このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

ハイエンドオーディオを広げにかかったのではないか

ソニーの本格Bluetoothスピーカー「CAS-1」は大当たり! 気合いに合った製品だ

2015年12月02日 10時00分更新

文● 四本淑三、写真●篠原孝志(パシャ)

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

スピーカーとヘッドフォンは専用のDACを内蔵

 これらを駆動するアンプの実用最大出力は24W+24W。スピーカーに耐入力やインピーダンスのデータはありませんが、アンプの出力表示にもインピーダンスの表示はありません。セットで使うから関係ないということでしょう。

本体の背面にはスピーカー接続端子とUSB B端子、ペアリング、ヘッドフォンアンプのゲイン(LOW/HIGH)切り替え、自動的に電源が切れるオートスタンバイの設定スイッチがあります。電源は19.5VのDCで、ACアダプターを使います

 アンプは「S-Master HX」というソニーお得意のフルデジタルアンプですが、デジタルアンプはデータ量を間引いて音量調節をするので、音量を下げると音が薄くなってしまう。それで、CAS-1には電源電圧を可変させて増幅率を変える「パルスハイトボリューム」という仕組みが使われているそうです。また、小音量時の音質を補正する「Low Volume Mode(ローボリュームモード)」も設定できます。これは往年のラウドネススイッチみたいなものでしょうか。

 ヘッドフォンアンプにはスピーカーとは別の専用DAコンバーターを使い、出力は250mW+250mW(8Ω時)という本格的なもの。PHA-2を流用しているのだから本格的というか本格なのですが。

 ソースの接続端子としては、USBメモリーなどの接続に対応したUSB A端子、パソコンやウォークマンとの接続に対応したUSB B端子があり、Bluetoothとともに、本体の操作で切り替えられます。ここでおもしろいのは、どれもデジタル入力ばかりで、AUX INのようなアナログ入力端子がないところです。A/Dコンバーターを介さず、フルデジタルアンプの性能を活かす狙いがあるのでしょう。

本体の大きさは約幅55×奥行き210×高さ178mm、重さは約1.3kg。ボリュームはロータリーエンコーダー。USBメモリーを挿すUSB A端子と、ヘッドフォン端子がパネル前面にレイアウトされています

 32bitのソースに対応するのはUSB B端子のみで、そのほかは24bitまで。2.8MHzのDSDにも対応しますが、ダイレクトストリームではなく、再生時にPCM変換してしまう仕様です。

 Bluetooth接続した場合は、990kbpsでサンプリングレート96kHzのソースを伝送するソニーの独自コーデック「LDAC」が使えるのですが、今回は対応するXperiaを調達できなかったので、この部分についてはテストしていません。BluetoothはNFCでのペアリングにも対応しています。

iOS版のSongPalからCAS-1に接続した画面。本体の各端子とともに、ストリーミングサービスの音源も選択(対応アプリの起動)できます

 スマートフォンやタブレットから操作する場合は、ソニーのワイヤレスオーディオでおなじみの「SongPal」というAndroid/iOS対応アプリが使えます。CAS-1には「圧縮音源をハイレゾ相当の高音質に」するという「DSEE HX」という、デジタル的なエンハンサーが載っているのですが、これの操作はSongPalを使う必要があります。

 セッティングはオーディオが好きな人なら、ちょっとアガるはず。スピーカー設置用の付属品が本格的なんですよ。ですが概要を書いているうちに、すっかり長くなってしまったので、そこは次回で触れたいと思います!

SongPalをインストールしたスマートフォンがあれば出番はないのですが、一応リモコンも付属します

そのほかの付属品は、ACアダプター/ACコード、USBケーブル、左右ワンペアのスピーカーケーブル(1.2m)、スピーカー用スパイク(大)、スピーカーベースです



著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)

 1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ

■関連サイト

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

ピックアップ

デジタル用語辞典

ASCII.jp RSS2.0 配信中