1月20日、IDCフロンティアはパートナーが自社の製品やサービスをクラウドサービス「IDCFクラウド」上で自由に公開し、無償で顧客が試用できるという「エコアライアンス」を発表した。パートナーとユーザーを有機的につなぎ、新しい価値を共創するという。
まずは試してもらい、次に拡張する
エコアライアンスはIDCFクラウド上にマーケットプレイスを公開し、パートナーとユーザーをつなげる構想で、国内事業者としては初の試みだという。各パートナーはCMS(Content Management System)やバックアップ、脆弱性診断、運用監視などのさまざまなアプリケーションをIDCFクラウド上に展開。「買わせるよりも乗ってもらう(Land)のが先、そして乗り心地に納得したら、大規模に売り込むのも容易(Expand)」という「Land and Expand」のコンセプトで、まずはフリーミアムで提供されているクラウドアプリケーションをユーザーに試行錯誤してもらうことで、自社に最適なインフラを構築できるという。
同社はデータセンター事業からクラウドにビジネスをシフトし、国内No.1を実現すべく「スケーラビリティ」「UI/UX」「データ集積地」という3つの戦略を掲げている。このうち、データ集積地を実現するための仕組みとして、今回クラウドプレイヤーが集まるエコアライアンスを構想したという。
これまでIDCフロンティアでは、パートナーとの個別の協業によって、システム管理サービスの「Mackrel」(はてな)やメール配信を提供する「SendGrid」(米SendGrid)、スマートフォン向けのプッシュサービスである「GrowthPush」(シロク)などを提供してきた。こうしたアライアンスを進める中で、IDCフロンティアは「ユーザーに使ってもらう機会を限りなく増やす」「パートナー同士がつながること」という成功パターンが見えてきたという。そのため、エコアライアンスではパートナー同士で一体多での連携を進め、拡販モデルにつなげていくという。
パートナー20社からスタートし、年度末に100社を目指す
一方、昨年末からはIDCFクラウドのユーザーが作ったテンプレートを他のユーザーに公開できる「コミュニティテンプレート」の機能を提供を開始。公開されたテンプレートから仮想マシンを簡単に作れるようになっている。こうしたテンプレートとパートナーのアプリケーションを有機的に連携させ、価値の高いソリューションを共創していくのが、エコアライアンスの狙いだ。
エコアライアンスの募集は昨年末から開始。2016年1月20日の時点で20社のエコアライアンスパートナーが登録されており、年度末には100社を目指す。発表会では、秘密分散技術「分散PortKey」を展開するイノベーション・ファームとシステム運用の自動化基盤「Kompira」を提供するフィックスポイントが登壇し、デモンストレーションを披露した。
将来的にはマーケットプレイス上で有償のテンプレートを提供するほか、検索やコメント、ランキングやレーティングなどの機能を追加。共創の活性化を図っていくという。