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『角川インターネット講座』(全15巻)応援企画 第5回

『進化するプラットフォーム』監修 出井伸之氏(クオンタムリープ)インタビュー

「トラブルが楽しくてしょうがない!」自分の枠を超えた30代の野心~出井伸之氏

2015年10月30日 18時00分更新

文● 盛田諒/ASCII.jp 編集●村山剛史 撮影●小林伸

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『情報スーパーハイウェイ構想』を耳にした出井氏は、帰国後プロダクト・ライフスタイル研究所を興し、“ソニー製品を起点としたデジタルコンテンツビジネス”を構想。プラットフォーム事業の重要性を見抜いていた。実際、1990年代には早くもFTTH時代における音楽コンテンツのDL速度に言及している

10年後に30代を迎える若者たちがこれからの時代を築いていく

 時代に合わせ、モノづくりを垂直統合型から水平分業型にシフト。ソニー銀行のような金融サービスもつくりあげた。ハードを顧客とのタッチポイントと考え、コンテンツやサービス、データベースを中心としたビジネスモデルに作り変えていった。

 中でも“組織のタテとヨコ”は出井氏にとっての大きなテーマだ。日本のメーカーは垂直統合産業、社内でも縦方向に細かくセクションごとに分断されてしまい、セクションの狭間にある分野には“遠慮”してしまって誰も手が出なくなる。

 それをコンピューター時代、水平分業型にシフトさせるのは出井氏の悲願だった。

 さらには、当時からインターネットのダウンロード速度の変化に目を付けてビジネスを考えた。「トップは先を見ないといけない」と出井氏は言いながら、「1997年にそんなことに注目していた経営者は他にいなかっただろう」と笑っていた。

月間利用者数6400万超の「PlayStation Network」は、日本発のプラットフォームとして世界有数の規模を誇る(2014年12月時点)

 「インターネット時代にプラットフォーム企業にジャンプしたアップルと(コングロマリッドとして位置づけられる)ソニーとでは、巷ではよくハードだけで比較される。しかしプラットフォーム時代は、ハードの優劣ではなく、企業がユーザーに提供するプラットフォームの比較が重要なのである」(同書より)

 事実、『進化するプラットフォーム』の監修を、代表監修の村井純先生から依頼されたときも「やっぱりプラットフォーム化を目指し、事業転換に苦労した自分だからこそ見えるものがある」と使命感を感じたという。

 そんな出井氏はいま、すでに“次の10年後”に目線を移している。

 出井氏が2007年から開催している「アジアイノベーションフォーラム」。今年は2025年をテーマに掲げている。なぜ2025年なのかといえば「世の中の変化の速度は、大きな変革が起きる度に倍々に上がっていく」というのが出井氏の持論だ。

 「明治維新・第2次産業革命の頃から終戦までが100年。終戦から冷戦終結・バブル崩壊までが50年。この間でソニーは8兆円企業に成長した。次にマイクロソフト・インテルなどのPCと、インターネットの時代が25年間続いた」

 その考えでいけば、次の変革は今から10年と少し後に起きるだろう。この頃に30代を迎えるような、今の若者たちがこれからの時代を築いていく。

 あらゆる場面にインターネットが入りこみ、文系と理系の区分が意味をなさない社会。「Feed Forward、つねに先を見て変革しなければいけない」という出井氏の言葉には、これからのインターネット後期を生きる若者たちも学ぶものがあるはずだ。

アジアのビジネスリーダーと旬のベンチャーが一堂に
「アジアイノベーションフォーラム」今年は12月2日開催

次回の「アジアイノベーションフォーラム」は2015年12月2日開催。参加申し込み受付中

 次世代を担う人材・企業の育成を掲げ、出井氏の肝入りで2007年から毎年開催されている国際会議「アジアイノベーションフォーラム」。アジア地域のビジネスリーダーが一堂に会するイベントとして知られている。

 このイベントでは、若手起業家のビジネスプランを審査する大会「YEA(Young Entrepreneurs Award)」も開かれており、グーグルに買収されて一躍有名となったロボットベンチャーのシャフトが第1回ファイナリストとして登場しているなど、旬の企業をいち早く発見できる稀有な場でもある。

 今年のアジアイノベーションフォーラムは「2025年」がテーマ。まさに出井氏が語った“10年後を担う人材・企業”と直結した内容となる。

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