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『角川インターネット講座』(全15巻)応援企画 第11回

第14巻『コンピューターがネットと出会ったら』監修者インタビュー

夢を叶えるには現実を見よ TRONプロジェクト坂村健博士かく語りき

2015年12月12日 18時00分更新

文● 盛田諒、小林久 写真●Yusuke Homma(カラリスト:芳田賢明) 編集●村山剛史/ASCII.jp

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仕事しながら勉強はできる

坂村 日本は勉強というのを学校だけでやると思ってる人が多いですよね。逆に、アメリカやヨーロッパは一生するものと思ってる人が多いんですよ。

── 欧米には文化として生涯学習があるわけですね。

坂村 アメリカの大学は再教育を意識した作りになっている。またアメリカ人は高校を出て大学を出たらおしまい、と思ってる人は少ないんじゃないですか。社会に出て、会社に入って、しかるべきときが来たら、もう一度チャレンジしたい。そのために大学に行ったほうがいいとなったら会社に通いながらでも大学に行く。

 それが日本だと行きづらい。向こうだと再教育がやりやすい。入学、編入、そういうことができるようになっている。昔は文系だったけど理系に行ってみようとか、コンピューターサイエンスに行ってみようとか、これとこれだけ科目をとろう、とかね。

── 身につまされますね。32~3歳のとき、ある人に相談したら、「仕事だけするんじゃなくて、君は午前中だけでも大学に通ったほうがいい」と言われました。「会社なんて午後から出てくればいいんだ」と。とても心に響いたんですが、なかなか難しい。結果「デブの道」を選んでしまった……。

坂村 勉強するのに遅いとか手遅れというのはないですよ。勉強というのは必ずしも大学に行くのが勉強じゃないんですよ……たとえばね、これを読むこと!(ニカっと、「角川インターネット講座」を掲げる)

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── はははは! さすがです。

坂村 一冊の本を熟読したら、大学にいいかげんに行くよりはるかにいいでしょ。

── こうして年をとってみると、昔読んでぜんぜんわからなかった本もあらためて『そういうことだったのか!』とわかったりしますしね。

坂村 経験を積めばだんだんわかってくることがあるでしょ。仕事しないとありがたみがわからないことがある。インターネットで検索すればいろいろ出てくるけど、正しいかどうか判断するのは自己責任。判断するにはまとまった知識を得ていないと判断ができないでしょ。体系的に書いていないから。

 そういう意味で言うと、この本にはすべてが体系的に書いてある!(満面の笑みで「角川インターネット講座」を掲げる)

── はははは……先生。

坂村 だって今日そういう回でしょ?

── あっ、はい。そうです。そういう回です。

坂村 あのね、この本ね、インターネット講座のなかではテクニカルな本なんですね。ほかの巻に比べて、技術のことに関して踏みこんで書いています。

 社会のことや生活を考えるのも大事だけど、技術も重要でしょう。専門的な話だと、ちょっととっつきにくいなと思う人もいるかもしれません。であれば、第1章と第5章のところは読みやすいと思うから、まずここを読んでほしい。それを深めるように中を読んでほしい。

── 第1章と第5章は、坂村先生が書いたところですね。

坂村 もう1ついいのは註がたくさんついていることね。最初は註なしで読んだあとに註を参考にして読んでほしい。技術の本は1回読んだら終わりじゃなく、2回は読まなきゃダメ。これがたったの2700円。それでこれだけのまとまった知識が入るんだよ。大学は高いよ。いくら東大の授業料が安いといったって2700円じゃ無理だよ。

── ま、まあたしかに……。

(次ページでは、「得ようと思ったらまず与えよ」)

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