2月16日、ヴイエムウェアはIoTに関する説明会を開催した。インダストリ4.0の生まれたドイツから来日したマシアス・ショラー氏は、ヴイエムウェアがすでにいくつものIoT事例に貢献していることをアピールした。
既存のVMware製品はすでにIoTに寄与している
IoTについて「サイバー空間と物理空間が出会う場所」と定義したショラー氏。IoTにおいては接続や管理、モバイル通信、インフラ、セキュリティ、アプリケーションのライフサイクルなどが必要になると説明する。このうち、ヴイエムウェアとしては「モノの管理」「データのキャプチャと分析」「クラウドモバイル&IoTソリューション」の3つの分野で寄与できるという。
膨大な数のモノの管理に関して、デバイスのアクセスと管理にはモバイル管理を実現する「AirWatch」、セキュアなコネクションに関してはモバイル対応の「VMware NSX」、さらにIoTエッジゲートウェイの管理と監視には「vRealize Operations」などが利用できる。
ショラー氏は、「コカコーラはAirWatchを使って利用データの収集やメンテナンス、補充管理などフリースタイル販売機の制御を行なっている。男性か女性かを把握できるし、複数の飲料をミックスするレシピをパーソナル化することも可能になっている」と事例を紹介する。AirWatchが持ち合わせる端末ごとのアップデート機能や拡張性などが大きなポイントになるようだ。
また、データのキャプチャと分析においては、同社やPivotalのビッグデータソリューションが対応する。収集には「Pivotal Spring XD」、データストレージには「Federation Business Data Lake」、データ分析には「Pivotal Big Data Suite」、エッジ分析には「EMC Real Time Intelligenve」などが利用できる。実際、IoT先進企業であるGEではPivotal Big Data Suiteによって、エンジン推力データの収集およぶ分析を実現しているという。
さらにクラウドモバイル&IoTソリューションに関しては、同社が得意とするSoftware-Defined DataCenterやコンバージドインフラ、Pivotal Cloud FoundryやPivotal Spring Cloudなどのアプリケーション開発環境が用意されている。基本的にはIoT向けの製品やスイートではなく、既存のVMware製品をIoTの領域に適用していき、顧客のニーズにあわせてカスタマイズを施すのが同社の戦略だ。
ハードウェアだけではなく、サービスも提供できる
ヴイエムウェアが想定するIoTのアーキテクチャは、モノから生成されたデータをエッジサイトでフィルター・分析・正規化。トランスポートクラウドを介して、データの分析や監視を行なうデータセンターにデータを送る。これにより、ビジネスの成果を分析したり、データの収益化が可能になる。もちろん、その経路はすべてセキュアなネットワークで結ばれ、エンドツーエンドで安全が保たれるという。「ハードウェアだけではなく、オンラインサービスもいっしょにお客様に販売できる。ソフトウェアでコントロールされたサービスを提供できる。通信事業者がケータイでやってきたことと非常に似ている」(ショーラー氏)。
ショラー氏は、車や農業などのIoT事例を紹介。「畑にセンサーを配置し、アスパラガスの成長速度を調べ、モバイルアプリからどれが収穫可能かをチェックするサービスがある。農家にとっては人件費の削減にもなり、きちんとお金を払ってくれる」といったIoT事例も披露する。業務に直結するIoTは、企業システムのように典型的な構成パターンがないため、ヴイエムウェアも顧客の課題にきめ細かく向き合っているようだ。「単にハードウェアを仮想化するだけではない。顧客ごとにニーズが異なり、適しているソリューションも異なる。毎日、違う朝を迎えているようだ」とショーラー氏は語る。