日本ヒューレット・パッカード(日本HPE)は1月14日、買収により今月合併した旧アルバネットワークスの事業に関する説明会を開催した。新生“HPE Aruba”として、企業/大学のキャンパスネットワークを中心とする、無線/有線の統合ネットワークソリューションを展開していく。
HPE 吉田社長「ネットワーク事業のビジネスモデル変革の鍵を握る合併」
冒頭に挨拶したHPE社長の吉田氏は、昨年の分社後、HPEのビジネスはグローバルでも日本市場でも「非常に好調」だと説明。HPEの方向性は「顧客の“New Style of Business”実現に向けたITソリューション」「顧客ビジネスの“結果”に貢献するITソリューション」を提供していくことだと、あらためて強調した(関連記事)。
その方向性に沿って、HPEでは4つの具体的なソリューション戦略を示している。そのうち、特に「ワークプレイスの生産性向上」において、アルバの合併が大きな鍵を握ると吉田氏は語る。
「われわれは、単なるWi-Fiベンダーと合併したわけではない。アルバとの合併は、〔HPEの〕有線ネットワークのビジネスを無線にも拡張するという単純な話ではなく、『ビジネスモデルの変革』を目指している。ストラテジーのうえでも、また顧客の役に立つ存在になるうえでも、非常に大きなキーとなる合併だ」(吉田氏)
“GenMobile”の台頭に「モバイルファーストのネットワーク」を提案していく
HPE傘下となったArubaのシニアバイスプレジデント、オー氏は、HPEとの統合の背景には、モバイルデバイスを使い、いつでも/どんな場所でも仕事とプライベートの両方をこなす“GenMobile(モバイル世代)”の台頭があるという。
「こうした利用スタイルが普及すると、企業としてはコンプライアンスの問題も生じる。GenMobileをサポートするITインフラ環境が必要になっている」(オー氏)
そうしたアルバの考えが、HPEの構想する「New Style of BusinessのためのITインフラ」とうまく合致したというわけだ。
またオー氏は、無線ネットワーク市場におけるHPE Arubaの差別化ポイントを挙げた。数台から数十万台までのデバイスを単一アーキテクチャでカバーできる拡張性、ベンダーフリーのオープン性、ユーザーやアプリケーションに対するアウェアネス、従来の境界型セキュリティを超えたアクセスセキュリティ、ビーコンを活用したモバイルエンゲージメント(関連記事)など、オー氏はアルバ独自の技術やソリューションを数え上げる。
「HPE Arubaが最もユニークな部分は、『セキュリティ』『スケーラビリティ』『マルチベンダー』だ。競合他社は、この3つを同時に満たすことはできていない」(オー氏)
買収発表後、HPEとアルバでは、これまでおよそ8カ月間にわたって両社ソフトウェアの連携に取り組んできたという。オー氏は「近い将来」、製品ラインの統合や、マネジメントおよびセキュリティの統合について発表できる予定だと語った。
また、アルバ日本法人でカントリージェネラルマネジャーを務めていたネットワーク事業統括本部 事業統括本部長の田中氏は、HPEとの合併により、これまでアルバだけでは生かせなかった有線、データセンターなどのビジネスオポチュニティを生かせるようになったと説明。今後は「『モバイルファーストで考えたネットワーク』、将来を見据えたネットワークを作りましょうという顧客への訴求」で、競合と戦っていきたいと抱負を述べた。
「〔HPE Arubaでは〕有線と無線を統合し、認証や監視も統合するアーキテクチャを提供できる。またアルバが持っていた良い製品を、HPEのスケーラビリティをもって日本の顧客に提供できるようになる。すでに顧客からの期待も高い」(田中氏)