/Rhea/Zeus/Yana/Hopiという6つのシステムからなり、これは最大の1152ノードを持つAtlasの写真。最小構成はHopiの76ノードである

 このように各研究所が勝手にLinuxクラスターをどんどん導入して無秩序に増強していくのはどうか、という話がどこかであったらしい。2007年6月、3つの研究所は共同でTLCC(Tri-laboratory Linux Capacity Cluster)のRFPをリリースする。

 このRFPの構成は、ローレンス・リバモア国立研究所のPelotonにかなり近いもので、ロスアラモス/サンディア/ローレンス・リバモアのすべての研究所に設置された。

TLCC。これは1152ノード/18432コア構成のJunoと、288ノード/4608コア構成のEosの写真。他にもう1つ、864ノード/13824コア構成のHeraがある

 続いて2011年6月には、この後継としてTLCC-2(Tri-lab Linux Capacity Cluster 2)の導入が決まった。こちらはプロセッサーをXeon E5-2670に、ネットワークをQDR Infinibandに置き換えたもので、やはりApproが納入している。

TLCC-2。これは2916ノード/46656コアのZinの写真。他に1296ノード/20736コアのCab、162ノード/2592コアのRzmerlとPinotが存在する

 これに続くものとして2015年6月からTLCC-3に相当するものの要求仕様の策定作業が開始されており、順調に行けば2016年中旬に明らかにされる見通しとなっている。

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