本格的なヘッドフォンアンプにもなる!
現代のオーディオ装置としてヘッドホンでの再生にもこだわっている。ヘッドホンアンプ部は同社のポータブルヘッドフォンアンプである「PHA-2」(実売5万2000円)と同じオペアンプ「TPA6120」を採用。DACも「PCM1795」として、ほぼ同等の実力を備えている。
しかも、その基板は独立構成。(スピーカー用の)アンプ側とヘッドホンアンプ側の2枚の基板で構成されており、電源部もそれぞれ独立して備える。
さらに、おたがいの発するノイズを遮断するため、スピーカー駆動時とヘッドホン駆動時では、未使用のアンプ部の電源をカットするようになっている。どちらか一方しか動作させないことでノイズの影響が及ばないようにしているわけだ。
この2枚の基板は、右側面と左側面に対向配置となっている。これを箱状に組み立てられるインナーシャーシに強固に取り付けられる。
こうした構成も実に贅沢な作りだ。このほかにも、ボリュームはビット数を間引いて音量を小さくするのではなく、パルスの振幅を制御して音量を調整することで情報量を劣化させない「パルスハイトボリューム」を採用。
ちなみにこれは、ソニーが以前製品化していたハイエンドオーディオ用のフルデジタルアンプ(TA-DA9100ESなど)で採用されていた技術だ。
こだわり抜いたスピーカー
スピーカーにもこだわりが満載だ。ユニットは14mmソフトドームトゥイーターと62mmカーボンファイバーコーンウーファーによる2ウェイ構成で、再生周波数帯域は60Hz~50kHzとなっている。
デスクトップに置いて使う(つまり近接して聴く)ことを主眼とし、ユニットの歪みを低減することを徹底している。ニアフィールドリスニングでは耳に届いてしまうわずかな歪み感をなくし、ノイズ感のない晴れやかな音を追求している。
バスレフポートは開口部を底面とし、フレア状に広がる形状とすることで風切り音の発生も抑制。徹底して静粛性を追求した。
エンクロージャーは当然ながらリアルウッド。側面や天面、底面は9mm厚のバーチ合板、バッフル面と裏面は12mm厚のMDF板を使用。ちなみにCAS-1はホワイトとブラックの2色があるが、スピーカー部はホワイトは塗装による仕上げで、ブラックは黒に近いウッドの突き板仕上げだ。
そして、このクラスのスピーカーには珍しく、底面にはスパイクも備える。真ちゅう製の本格的なものだ。このスパイクは交換が可能で、前側用に背の高いスパイクが付属する。こちらを使うとスピーカーが約8度上を向き、デスクトップでの再生時に机の面の反射を避けることができる。
さらに、スピーカーの足元に敷く、スチール製のスピーカーベースも付属。これは、設置する机などの材質に影響されずに本来の実力を発揮させるためのアクセサリー。底面から放射されるポートの低音を効果的に拡散させる役割も持つ。
付属するスピーカーケーブルにもこだわる。デスクトップに置いて使うのに適した1.2mの長さで、よくある付属のスピーカーケーブルと違って折り目が残らない「ゆるまき」で同梱される。コンパクトに折り畳まれたケーブルは折りぐせのせいで見た目も悪いし、少なからず音質への影響もある。そこまで細かい対策が施されているのだ。
(次ページに続く、「ボーカルの浮かび上がるような音離れのよさが気持ちいい コンパクトで緻密な音場再現」)
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