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ヤマト運輸公式アカウント開設

ヤマトとLINE連携、LINEから再配達や集荷可能に

2016年01月15日 17時50分更新

文● 貝塚/ASCII.jp

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LINEのヤマト運輸公式アカウントのサンプル

「ユーザーに伝票書かせるのは罪」

ヤマト運輸 代表取締役社長 長尾 裕氏(左)LINE 代表取締役社長 出澤 剛氏(右)

 発表会では、宅急便とLINEが将来的に目指しているサービスのかたちについても、両社長から語られた。

 長尾氏から語られたのは、「現代に、大変な手間をかけて伝票をユーザーに書いてもらうのは罪」という言葉だ。

 確かに、ほしい商品をディスプレー上で選択して、住所を入力すれば数日以内には手元に届いている、というのが当たり前、サービスによっては住所を入力する手間すら要らないという時代に、個人間での荷物のやり取りには手書きの伝票が必要というのは、よく考えると不思議な気もしてくる。

 今回のヤマト運輸とLINEの協業によって実現するのは「再配達、集荷の依頼」や配達日時を事前に知らせる「お届け予定メッセージ」など、クロネコメンバーズになっていればこれまでも利用できていたサービスがLINE経由でより手軽にできるようになる、というのが大枠だが、両社の社長は、ヤマト運輸とLINEの連携を今後さらに強化していくつもりのようだ。

 出澤氏から語られたのは、「相手の住所を知らなくても、LINE経由で荷物を送付でき、受取手はLINE経由で誰からの荷物がいつ届くのか確認でき、受取の承諾や拒否まで選択できる」というもの。長尾氏が語ったのは「LINE経由で伝票内容を入力し、スマートフォンを専用のデバイスにかざすことで伝票を作成できる」というもの。「アプリ内にあらかじめ住所を入力しておき、ごくわずかな手間で伝票を作成できる」という構想も長尾氏から語られた。

 LINE内での伝票作成は現在ヤマト運輸内のチームが開発を進めており、「早ければ夏にはお披露目ができるかもしれない」(長尾氏)というから、それほど遠い将来の話ではなさそう。

「伝票のデジタル化を進めている」

 ヤマト運輸は2019年に創業100周年の節目を迎える。サービス開始初日の取り扱い荷物は11個。2015年度の取り扱い件数は、およそ17億個にのぼる見込みだといい、同社の宅配サービスが生活に深く浸透していることを感じさせる。

 「伝票をなるべくデジタル化していこうというのが今の方針」と長尾氏は話す。これからの課題はユーザーの手間をさらに省略し、「より身近で親しみやすいサービスへと進化させていくこと」だという。LINEとの協業も「デジタル化の動きのひとつ」と見て間違いなさそうだ。

住所を意識する機会は減り続けるかもしれない

 「将来的には、荷物を見ただけでは個人情報が識別できないようなサービスにしたい」と長尾氏は話すが、出澤氏の話した「相手の住所を知らなくても、LINE経由で荷物を送付でき、受取手はLINE経由で誰からの荷物がいつ届くのか確認できる」というアイディアと掛け合わせると、宅急便というサービスが、送りたいときに、送りたい相手に、相手の住所なしで荷物が送れる、というものに変化することだろう。

 非常に便利なことだ、と思う反面、「住所を教えたことのない相手から荷物が届く可能性がある」ということに、少しだけ不気味さも覚えてしまう。それも鑑みて出澤氏は「受取の承諾や拒否まで選択できる」という構想を口にしたのかもしれないが。ビジネスの場は別として、日常生活で住所を手書きするということはどんどん少なくなっているが、将来的には、個人が「住所」というものを意識する機会はどんどん減っていって、自治体や企業が扱うもの、表には出てこないもの、たとえればユーザーインターフェースに対するソースコードのような存在に変わっていくのではないか、そのように思えた。

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