日本サムスンは、2月18日に都内ホテルで「2016 Samsung SSD Forum Japan」と題したセミナーを開催した。
このセミナーは、国内のIT関連企業関係者などを招き、企業でのSSD導入事例やメリットを紹介するとともに、サムスンのSSD関連技術を紹介するために行なわれたものだ。
当日は、富士通やさくらインターネット、TKCといった国内企業・団体の代表者が登壇し、それぞれのSSD導入事例などを解説。また、韓国サムスン電子はSSDのトレンドやサムスン電子が誇るNANDフラッシュメモリーや、企業向けやOEM製品を中心としたSSD製品を紹介した。
セミナーの内容自体は、SSDの導入・活用事例として比較的一般的なものが中心だった。また、サムスン電子のSSD関連技術の解説も、既に発表済みのものが中心で、特に新しい発表はなかったため、セミナーの内容自体は本誌読者が興味のあるようなトピックは少なかった。
ただ、セミナー会場に展示されていたSSD製品の中に、本邦初展示となった非常に興味深い製品がいくつかあったので、それらを紹介していこう。
シーケンシャルリード最大3200MB/Secの超高速M.2 SSD
サムスンは、昨年に一般ユーザー向けSSD製品として初となる、PCIe Gen3 x4対応のNVMe M.2 SSD「950 PRO」を発売したが、早くもその次世代となるSSDが展示された。それがOEM向けの製品となる「SM961」だ。
形状はM.2で、PCI Express Gen3 x4、NVMe対応となる点は950 PRO同様だが、新たに第3世代となる最新のV-NAND(MLCタイプ)を採用するとともに、プロセッサーコアを5個内蔵する新コントローラー「Polaris Controller」を採用することで、シーケンシャル速度はリード最大3200MB/Sec、ライト最大1800MB/Secと、950 PROをさらに大きく上回るアクセス速度を実現。
また、Polaris Controllerではファームウェアのアーキテクチャーも従来から変更し、ランダムアクセス速度の向上に特に注力したとのことで、4Kランダムアクセス速度は、リード最大45万IOPS、ライト最大40万IOPSに達する。
Polaris Controllerのプロセッサーコアは、1つがI/Oインターフェース側のコントロールを行ない、残り4つのコアで、8チャンネルのリードとライトの処理をするという。
つまり、8チャネル並列でのリード/ライトのコントロールができるようになっている。加えて、第4世代V-NANDの採用による速度の向上も合わせて、従来よりも大幅な速度向上を実現しているとのこと。
なお、この世代では早くもPCIe Gen3 x4の速度上限に到達してしまいそうだという。そのため説明員は「早く次のインターフェースになってくれないと……」とこぼしていた。
SM961は、容量128GB、256GB、512GB、1TBをラインナップ。NANDフラッシュメモリーチップは基板片面実装のため、両面使えば2TBの容量も実現できる。
また、NANDフラッシュメモリーとしてTLCタイプの第4世代V-NANDを採用する「PM961」も用意される。コントローラーはSM961同様Polaris Controllerを採用。アクセス速度はSM961よりやや遅くなるが、それでもシーケンシャル速度はリード最大3000MB/Sec、ライト最大1150MB/Sec、4Kランダム速度はリード最大36万IOPS、ライト最大28万IOPSを実現している。
これらSM961およびPM961は、4月頃からサンプル出荷が始まり、夏以降に搭載製品が市場に出てくる予定だ。