AirWatchで約2500台の情報を管理するバンダイナムコホールディングス
最後の事例はバンダイナムコホールディングス。情報システム部 ゼネラルマネージャー 暉由紀氏は、約2500台のAirWatch事例について説明した。
国内約50社、海外約50社でトイホビーやゲーム、映像音楽などのエンタテインメントビジネスを展開しているバンダイナムコグループ。暉氏の所属するバンダイナムコホールディングスは、2005年にバンダイとナムコの合併でできた持ち株会社で、国内主要15社、約6000人の従業員に対して、管理部門のシェアードサービスを展開している。「15社すべて社風も、働き方も、経営者のITコストの考え方も異なっている。しかし、共通したIT環境を各社に提供することで、グループで共通したITガバナンスやコントロール、セキュリティを実現している」と暉氏は語る。
同社のスマートデバイス導入は、「iPhoneかっこいいから買って来ちゃった。これなんとかメールとスケジュール見られるようにしてよ」(暉氏)という経営層の声からスタートしたという。そこで、情報システム部では、まずメールとスケジュールをスマートデバイスから見られる仕組みを構築。その後、管理職層にスマートデバイスが浸透したことで、ペーパーレス会議やVDIを導入したという。
ここまでは半ば社員のニーズに押される形でシステム整備を進めてきたが、一般社員まで浸透したことで、情報システム部はスマートデバイスをワークスタイル変革のツールとして使う戦略に変更。以降、iPhoneの内線電話化やOffice 365の導入を進め、「自席でも、外出先でも、会社とつながれる環境を作ってきた」(暉氏)という。
こうしてスマートデバイスの社内導入を進めてきたバンダイナムコホールディングスだが、端末数が増大したことで、管理の課題にぶち当たる。そもそも会社に存在しなかったスマートデバイスが社内で広く利用されるようになったことで、情報システム部にはデバイス管理という新しい仕事が増えた。「デバイス数が500台を越えたところで、運用が大きな負荷になった。これはやってられないという話になった」(暉氏)とのことで、オンプレミス型のMDM(Mobile Device Management)ツールを導入。しかし、2000台を越えたことで、サーバーのリソースが足りなくなったり、アプリケーション配布に大きな管理コストがかかるようになった。こうした課題から新たにMDM製品を検討した結果、VMware AirWatchに行き着いたという。
新しいMDMの選定のポイントは拡張性だったという。「管理デバイスが増加し、対象OSが拡大する可能性がある中、提供できる機能を柔軟に拡張できる点は重要だった」(暉氏)という。そしてもう1つのポイントは、デバイス管理から情報管理への転換だ。「これからはデバイスではなく、デバイスで扱われる情報を管理しなければならない」(暉氏)とのこと。こうした拡張性や情報管理の条件を満たしたのが、ヴイエムウェアのAirWatchだったという。
9月に導入を終えたバンダイナムコホールディングスは、AirWatchで2500台のスマートデバイスを管理している。AirWatchを導入することで、安全なデータの持ち出し、モバイルアクセスゲートウェイによる社内システムの柔軟な利用、そして私用端末でアプリの管理を実現することによるBYODを進めていく予定だ。
暉氏は「セキュアなデータの持ち出しを実現することで、シャドーITを駆逐していきたいと考えている。社内の仕事はクリエイティブだが、それを理由にセキュリティをおろそかにはできない」とのことで、セキュリティと生産性・クリエイティビティをいかに両立させるのが、もっとも腐心した点だという。
仮想化の祭典から、クラウドまで幅広くフィールドを拡げたvForum。NSXやvCloud Air、AirWatchなどのチャレンジングな事例を披露することで、エンタープライズ企業によりディープな仮想化とクラウド化の挑戦を促す基調講演であった。vForum 2015は11日(水)も引き続き行なわれる。