2020年を目標に、日本のIT活用力を世界最高レベル
今回の取り組みにあわせて、NECレノボ・ジャパングループでは、「DREAM」と呼ぶ新たな構想を発表している。
DREAMは、Digital Revolution for Empowering All Mankindの頭文字をとったものだ。DREAMでは、2020年を目標に、日本のIT活用力を世界最高レベルにすることで、日本に活力を与え、真のデジタルライフ、デジタルワークを実現するというものだ。
「すべての人が、コンピューティングパワーを常時使ってもらえる環境が訪れるなかで、本当の意味でのデジタルライフやデジタルワークを実現する必要がある」と留目社長は語る。 個人ユーザーにおいては、写真やビデオをオンラインストレージに保存している人の比率はわずか3%。またホームネットワークで宅内のどこにいてもテレビ視聴ができるという家庭はわずか7%。また、法人ユーザーにおいては、クラウドを利用している企業の比率が米国に比べて大きく遅れており、大企業では18ポイント差の57%、中小企業で37ポイント差の17%に留まる。
ITインフラは整っているが、それを使いきれていない
「携帯電話が登場した際には、日本の携帯電話の利用は世界的にも先進的であった。iモードに代表されるようなメールのやり取りや、携帯電話でテレビを視聴するのも日本が先行した。こうした利活用は、世界各国から注目を集めたが、いまは、ITインフラは整っているが、それを使いきれていないという課題がある。日本のデジタルライフやデジタルワークは明らかに遅れており、それが日本の競争力の低下にも影響を及ぼしているのではないか」
こうした危機感を持つ留目社長は、NECレノボ・ジャパングループとして、ライフスタイルの変革のために、「D3(Digtal Dramatic Days)プロジェクト」を、ワークスタイル変革のために「D3(Digital Dynamic Daily) Worksプロジェクト」をそれぞれ始動させているが、PCで国内トップシェアを持つとはいえ、NECレノボ・ジャパングループだけの取り組みだけでは限界があると判断。業界全体、そして、業界を超えた取り組みのなかで、これを具現化して行こうと一歩踏み出した。
「単に、PCやサーバーを売っているだけでは、真のデジタルライフやデジタルワークは実現できない」と留目社長は語る。
レノボは、2005年に、中国レジェンドが米IBMのPC事業部門を買収し、新たなPCメーカーとしてスタート。今年は、それから10年を経過した。
その間、日本ではNECのPC事業を買収。欧州では独MEDIONの買収、ブラジルではCCEを買収。さらに、モトローラの携帯電話事業を買収するなど、統合戦略によって事業を拡大してきた。
PCのトップ3社のうち、ヒューレット・パッカードは分割の道を選んだが、レノボとデルは統合戦略の道を進む。業界内ではこの大きな流れのどちらが将来の成功へとつながるのかが注目を集めている。
レノボの歴史は統合の歴史
留目社長は、「レノボの歴史は統合の歴史であり、その成果は出ている。その方向性には間違いがないと考えている」と前置きし、「今後、常時利用されることになるコンピューティングパワーは、PCだけで提供されるものではなく、スマホやタブレット、クラウドの向う側のリソースも活用されることになる。あらゆる角度から、コンピューティングパワーを提供するという上では統合されていた方が、柔軟な発想ができると考えている。コンピューティングパワーについては、我々が最高のものを提供していく。そのためのビジョンも描いていく」とする。
だが、その一方で、「デジタルワーク、デジタルライフは1社では実現できない。コンピューティングパワー以外のところは、共創によって実現していく必要がある。パーソナルコンピューティングをより身近なものにしていくためには、オープンでフラットな関係性づくりが必要である」とする。
コンピューティングパワーを提供するためには「統合」戦略を加速させる一方、これを活用するためのプラットフォームづくりには「共創」を持ち込むというわけだ。 対抗するデルは、「統合」+「フェデレシーョン(結合)」によって、成長戦略を描いているが、レノボは、「統合」+「共創」で成長戦略を描くことになる。
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