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業界人の《ことば》から 第177回

PCメーカーではなく、電子機器メーカーを目指すキングジム

PCは成熟産業、だからこそ見えるポータブックの勝機

2016年01月12日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

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テプラ以来の大きな挑戦

 そして、「スライドアークキーボード」と呼ぶ独自の折りたたみ式キーボードを採用した点も特徴的だ。

 ポータブックは、8型液晶ディスプレーを搭載するが、操作時には、12型液晶ディスプレー搭載モデルと同じフルキーボードサイズでの入力操作ができるように、キーボードを広げることができる一方、持ち運び時にはキーボードを折りたたんで収納することができる。

写真のように変形する

 キーボードの収納の際には、キーボードが左右に分かれ、弧を描くようにしてスライド。また、キーピッチは18mm、キーストロークは1.5mmを実現。モバイル環境での利用を想定しているため、タイピング時の静音性にもこだわったという。持ち運び時の本体サイズはA5サイズの手帳とほぼ同じ。重量も約830gに抑えた。この独自のキーボード開発に約1年を要したという。

 スペック至上主義ではないとするポータブックではあるが、基本仕様は、明らかにPCと同じ。キングジムの宮本彰社長は、「これまで当社が開発してきた製品と比べても、開発コストが大きく、技術的難易度が高い。商品化の決断には、かなりの勇気が必要だった」と語る。

 当初は、ポータブックの商品化に向けて、社内でも反対意見があったという。

 だが、「電子機器分野では、隙間市場を狙うというキングジムの基本姿勢、また、他社と同じ製品は出さずに差別化した製品を出すという当社の考え方に照らし合わせた結果、十分差別化でき、世の中にない新たな市場を作れると確信した」(宮本社長)と、キングジムだからこそ誕生した製品であることを強調する。

 そして、「1988年に投入したラベルライター『テプラ』によって、電子機器市場に参入して以来のチャレンジになる」と、同社にとって大きな挑戦であることを示す。

 PCメーカーとは呼ばれたくないとする宮本社長だが、その一方で、「ポータブックによって、本当の意味で、キングジムが、電子機器メーカーとして認められるようになるだろう。ポータブックのキングジムと呼ばれることを目指したい」と語る。

 「まずは、年間3万台が目標」と宮本社長。そして、「いまは、隙間とは言えないような大きな市場があるのではないか、という期待が高まっている」とも語る。開発に着手してから2年。そのうちキーボードの開発だけに1年をかけたポータブック。2月12日の発売まで間もなくだ。

 スペック至上主義ではないとしながらも、市場想定価格が9万円というのはちょっと高すぎる感じもするが、最後発のキングジムが、PC市場において台風の目となるのかどうかが注目される。

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