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Wi-Fiインフラにビーコンを追加、スタジアムや店舗、企業内でも活躍

顧客と無線で“つながる” アルバが提案する位置情報サービス

2014年12月25日 06時00分更新

文● 高橋睦美

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ユーザーの居場所に応じてリアルタイムな情報提供を

 大掃除に必要な道具をホームセンターに買い出しに出かけたのに目当ての商品が見つからず、あっちにウロウロ、こっちにウロウロ……そんな経験はないだろうか? こんなとき、手元のスマホに「商品はこの通路のこの棚にあります。ここからその場所までナビゲーションします」と表示してくれれば、非常に便利だろう。

 あるいは、空港の所持品検査で、飛行機の出発時間が迫っているのに列がなかなか進まないようなとき。「100メートル先のもう1つの検査場はスムーズに通れます」と、具体的な経路とともに通知が出れば助かると思わないだろうか。コーヒーを一杯飲むゆとりも生まれるかもしれない。

 米アルバネットワークスでは、これまで培ってきたWi-Fi技術にBluetoothの技術を組み合わせることで、そんな仕組みの実現に取り組んでいる。それが、今年(2014年)11月に発表した「Aruba Mobile Engagement」だ。利用者の居場所に応じてピンポイントかつリアルタイムな情報を提供することで、さまざまな可能性が開けるという。

既存のWi-Fiインフラにビーコンをプラス、簡単に構築

 同社が12月9~12日に中国・上海で開催したアジア太平洋地域のプライベートカンファレンス「Aruba ATOMOSPHERE 2014」でも、Aruba Mobile Engagementは注目ソリューションの1つとなった。同社社長兼CEOのドミニク・オー氏が基調講演(関連記事)で挙げた、無線LANに求められる4つの要素「Stable」「Secure」「Smart」「Simple」のうち、Aruba Mobile Engagementは「Smart」を具現化するものである。

 オー氏は「無線レイヤーを『Smart』にすることで、顧客へのエンゲージメントを高めていくことができる」と説明する。具体的には、デジタルマーケティングをはじめ、空港、病院といった公共施設、あるいはスタジアムやコンサート会場などでの活用が考えられるという。

 Aruba Mobile Engagementは、アルバが2013年5月に買収したメリディアン(Meridian)の技術を活用した、施設内位置情報サービスソリューションだ。施設内に設置した「Aruba Beacon」を用いて、対応アプリをインストールした端末の位置情報を「数メートル、数フィート単位で」把握できるようにする。海外では2015年1月に、日本でも2015年第1四半期には販売を開始する予定だ。

Aruba Beacon。既設のアルバ製Wi-Fiアクセスポイントに取り付けるUSB型と、スタンドアロン動作するバッテリ型がある。既設のビーコンもWi-Fiインフラを通じて一元管理できるのが特徴

 さらにアルバでは、既存のアプリケーションに施設内位置情報を組み合わせた情報配信/ナビゲーション機能を追加するSDK「BluDot Kit」「Nav Kit」「Zone Kit」も提供している。これを活用すれば「簡単な操作で、既存のアプリにナビゲーション機能などを追加できる」(メリディアン創業者、キヨ・クボ氏)。

スタジアム観戦を自宅よりも快適にするサービス

 Aruba Mobile Engagementを積極的に活用して、いち早く顧客満足度を高めている事例がある。アメリカンフットボールの「サンフランシスコ49ers」の本拠地である「リーバイススタジアム」だ。

 リーバイススタジアムの収容人数は6万8500人。これだけの規模になると、初めて観戦に訪れた観客は、どこに自分の席があるのか探すだけで戸惑ってしまう。最寄りの売店やお手洗いはどこにあるのか分からないし、たとえ探し当てられてもハーフタイムには長蛇の列ができる、といった具合だ。

 そこでリーバイススタジアムでは、Aruba Mobile Engagementと独自アプリを活用し、観客の位置情報に基づくきめ細かな情報サービスを提供することで、快適な観戦環境の実現に取り組んでいる。

リーバイススタジアムでの活用例。スタジアム内の案内図だけならばありふれたアプリだが……電子チケットの情報とビーコンで測定した施設内位置情報に基づき、自席までの道のりをきめ細かく案内してくれる

 専用アプリを起動すると、電子チケットの座席情報に基づいて、今いる場所(例えばスタジアムの入り口)から自分の席までの道筋をナビゲーションしてくれるうえ、最寄りの売店の場所やオススメ商品情報などが表示される。このとき、飲食物をアプリ上で注文し、座席まで届けてもらうことも可能だ。そのうえ、スタジアム全体にWi-Fiによる高速ネットワークが整備されているため、観戦しながら手元のスマートデバイスでリプレイを確認したり、対戦チームに関するデータや選手コメントなどを参照できる。

屋内位置情報を活用したアプリを、コードを書かずに簡単に開発できるツールも

 スポーツビジネスの観点から考えると、実はスタジアムのライバルは観客の“自宅”なのだと、アルバのワールドワイドセールス担当バイスプレジデント、ジョン・ディルーロ氏は説明する。

 「4K映像の配信などによって、スポーツ観戦をするならば、スタジアムよりも自宅のほうが快適で優れた体験を得られるようになった。しかも、自宅にいれば売店の長い列に並ばずに済む。スタジアムのシートに座っているときの体験を、どうすればより良いものにできるのか。それを考えたとき、Wi-Fiテクノロジが解決策になる」(ディルーロ氏)

 2020年に開催が決まった東京オリンピックに向けて、海外からの観光客への「おもてなし」の一環として、無料の公衆無線LAN網の整備などが進められている。そのインフラ構築に要するコストをまかない、かつ観光客によりよい体験を提供する手段として、Aruba Mobile Engagementが実現する仕組みに注目が集まるかもしれない。

(→次ページ、情報セキュリティなど、企業内での活用アイデアも

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