アプライアンス型で20分以内にセットアップ可能、低価格な多拠点バックアップ環境にも
デル、AppAssure搭載のバックアップ専用機「DLシリーズ」
2015年12月03日 06時00分更新
デル・ソフトウェアは12月2日、「Dell PowerEdge」サーバーに同社のバックアップソフトウェア「AppAsure」を搭載したアプライアンス2機種、「Dell DL4300 Backup and Recovery Appliance」および「Dell DL1000/DL1000 1TB Backup and Recovery Appliance」を発表した。
デル・ソフトウェアでは、今年2月からAppAssureの国内提供を開始している。AppAssureは「いかに迅速にリカバリを行えるか」に着目した製品で、WindowsおよびLinux環境のバックアップに対応している(Linux環境では一部機能制限あり)。
スナップショットベースのイメージバックアップ手法による最短5分のRPO(リカバリポイント目標)、重複排除/圧縮による転送データ量とストレージ使用量の大幅な削減といった特徴を持つ(関連記事)。仮想化技術を活用し、常時最新状態の“スタンバイ仮想マシン”を用意するVirtual Standby機能、パブリッククラウドを使ったリカバリ(クラウドDRサイト)やデータアーカイブなどの機能も備える。
今回発表されたDLシリーズアプライアンスは、このAppAssure最新版を第13世代PowerEdgeサーバーに搭載済みの状態で提供することで、導入から利用開始までのリードタイムを「20分以内」(デル発表より)に短縮するターンキーソリューション。AppAssureとサーバーの統合管理コンソールも提供しており、スタンバイ仮想マシンもすべてこのコンソールから管理できる。
バックアップ対象の規模に合わせ、標準環境向けのDL4300(2Uサイズ)と、小規模環境/ブランチオフィス向けのDL1000(1Uサイズ)、ストレージ容量が1TBのDL1000 1TBがラインアップされている。DL4300は、8コア(標準モデル)/10コア(大容量モデル)のプロセッサと最大256GBのメモリを搭載する。DL1000は一部機能に制限がある(RPOは最大60分、スナップショット保持期間は3カ月間)。
なおDL3400では、同筐体上でVirtual Stanby機能によるスタンバイ仮想マシンを実行することもできる。これにより、本番サイトの障害発生時に、縮退環境として同アプライアンスをすぐに活用できる。
米デルのブレット・ロスコー氏は、「データ保護(バックアップ)に対する顧客の要求レベルはますます厳しくなっている。リカバリに数時間、数日かかっていた従来のバックアップソリューションでは満足いかなくなっている」と述べ、迅速なリカバリを可能にするAppAssureの優位性を説明。加えて、米国市場ではすでに、AppAssureの半数以上はアプライアンス形態(DLシリーズ)で販売されていると説明した。
デル・ソフトウェア マーケット・デベロップメント・マネージャの大植吉浩氏は、差分データのみを転送するAppAssure/DLシリーズのバックアップ方式は、大容量データのデータ保護も短時間で完了するため「大容量時代に適している」と紹介した。また、ブランチオフィスも含めバックアップ環境をDLシリーズに統合することで、低価格なデータ保護が提供できると説明した。
なお、DLシリーズはオープン価格。大植氏によると、2TB構成のDL1000(5年間の保守サービス付き)の標準価格は140万円(税抜)。
デル・ソフトウェア 代表取締役社長の中村共喜氏は、日本市場においては「セキュリティ(Dell SonicWALL)」と「データ保護」がビジネスの根幹だが、来年はさらにポートフォリオ展開を拡大していくと語った。具体的には「レガシーアプリケーションのマイグレーション」と「データベース管理」の2分野で、米デルがすでに展開している製品の国内提供を開始する方針。